見出し画像

「本当にクラスメイトの女子、全員好きでした?」鈴木涼美×爪切男〈特別対談・完全版〉

大ヒット作『死にたい夜にかぎって』の著者として知られる、作家・爪切男さん。その前日たん的エッセイ『クラスメイトの女子、全員好きでした』では、小学校から高校まで、爪さんが恋した女の子との強烈な思い出の数々がつづられています。2024年5月の文庫化に際して、解説を寄せてくださった作家・鈴木涼美さんの「元ギャルの言い分も聞いてください!」という一言から実現した本対談。相反する恋愛観から、作家としての意外な共通点まで、存分に語り尽くしました!

撮影/織田桂子 構成/土佐有明 (2024年4月22日 神保町にて収録) 

――爪さんが『クラスメイトの女子、全員好きでした』の文庫解説を鈴木さんにお願いしたいきさつは?

 僕からのリクエストですね。

鈴木 以前cakesというサイトで「ニッポンのおじさん」っていうコラムを連載していた時に、爪さんのデビュー作『死にたい夜にかぎって』を取り挙げさせてもらったんです。「ニッポンのおじさん」って毎回、なんらかの人物や事件などをネタにし、悪口を好き放題書きまくる連載だったんですけど、それを爪さんが読んでくれていて。

 あの連載、僕の友達で作家の燃え殻さんのこともぶった斬っていたじゃないですか。燃え殻さん、すごい気にしていましたよ。いまだに気にしている(笑)。

鈴木 ごめんなさい(笑)。私は絡んだら喜んでくれるおじさんが好きなんですけど、7割ぐらいには嫌われるので、爪さんが反応してくれたのは嬉しかったです。もちろん、燃え殻さんも。私、インテリ系おじさんにはそこそこウケがいいんですけど、同世代とかちょっと上か下くらいの文化系男子とはあんまり相性が良くなくて。だから、爪さんは私のことはあタイプじゃないだろうなって思っていたんです(笑)。

爪 いやいやいや(笑)。文化系男子じゃないですよね、僕は。小説を全く読まないんで。

鈴木 そうなんですか? かなり高度な文体や比喩を使われているように見えますけど、自然に湧き出てくるものなんですか?

爪 どうなんですかね。ただ、僕、小学生の頃にガキ大将にいじめられていて「俺の夏休みの日記、全部お前が書いてこい」って言われて、ゴーストライターのように日記を代筆して、お金をもらっていたんですよ。そいつらの家族構成とか、きょうだいの性格とか、何日に花火大会に行ったとか、ぜんぶ聞き取りをして。それが、学校の先生にもバレずにうまくいって。調子に乗って、小学6年生からは自分から営業をかけて、最終的に学校全体で20人くらいの日記を書いてましたね。

鈴木 すごい! それ1冊いくらぐらいで引き受けたんですか?

爪 1冊1000円くらいです。

鈴木 大学生とかでレポートの代筆は聞きますけど、小学生ですでに代筆業を……。そのバランス感覚は多分天性のものなんだと思います。だって、爪さんの本を読んでいると、小学生当時からガキ大将に嫌われないバランスみたいなものを、自然に身に付けてらっしゃいますよね。人の嫉妬心をあおってもろくなことはないって、普通その年齢で分からないですよ。子供の頃なんて、俺はすごいんだっていう自己アピールとか承認欲求が強いから、なかなかそこまで配慮できないと思う。

爪 そうですね。誰についていけばいいかを小学生の時から敏感に察していたから、ひどいいじめには遭っていなかったです。クラスで一番走るのが速くても、地味キャラの自分が勝ったらいけないと思って手を抜いていましたし。『クラスメイト』にも書いた通り、中学生の頃にバク転ができるようになっても、それを隠していました。ニキビ面のやつがバク転で飛べるのを披露したところで、それは多分「妖怪ニキビ車」とか言われるきっかけを作るだけになるので(笑)。

――それが原点だったのかもしれないですね、物書きとしての。

爪 そうかもしれないですね。だから、僕は文章がどうしても書きたくて書いたっていうよりも、文章ならおもしろいことができるって思っちゃったんですよね、才能とかどうでもよくて。だから楽しいし、しんどくない。たまに編集者さんに言われるんですけど、これだけ原稿に辛辣な赤字を入れまくっても怒らないの、爪さんくらいですよって。良い作品を作るには、他人の意見こそ大切だなっていう気持ちがあるから全然平気なんです。

