家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。 井上荒野『百合中毒』【電子版も配信中!】
男の突然の帰宅が平穏な暮らしに亀裂を入れる。
目を背けてきた不都合な現実と向き合うことになった、
七人の男女は――。
『百合中毒』
井上荒野
〈内容紹介〉
二十五年前に家族を捨てて出ていった父親が突然戻ってきた。妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ。
二十歳下のイタリア人女性と恋仲になり一緒に暮らしていたが、彼女が一人で帰国してしまったというのだ。
しかし娘たちはとっくに大人になり、妻にはすでに恋人がいた。
次女の遥は叫ぶ。
「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」
長女の真希は苛立つ。
「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」
妻の恋人・蓬田は夜ごと彼女からの電話を待つ。
「俺はまるで女子高生みたいだな」
そして妻の歌子は思い出す。
夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを。
家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。
【著者略歴】
井上荒野(いのうえ・あれの)
1961年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。
89年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞。
2004年『潤一』で第11回島清恋愛文学賞を受賞。
08年『切羽へ』で第139回直木賞を受賞。
11年『そこへ行くな』で第6回中央公論文芸賞を受賞。
16年『赤へ』で第29回柴田錬三郎賞を受賞。
18年『その話は今日はやめておきましょう』で第35回織田作之助賞を受賞。
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