兵庫県知事の騒動について思うこと

兵庫県知事の件でいろいろと議論がありますね。

議論の争点は主に「知事の言動に根本的な問題があった」とする立場と「周囲がよって集って知事を貶めている」とする立場に二分されるようですが、組織論の専門家として言わせてもらえれば、全く議論が噛み合っていないように思います。

こと、今回の問題について言えば、経緯がどうであろうと、原因がなんであろうと、とにかく組織の下側にいる人が「この人について行きたくない」と思ってしまった時点で、リーダーとしては失格なんです。

なぜなら、リーダーシップというのは、本人が作り出すものではなく、周囲との関係性が生み出すもの、だからです。

ここで一つクイズを出しましょうか。、

  • リーダーシップ

  • フレンドシップ

  • パートナーシップ

  • スポーツマンシップ

これら「シップ」が語尾についた言葉に共通している要素がなんだか、わかりますか?

答えは、どの言葉も「人の関係性」についての言葉だということです。

一人ではフレンドシップもパートナーシップも発揮し得ません。二人以上の関係があって初めて成立しうるのがフレンドシップやパートナーシップなのですが、不思議なことにリーダーシップだけは個人の属性のように考えられています。

しかし、これは全くの勘違いです。リーダーシップというのは能力や知識のような属性ではありません。

リードする人がいてフォローする人がいる。この二人のあいだに成立している関係がリーダーシップだということです。立教大学でリーダーシップの研究をされている中原淳先生はさらに踏み込んで「リーダーシップとは一種の現象である」とすら言っていますね。

属性は「個人の内部」に存在するわけですが、現象は「個人の外側」、つまり環境側に生まれるものです。環境側にあるということは「リーダーシップの問題」は個人の問題としてではなく「環境の問題」として考えなければいけないということです。

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