鈴木 プロ意識が高いっていうか、芸術家気取りじゃないんですね。

――しかし、爪さんは、小学生の頃の細かなエピソードをよく記憶していますよね。しかも、あまり女子が触れられたくないようなことについて。

爪 鈴木さんが解説に書いてくれた「迷惑な記憶力」っていうのは、全くその通りだと思いますね。そりゃあ、みな、そこまで覚えておいて欲しくないと思いますよ。あの本を書いた時に、「昔好きだった女の子たちに会いに行けますか?」って聞かれたけど、行けるわけないじゃないですか(笑)。最初から、本人が嬉しくない特徴をクローズアップさせすぎるのは、危ないと思ってはいましたよ。女の子が必死で隠してきた恥部を、わざわざ僕はつついているわけだから。本のタイトルも鈴木さんは褒めてくれましたけど、僕は、すごく気にしていましたからね。『クラスメイトの女子、全員好きでした』って今の時代に合っていますか? ってずっと聞いていて。

鈴木 そうですよね。爪さんの独特な文体じゃなかったら際どい企画っていうか、女性たちから怒られたり嫌われたりしても仕方ないところはある本かも。小学生の女子に口髭くちひげが生えていたとか、そういう過去をね……。私だって、生まれた時から顔をっているわけじゃないから、変なところから毛が生えていた時期もあるわけですよ。だけどそれを最初からツルツルしていますって顔して生きているわけで、そこを掘り起こして書くというね……。どれも、私だったら言われて死ぬほど救われるか、死ぬほど恥ずかしいか、微妙な愛情表現がにじみ出た文章だなと思って。もちろん、嫌いと言われるより好きって言われたいんですけど、ブサイクだけど好きって言われるよりも、綺麗だけど嫌いって言われた方が嬉しい時期もあるわけです、女性には。

 嫌いってほとんど言ったことないですね。本当に、心の底から嫌いな女性がいない。いじめられたりひどいことを言われたりしても、嫌いにはならないですね。

鈴木 すごいです。私、たいして嫌じゃない人のほころびを見つけて悪口を書いて生きてきたから(笑)。例えば、自分の本の中でMr.Childrenのことを悪く書いているけど、別に、私はミスチルがすごく嫌いなわけじゃないんです。カラオケでミスチルを歌っているホストは嫌いだけど、ミスチル自体にはそんなに恨みはないし。よくよく歌詞を読んだらここは気になるとか、こういう言い方をする男は嫌だとか、悪口がどんどん出てくるだけで……。でも、爪さんみたいに、一見なんでもないところを褒めるとか、好きになれるっていう方が、人生は豊かになる気がしますよね。私は心がわびしい感じがする。一緒に住むほど好きだった男性についても、今振り返ると悪口だけで一冊書けると思う(笑)。どこが好きだったかなんて書けないかもしれないです。

爪 それは僕と違うかも。僕は小さい頃からしょっちゅう親父に「お前はモテない」って釘を刺されているので、恋愛に関して高望みしないんですよね。女性が自分と口を利いてくれたり、朝の挨拶をしてくれたりするだけで嬉しかった。だから女性に対して信仰や崇拝に近い思いがあるんです。

鈴木 私は男性を、女性みたいに純粋な友達として見られないんだと思います。恋人としてどうかとか、性的な目線で見てしまう。だから、ミスチルの桜井さんも星野源さんも、この男と付き合ったらどうかっていう目線ですぐ見ちゃう。星野源と結婚したらめんどくさそうだなって思うから(笑)、悪口が出てくるっていうか。

――爪さんのお父様は、まんま本に出てくるような感じの人でしたか?

爪 おもしろおかしく書いてはいるけど、今だったら完璧にDVに認定されるレベルのことをされていました。親父も最近その頃のことを思い出すようになったらしくて、「お前は俺を恨んでないよな……?」って言うようになって。僕の本をちらっと読んだらしいんですけど、「なんでこんな俺のことをいいように書いてくれているのか?」って不思議がってました。

鈴木 厳しいお父さんだったみたいですね。私の読んだイメージとしては、荒くれ者だけど結構ズバッとおもしろいことを言って育ててくれた感じですけど。

爪 うーん、どうだろう……。生まれが香川県のド田舎で、男尊女卑がひどいところだったんですよ。父親はアマレスの選手でオリンピックを目指せるくらい強かったんだけど、惜しいところで負けてしまって。そういう挫折を繰り返してきた人なんです。夢やぶれてみじめに田舎に戻ってきているので、我が子にいばり散らすことでしかアイデンティティが保てない人だったんですよ。本当にもう、ガキ大将が親になったみたいな感じでしたね。金曜ロードショーで『ロッキー』が放映されたら、普通、週明けに学校でガキ大将がボクシングの真似していじめてくるじゃないですか? 僕の家では親父がそれを僕にしてくるんです(笑)。

鈴木 うちの親は、爪さんのお父さんほど現実を荒々しく生きるすべを教えてくれなくて、可愛い可愛いって言って育てられたので。中三くらいまで自分の欠点がよく分からなかったですね。

爪 僕の身体が大きくなって親父に歯向かえるようになったら骨肉の争いに発展しそうだったんですけど、僕が中学生のときにあの人、警察のご厄介になりまして。それをきっかけにあれだけ威張ってた人がウソみたいにおとなしくなったんです。それがなんというか、かわいかったですよね。罪をつぐなって必死で生きる姿にも感動したし。

鈴木 お父さんって、女性関係はどうだったんですか? 独身じゃないですか。別に女いてもいいわけじゃないですか。そんなに女好きって感じじゃなかったんですか?

