雑談『怒りをエネルギーに、木刀をマイクに』
2023 年5月18日
『俺はコンビ揃って練習をしない』
『無関心な貴方を傷つけたい』というウーマンラッシュアワー村本大輔さんの本に書かれた漫才論で一番印象深い言葉だ。
続けて本にはこう書いてあった。
『言いたい事に練習は必要ない。舞台の上でその時の気分で言ってその後ネタに仕上げていく
(中略)
でもネタは所詮ネタだ。大事なのは不安定を保つこと。時に緊張させ続けるような。これはネタなのか?マジなのかのバランスが大事だと思っている。
昨日の高円寺漫才部ではコーチ回だった。
せっかく自分たちで凄い人を呼んでいて練習しないのはと思ったのだが
昨日は村本さんの言葉が相方の顔を見た瞬間頭に降りてきて
ネタのタイトルだけ言って
あとは主催業務に勤しんだ。
本当なのか?マジなのかで思い出したのが
『浜松漫才グランプリ』にてやった『静岡県』というネタだ。
静岡県といえば○○!の○○が『お茶』と『うなぎパイ』に分かれて意思疎通が取れないというネタだが
その漫才のセリフで
『静岡県人て自己顕示力高いじゃないですか。』
という言葉があった。
本戦では得点は伸びながったがこの下りは個人的にしっかり受けた。
ちなみに浅草で改めて清書としてやったが
この下りを噛んでしまった。
あの時はスラスラ言えて、浅草では何故に言えなかったか考えたが
その時出た結論が『静岡県人を目の前にしたから言える言葉なんだ』
こちらは浜松グランプリでは審査される立場ではあるが
気持ちの半分は『無名の東京芸人を舐めんな』と思って出てきている。
『本当の言葉』だから『噛まず』に言葉が出てくるんだと再確認できた。
なるほど、言いたい言葉に練習はいらない。
この本の一文には私の中で激震が走った位だ。
またウーマンラッシュアワーの『バイトリーダー』誕生秘話も凄い。
ムカつくバイトリーダーがいて、女子大生にええカッコしてるのがを当時気に入らなかったんですよ。
だから、そいつの事をいじるネタを作ったんですね。
『チケットノルマ大変なんですよ』とあえてそのムカつく奴を地下ライブに呼んで
『殺人よりも放火よりも許せないこと!それは交通費をちょろまかして自転車通勤すること!どうも、バイトリーダーです!』
やったらバイトリーダーだけ笑ってなくてね。
その日から距離を取られたけど、結果そのネタで大会の決勝に初めて進出した。
本では綴っている。
つまり、あのネタはバイトリーダーへの復讐心だった事がわかる。
自分が今でも芸人を続けている理由。
そして、こうnoteを書いている理由に『怒り』『復讐心』が燃料で書いてる部分はある。
『誰かに笑ってほしい』から『ネタ』を作り
『誰かの声が願わない』部分から『賞レース』を作る。
常に私は『不満』や『理不尽さ』が燃料になってるのは間違いない。
本書では『怒りをエネルギーに、木刀をマイクに』
というくだりがある。
『木刀をマイクに』というのは
高校時代に村本さんがイジメられた時に『何とかこの状況を変えなくては!』と思って弟の部屋から木刀を盗み
不良を待ち伏せて思いっきりそいつの脛に木刀を振りかざした事から来ている。
負けっぱなしでたまるか!
俺は木刀をマイクという武器に変え、戦うんだ。
と書いている。
『言いたい事をマイク通して喋る』漫才。
だから、何か詰まったりしたら
『自分はお笑い界の何に対して怒ってるのか』考え直すのもアリだろう。
そういう時、自分の中で『猪木問答』を作り上げる。
猪木『おい!てめぇは何に対して怒ってるんだ!』
A『私は上辺だけでお笑いを語ってお笑いマニアをPRしている女性タレントやお笑いマニアトークライブに出てるセクシー女優が気に入りません!』
猪木『おい!オメェは何に対して怒ってるんだ!』
B『私は日本人のシフトを削って安い給料で外国人労働者を雇ってるネパール人の店長が気に入りません!』
猪木『おい!てめぇは言いたい事はあるか!』
C『俺は!高い金を払った割に美味しくなかったカレーに腹立ってます!』
猪木『そうか。各々みんな言いたい事はあるようだかが・・・俺に言うな!』
と最後は猪木本人がウヤウヤにしてしまう猪木問答だが
『自分は何に対して怒って発信しているのか?』
最悪、怒らない自分に『何故怒らないのか』という話でもありかもしれない。