爪 ひとりね、ユキさんって怪しい女がいたんですよね。僕を育てるのが大変だったのか、あまり浮いた話はなかったけど、ユキさんとならあるんじゃないかなってちょっと思ったぐらい。家に来ては親父と一緒にファミコンしてたんですけどね。ただならぬ関係って感じはしました。一緒にファミコンってエロいですよね。まあ結局ダメになったみたいだけど。

鈴木 でも、お父さんとは今でもつながりがあるってことですよね?

爪 親父と僕は、今は仲良いですよ。うちの親父、定年をむかえてからAVにはまったらしくて、それならうちに邪魔になるくらいあるから送るわって言ってプレゼントしたり。でも、AVが届いたら親父が「やっぱり俺の息子だと思った」って言ってきて。「どうして?」って聞いたら、大量に送られてきたAVがちゃんと女優の名前で五十音順に並べられていたからって(笑)。親父もそういうことする几帳面な人だったんで、開けてびっくりしたって。親父が探しやすくしてあげようと思って、親切心でそうしたんですけどね(笑)。

鈴木 私の出ていたAVが入っていたら良かったですね。

爪 結構新しめのやつだったんでね……。

鈴木 そっか、私のはVHS時代なんで(笑)。

爪 鈴木さんは、親御さんの影響はありますか?

鈴木 私は親、特に母とは関係が深く、仲も良かったですがそれなりに恨んでもいますよ。愛憎入り混じる感情がありましたね。最も影響を受けた女性ではあるけれども、最も言い負かしたい存在でもあったので。文章を書くモチベーションのひとつが、AV出演などをめぐって、母の論理を超えるということだったんです。なのに、死なれて逃げ切られちゃったという思いもあって。若い頃は、行動で親の理解のはんちゅうから抜けたいと思って、不良化してったところがあったんですけど。

「爪さんの文章は女としては怒りづらい。女性に愛しさをもって書いてくれているから」(鈴木)

――実体験を多く書いてきた、というのはおふたりの共通点ですよね。

爪 『死にたい夜にかぎって』でも書いた車椅子の女性との初体験は、これっておもしろおかしく話していいのかなって迷っていたんです。でも、信頼できる先輩に話したら「これは書いた方がいいと思う。怒る人もいるかもしれないけど、それ以上に感動する話だと思うから」って言われて。おっしゃる通り、そうやって自分の周りのことばかり書いて、それがずっと続いている感じで。

鈴木 私の場合は、男に関しては悪口ばかり書いているけど、魅力的な女性にもすぐ目がいくんです。無様だったり惨めだったり、でもしたたかでずる賢かったり可愛かったりする、そういう女性が好き。私が夜の街で出会った女の子たちはみんなそうだったんです。AVの子でもキャバクラの子でも風俗の子でも。私はけっこうちゅうびょうっていうか、大学院に行きながら不良化していた感じだったけど、中卒でずっと夜職で働いているような女の子が、のちのちまで記憶に残る至言を残していて。そういうのがぐっとくる。
新宿区役所の向かいに深夜営業している安い喫茶店があって、そこでは、女の子がホストクラブの閉店後にホストを待っていたり、アフターがないから時間を潰していたり、始発待ちしたりしていたんです。ある時そこで、すごく口汚い言葉で電話している女の子がいて。最初は女の子にホストの悪口か何か言っていたんだけど、「あ、電話かかってきたから一回切る」って、今度はホストと電話して。すごい文句と理不尽な暴言を吐いて、ちょっと周りも「こわ……」みたいになったんですけど、電話を切った直後に、机の上のゴミをきれいに片付けて、とっちらかっている椅子を丁寧に並べ直して帰っていったんですよ。私にはそれが、なんだか崇高な行いに思えて。
今、SNSに載せる写真はほころびを直せちゃうから、完璧で綺麗な女の子が多いんだけど、私は今言ったような、口汚く罵りながら善行を積んでいく女の子に特別な魅力を感じて、愛していて。そういうものが書きたいなって思っているんです。夜の汚い闇の中に差す、一筋の奇跡の光みたいなものを。

爪 そこにどうしても興味が行くんですね。

鈴木 そう、そういうところに興味が偏っているので、最近また夜の話ばっかり書いています。私は自分の小説にも男がぜんぜん出てこないし、女の子の方に興味があるんだなって自覚していて。私と爪さんは女性を見る目線は違うにせよ、ちょっと変わった女の子のことを書いているっていう意味では、近いかもしれないですね。

――爪さんは『クラスメイト』に出てくる女子に「これ、自分のことだ」って特定されないように配慮して書きましたか?

 そうですね。名前や家族構成を変えたりして、特定されないように気を付けています。

鈴木 まあ、でも本人は分かりますよね。

爪 本人は分かります、多分。そしてさっき言った通り、嫌がると思いますよね(笑)。

鈴木 でもね、爪さんの文章は女としては怒りづらいと思いますよ。自分に対してある種の愛しさをもって書いてくれているってすごく伝わってくるから。さっきもおっしゃっていましたけど、崇拝にも近いというか。

 崇拝というのは多分あって。イケてない僕に気さくに喋りかけてくれる女の子に対してはみな尊敬の念がありました。それはさっき申しあげたように、小さい頃に父親に植え付けられたもので、一種のごうのようなものかもしれないですね。

鈴木 爪さんの文章は、女としては怒りづらい。だって、女性に対する愛しさをもって書いてくれているから。私は『おじさんメモリアル』っていう本で、いろんなところで出会ってきた客とか、友達の風俗嬢とかが教えてくれたおもしろ客エピソードを書いたけど、あれはひとつも褒めてない(笑)。本人たちが読んだら激怒だと思う。

爪 本人は嫌でしょうけど、周りの人は喜ぶんですよね。ほんわかするって言ってくれる。でも、当事者間同士はそんなにいい関係ではないかもしれないですね。

――でも、爪さん、本当によく覚えていますよね、小学生の頃の話とか。記憶力がすごい。

爪 家に帰ったら親父に殴られるし、親戚もいじめてくるし、母親はいないし、いいこと何もなかったんです。だから、学校で起きたこととか、友達と遊んでいる時の一瞬一瞬が僕にとって本当に大切な瞬間で。その瞬間だけはしっかり覚えておいて、その楽しい記憶を増幅させてつらいことを乗り越えてきた。生きる術だったんですよ、楽しいことをちゃんと覚えていたり、しんどい記憶を面白い記憶に誤魔化したりすることが。だから、「爪さん、我慢強いんですね」ってよく言われるんですけど、そうではなくて。誤魔化しがうまいだけなんですよ。つらいって思わないようにするのがうまいだけの話で。まともにつらいって思っちゃったら受け止めきれなかったと思いますね。

――おふたりの読者層ってどのくらいの世代/性別の人が多いですか?

鈴木 私は、自分よりけっこう上の、白髪の男性が多いですね。ちょっと変わった女性が好きな、割と知的な男性。で、女子は若い。だから、高齢の女性と若い男性はほとんど見ないですね。20代の女子は見るけど、20代の男子を私のイベントで見ることはあまりない。サイン会だけだと、たまにあるかな。一回、トークショーとサイン会と何かのイベントが同時にあった時に、なぜか全部にひとりずつボディビルダーが来ていて(笑)。三つともぜんぶ違う人なんですよ。なんだったんだろう……?
あと私、昔、取材も兼ねてマッチング・アプリに四つくらいを登録したことがあって。顔写真は全部自分のものを使って、肩書きや名前をちょっと誤魔化して書いたんです。同じアプリを普通に使っている友達は、普通に外資系の会社員と会っているのに、私は12連続でトラックの運転手さんからメッセージが来て(笑)。私、モテる場所が異常に偏っていて(笑)、格闘技の会場の喫煙所でもけっこうモテるんですよ。

爪 後楽園ホールとかですか?

鈴木 そうそう、そういう会場の喫煙所って、格闘技はやってないけど格闘家風のファッションの男子みたいな人がたくさんいるじゃないですか。ああいうところにいる人に結構ナンパされる。大学院時代は全然モテなかったですよ。

 モテる層がいるんでしょうね。僕もマッチング・アプリ、一時期やってみたらって言われてやっていましたけど、最初にカップル成立したのは義眼の子でしたからね。

鈴木 へえー。

爪 会うまで分からなかったです。会ったら「義眼なんです」って言われて。義眼をコンタクトみたいにポロッと外して。一発ギャグなのか踏み絵なのかは分からないけど、逃げずに正面から受け止めなきゃって、それを見てずっと笑ってたら彼女も一緒に笑ってくれて。

鈴木 おもしろ……。昔と今とどちらがモテましたか?

爪 告白されるのは大人になってからの方が多いですね。ひとつ注意していることがあって。自分がイケメンじゃないのを分かっているから、酒の勢いで口説くのだけは絶対にやったらダメだなって。見た目が良くないやつが酒をたくさん飲んだ勢いで必死に口説くのって、ダサいじゃないですか。そういう勢いがないと何もできないのかこいつ、って思われたくない(笑)。

鈴木 美学がそこにあるわけですね(笑)

 「こいつイケメンでもないのに、私を本気で口説いてる!」って感動する女性がたまにいるんですよ。こっちは必死ですから、それが認められたというか(笑)。すぐそばにいるイケメンよりも僕を選んでくれる瞬間が最高で。まああんまり長続きはしないんですけど、そういう体験があったりするから、大人になってからの方がモテてると言えるか。いや……でも、僕は基本的に非モテだと思っていますけど。

「いちばん書きづらいのは、女神だった祖母のこと」(爪)

――でも絶対書けないこと、多分ありますよね。おふたりの胸の内に秘めている。ないですか?

鈴木 近しい友達が大失恋してすごく泣いている時に「でもこの話おもしろいなあ〜!」って思うことはありますね。ただ、本人がすごく傷ついている時はさすがに書きづらいんですよ。

爪 僕はいちばん書きづらいのは祖母のことなんですよ。おばあちゃん子の僕にとって祖母は女神的存在だったんですけど、それが最近揺らいできて。 

鈴木 あ、そうなんですか?

爪 子供のときはわからなかったけど、大人になってからいろんな人から祖母の逸話を聞くと、実はかなりヤバい人だったんじゃないかという疑惑が浮上してまして。しばらく会わないうちに魔法が解けてきたって感じですね。

鈴木 いつから会ってなかったんですか?

爪 親父はたまに東京に来てくれたりもして、そこそこ会ってるんですけど、祖母とは全然ですね。体が小さくなった祖母の姿を見ると泣いちゃいそうで、あえて会ってないです。ずっと心配してくれてるみたいですけど、心配をかけ続けた方が逆に長生きしてくれるかなって。あと2年で100歳になるんですよ。こんなこと言うとアレですけど、祖母に対する気持ちは、彼女が亡くなってからの方が素直に書けるんじゃないかと思います。

――亡くなってしまったけれど、芥川賞作家の西村賢太さんみたいですね。彼の父親は性犯罪者で「あいつが死んだら好きなようにそのことも好きなように書ける」って言っていましたよ。

爪 ああー、僕の本も、西村さんとかぶらせて言ってくれる人が多いんですけど、恐れ多いですよ。

鈴木 でも、爪さんもその系譜っていうか、ある意味日本の伝統的な私小説の系譜にはあるんですよ、多分。

――そうそう。佐伯一麦とか車谷長吉とか、その系譜ですよ。

 みんなそう言ってくれるんですけどね。おこがましいというか。鈴木さんはお母さまが亡くなって何か変わりましたか?

鈴木 母親が死んで書けることの幅が広がった、というのはありますね。私は会社員時代に本を出したんですけど、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』っていう本は、夜の話だけど自分のことはほとんど書いてなくて。ちょっとホステスやっていたかなぐらいのニュアンスしか伝わらないように書いてあって、AV女優時代の話はほとんど出てこないんですよ。
あと、母親はAVに出ていたことについておちゃらけて書いて欲しくない、って言っていましたね。物書きとして一生をかけてその過去と向き合って、なぜそのような過ちを犯したのか書きなさいと。あなたのような愚かな女がそのような穴に落ちないためにはどうしたらいいのかを真剣に書くべきだ、みたいなことを言われました。だから、「昔AVでロケに行った時に」とかって気軽に書いたらブチギレられると思って、母親が生きてる時は、その辺は結構気を遣ってましたね。
最後の方は抗がん剤治療で全然本を読んだりできてなかったので、結構書いちゃってましたけど。でもまあ、亡くなってからは、書けることの自由度が上がりましたよね。うちは親が両方とも読書家だったから、すぐ読んじゃうんですよ、私の本を。親に読まれたくないものを書きたいのに、親に読まれることを想定して書かなきゃいけないみたいな。
それは彼氏とかもそうなんだけど、彼氏はもうね、自由に、この人といたらなんでも書けるっていう人を選んでいるので(笑)。でもやっぱり、付き合ってみたら意外と保守的だった人もいるから、そういう時に私の文章はちょっと切れ味が鈍くなってたはず(笑)。というか、ちょっと夜の話が減って、小さい頃の話が増えていたり。文章の内容が付き合う男で変わるという……。

 ――執筆の上でネタが切れることってないんですか?

 ネタっていうよりも、書いたことに対して不適切だと言われることが増えましたね。自分が経験したことをエッセイとして書いただけなのに、外野の人にすごく叱られるってことが増えたから。めんくさいから、もう自分のことも創作小説として書こうかなっていうのは、最近思っていますね。小説なら怒らないでしょ? って。自分の話ですって言って書いたら世間はキレるから。小説の主人公に全部言わせたろ、みたいな感じです。

――そういえば、爪さんは歌舞伎町のバッティングセンターで働いていた時期があったんですよね。鈴木さんが歌舞伎町にいた頃とはかぶってないですか?

鈴木 何年ですか?

 東日本大震災の後だから、2012年から2013年ですね。

鈴木 私はその時期会社員だったけど、歌舞伎町には行っていました。で、会社を2014年に辞めたので、その後に北新宿に引っ越しているんですよ。ニアミスしていたかも。

 そうかもしれないですね。歌舞伎町はさっき鈴木さんがお話しされていたように、僕にとっても楽しい街で。当時、僕は緩やかな自殺をしたかったんです。七年同棲していた後にフラれたのと、心から慕っていた先輩の死が重なってボロボロでした。人生で初めてこのまま死んでしまいたいなって思っていたけど、自分で死ぬ度胸がなくて。それなら歌舞伎町でやりたい放題していたら、誰かが殺してくれるんじゃないかなと思って。

鈴木 でも、意外とそうでもない(笑)。

 意外とそうでもなかったです。で、働くならバッティングセンターがおもしろいんじゃないかなと。とんでもなくストレスが溜まる場所だろうなと思ったから。

鈴木 確かに、ストレス溜まった人が行くところですもんね。ボールと間違えてバットで殴り殺してくれるんじゃないかなって?(笑)

 アハハ。そこで喧嘩上等って感じの接客をしていたら、恨まれて殺されるんじゃないかと思っていたんですけど、逆に生きる気力がよみがえりましたよね(笑)。歌舞伎町はね、中途半端に優しくない。あの街の人たちって10年先とか20年先のことを考えていなくて。明日もうまい酒が飲めたらいいよねってくらいのノリですよ。それぐらいの距離感、温度感がすごく心地よかったんです。だから、この街は暮らしやすいなと思って。死にたいと思っていた僕を、歌舞伎町が復活させてくれた。できるだけ長くこのバッティングセンターで働きたいなと思うようになりました。

鈴木 分かります。歌舞伎町って本当に良くも悪くも過去をリセットさせてくれる街だと思います。その場その時のことしか見てないので。学歴とか過去のこととか関係ないし考慮されない。自分はすねに傷って思っていることも、誰もあまり気にしなかったりするのが好きでしたね。

爪 今でもたまに足を運んじゃいますね。心のデトックスに。

鈴木 分かりますね。私は、今は歌舞伎町の近くには住んでないですけど。男が代わると引っ越します(笑)。

爪 そうですよね(笑)。僕も引っ越しの理由は全部女がらみです。

「その場で終わる悪口が一番幸せなんだと思います」(爪)

――これ言ったらヒカれるかもしれないですけど、『クラスメイト』に鼻くそを食べる女の子いるじゃないですか。僕も小学生の頃に鼻くそ食べていたんですよ。

鈴木 私も食べてました。

 普通に食べると思いますよ。

 ――あれ?(笑) やっぱそうなんですね。

爪 言わないだけでみんな食べていた。食べなかった人の方が少ないと思います。

鈴木 今も普通に食べられるなあ、私。

――妹に「鼻くそ食べるとおいしいよ」って言ったら母親にむっちゃ怒られて。

爪 大人になってからも食わせてくる女いるじゃないですか。「私の鼻くそ食べて」とかって。「私のなら食べられるでしょ」って言われたら全然食べますし。言わないだけですよ。

鈴木 私の友人ですごく美しくてオペラ歌手になった子がいるんだけど、その子めっちゃ鼻くそを溜めてから食べておました。今、誰よりも美しいけど。

爪 そんなやつばっかりですよ。『死にたい夜にかぎって』のヒロインのアスカは自分の唾を売って生活していましたけど、マニアが言うには、なんか唾の味って千差万別らしくて。春の唾の味と秋の唾の味が違うとか言っていました。

鈴木 いやー唾液って……。私もブルセラショップで唾液を売っていたんですよ。ブルセラって、略語でPBLDSってあって、パンツ、ブラ、ルーズソックス、唾液、おしっこは基本のセットなんです。プラス、タンポンとかリップクリームとか売っている子もいたんですけど。で、唾液は一番大変なんですよ。フィルムケースいっぱいに溜めなきゃいけないから。コロナの検査で溜めるのもけっこう時間かかるじゃないですか。だから、女子には人気のないアイテムだったんだけど、たまに買う人が来る。だから『死にたい夜にかぎって』の唾液を売って生活している恋人にはすごく親近感が湧きました。

 よかったです。あの話はけっこう怒られることが多かったですけど、カッコよかったんですよね、彼女。ミュージシャンを目指している女が自分の唾売った金で音楽を作るための機材を全部揃えて。

鈴木 私がブルセラショップに行ってた時って、たった100円のパンツに私のおりものがちょっとついているだけで10000円になったり、ただの唾液が8000円になったりしたわけですよ。そうやって、この資本主義のクソみたいな社会を泳ぎ切ろうっていう想いがあって。だからその彼女とはちょっと仲良くなれそうな気がしましたけど。今も音楽やっているんですか? 彼女。

爪 ちゃんとやっていますよ。頻繁にライヴもやってますし、人気もすごいですね。しかも、やっている音楽が当時と全く変わってなくて、すごいなと思いますよ。

鈴木 別れてから10年くらい経っている?

爪 そうですね。いまだにXはちらちら見ているんですけど。

――幸せになってしまったらおもしろいものが書けないんじゃないか? っていう恐怖とか不安とかってないですか?

爪 うーん、どうなんですかね……。

鈴木 でも、芸人さんでも、結婚しちゃうとつまんなくなるんじゃないかって思ってなかなか結婚できないとか、ありますよね。童貞でずっとものを書いていた人が、童貞を卒業したら文章がつまらなくなっちゃうんじゃないとか思ってできないとか。

――自分は平凡で裕福な家庭に育って、絶望を知らずに生きてきたから、表現をする資格がないんじゃないかって思うクリエイターってけっこういるんですよ。

鈴木 私、そうでしたよ。若い頃、自分の凡庸さが嫌で嫌で。その凡庸さを受け入れるのが大人になることなんだろうけど、中学生ぐらいから、普通の家庭であまり問題がなく育ったことがコンプレックスでしたね。私が自分の不良化した時のことを書いているのは、割と平和な世界で生きていたからで。
家で誰も暴力を振るわないし、金銭的にも追い詰められてない。親は教員だったからそこまで裕福ではなかったですけど、不自由はなかった。だから、わざとつらい目に遭いそうな現場に惹かれるというのは、若い頃めちゃくちゃありました。だから歌舞伎町にもいたし、AV現場にもいた。

爪 僕の読者層は、自分と同年代か10代の人が多いんですけど、爪切男はもうちょっと不幸でいてくれ、みたいに思っているみたいで。それは分かる、よく分かるけど、あまのじゃな性格なんで、ぜんぶ期待されていることの逆をやってやろうかなって気持ちが芽生えちゃって。三軒茶屋のおしゃれなカフェでトークショーするとか、真逆に行こうとしていますよ。読者がイラつく方に行ってやろうと思っている(笑)。

鈴木 ロフトプラスワンとかじゃなくてね、おしゃれなカフェでね(笑)。

 そうそう。昔だったら絶対しないことを今やっています。でも、人の本質は絶対に変わらないからそこを見てほしいとは思いますよね。恋人ができたとしても、僕のダメさ加減はそうそう変わらないだろうし。

鈴木 私は、同年代の作家とか漫画家が結婚するたびに、散々、ママタレになりやがって! とか文句を言ってきたんですよ。だから、結婚はしたけど、SNSにあまり幸福な投稿とかはしないようにと思っています(笑)。これからも歌舞伎町にあった安い喫茶店で悪態ついていた女の子について書いていけるように。20代に私と似たようなことを書いていた人が、子供を産んだ途端に教育系のこと書き出したりとか、JTのイベントにはママ受けが悪いから出ないとか言い出したりするのを見て、ちょっと切なく感じていたので。

 なんかなー。自分からすると全然変わってないぜって思っているんですけど。読者の立場からするとそう見えないのかなあ……。

鈴木 安室奈美恵がタトゥー消していた時とかすごく切なかったんですよ。安西ひろこがギャル時代を否定していたりするのも同じく切ない。変わったように見える人をそう大らかには見られない読者の気持ちもちゃんと分かるんですけどね。

 最近集英社さんで美容と健康に関するエッセイの連載しているんですけど、ネットに「爪切男迷走期」って書かれていて……。書きたくなる気持ちも分かるし、確かに迷走に見えるのかなあと思って。難しい、難しいんだよなあ。

――あと、『クラスメイト』はザ・昭和な話満載だなと思いました。シルバニアファミリーとかベルマークとか、固有名詞がいかにもで。

鈴木 それは私も感じました。シルバニアファミリー、懐かしいなあーって。

 シルバニアファミリーを盗んじゃう女の子の話が出てきますけど、僕、嬉しかったんですよね。自分の中で女の人は神聖な存在だったから、泥棒なんてしないものだって思っていたから。そしたらいきなり幼馴染みの子が泥棒してた。なんか救われましたよね。男も女も一緒なんだなって気持ちになって。

――シルバニアファミリー盗難事件もそうですけど、爪さんって起こった出来事をいかにおもしろく語るかっていう、その語り口が巧みですよね。

爪 ある意味それも誤魔化しだと思います。しんどかったことを喜劇みたいにするのをガキの頃からずっとやってきたから。さっきの親父のDVの話だって、はたから見てた人はみんな心配していたらしいですからね。ガキの頃からあれだけ殴られていて、どんな風に育つんだろうこの子はって思われていたみたいで。そしたら大人になって歌舞伎町で働き出したって聞いて、やっぱりとか言われて(笑)。語り口のことを褒めてくださいましたがけど、僕、文章を書く才能があったわけではないと思うんです。さっき言った通り、何か面白いことをしたいって時に文章なら書き続けられるって分かったから、やれることをやっているだけで。誰にも聞かれてないけど言いますと、僕はヴィジュアル系バンドのメンバーになりたかったですから。BUCK-TICKとかSOFT BALLETとか。でもそれができなかったから。向いてなかったから。

鈴木 そんなこと言ったら、私だってスーパー・モンキーズ(のちのMAX)に入りたかったけど(笑)。

――今ご謙遜されていたけど、鈴木さんも書かれていたように、爪さんの文章、本当にするするっと入ってきます。比喩も巧みで、文章のリーダビリティーが高いですよ。

鈴木 どんな本を読んでいたんですか? 

爪 プロレスラーの自伝です(笑)。自伝で、プロレスラーが「ロンドンの街に霧がかかっている」なんて書き出しで書いてるんですよ。いくらガキでも分かるんですよ、本人が書いてないって(笑)。書くわけねーじゃねーか、つって。文章のことを褒めてくださるのはありがたいんですけど、私は文章力がないですよ、読書量が足りてないんで。ある作家さんにも「絶妙に読書量がないからいいよね」って。「褒めているんだよ」って言われましたけど(笑)。

鈴木 プロレスラーの自伝ね……。

爪 プロレスラーの自伝とか、中島らもさんの小説とか。ああいう、人間の愚かな部分を昇華して書ける人のじゃないと読めないかもしれないですね。だから外国の文学だと、チャールズ・ブコウスキーは読んでいますね。ブコウスキー読んでいるって言ったら僕のキャラっぽくないから言わないですけど(笑)。

――中島らもとブコウスキーかあ。それはすごく合う気がしますね。硬派というか無頼というか。

鈴木 ねえ、いいじゃないですか。

爪 よく行く飲み屋の常連のおっさんが「作家ならアホな俺にも分かるように書けよ」って言われるから、それは気を付けて書いています。それでも「分かんねえ」って言われましたけど。鈴木さんみたいに文章が上手な方がいてくださると、逆に僕はやりやすいですけどね。こっちは簡単な言葉でやればいいやって割り切ってやれるので。

――おふたりの文体、割と対照的かもしれないですね。

鈴木 私は一文がめちゃくちゃ長いですからね。若い頃、作家の金井美恵子さんにかぶれて、彼女の1ページで一文みたいな文章にしびれていたので、いまだに真似が抜けないっていうか。主語と述語の間にいろんな小噺が入るみたいなのも好きですし。

 すごいです、僕はそれができないんで。できるだけ早く句点を打とうとしますもん。あと、読点の位置で悩んで書けなくなることがあるので、それだったら丸を早くつけたいと思っちゃう。そうすると体言止めが増えてきて、この前も出版社の人に叱られました。体言止め禁止って言われて(笑)。

鈴木 私の大学の先生だった福田和也さんは体言止めは文章じゃねえって言っていました(笑)。思考の省略だとか言って。でも、カッコいい体言止めもいっぱいありますよ。

――最後に、お互い聞き漏らしたことなど、ありますか?

爪 僕、今日お会いしてみて思ったんですけど、基本口が悪い人が好きなんですよね。これ、褒めているんですけど、正面切ってちゃんと悪口の言える人が好きというか。しんどい時とかむかついた時とかにそれを誤魔化して、言葉にせずに生きてきた僕には、涼美さんってすごくかっこよく見えます。

鈴木 悪口ですか。私はおもしろおかしく悪口を言ってきただけなので、特に世のためにはなってないっていうか(笑)。フェミニズムとか運動とかとは接点がないですけどね。

爪 それがいいんですよ、その場で終わる悪口が一番幸せなんだと思います。


【作品情報】
『クラスメイトの女子、全員好きでした』

2024年5月21日発売660円(税込)
文庫判/256ページ
ISBN:978-4-08-744647-0

「おまえは、女の子と恋はできないだろう」。父から突然の宣告を受けた少年は、クラスメイトの女子をひたすら観察することにした。宇宙一美しいゲロを吐く女の子。水の飲み方が妖怪みたいな学校のマドンナ。憧れのプロレスラーそっくりの怪力女番長。全員素敵で、全員好きだった。面白くて、情けなくて、ちょっぴり切ない恋の記憶。読めばきっと、恋をしたくなる! 全21編のスクール・エッセイ。

【著者情報】
爪切男(つめ・きりお)
1979年香川県生まれ。2018年『死にたい夜にかぎって』でデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。著書に『もはや僕は人間じゃない』『働きアリに花束を』『きょうも延長ナリ』など。

鈴木涼美(すずき・すずみ)
1983年東京都生まれ。東京大学大学院修士課程修了。2022年『ギフテッド』が第167回芥川賞候補、2023年『グレイスレス』が第168回芥川賞候補に。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『おじさんメモリアル』『ニッポンのおじさん』『往復書簡 限界から始まる』(共著)『娼婦の本棚』『8cmヒールのニュースショー』『「AV女優」の社会学 増補新版』『浮き身』など。

 次回は6月14日に更新!お楽しみに

【特設ページはこちらから】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?