めざまし占い生活7日目:さそり座6位 老舗和食店のカツ丼
今日で7日目、1週間が経った。三日坊主にならなくて良かった。三日坊主は元々出家したものの修行が辛くて三日で還俗してしまう者を指すそうだ。僕はまだ還俗しておらず、心は仏門に入りっぱなしである。何日か休んでしまったのはご愛嬌だ。だって筆が乗らなかったんだもん。
さて、本日は6位。『親友からうれしい報告』は無かった。友人のM田くんに「なんか良いことあった?」と半ばマッチポンプ的な質問を投げてみたが、近所で人の指が発見されたというスプラッター系のニュースが返ってきただけだった。どうやらどこかの配達員さんが車のスライドドアに挟んだ上で、業務遂行のために放っておいたらしい。一体どれほどの責任感が彼をそうさせたのだろうか。いくらなんでも「あっ指おとしちゃった。いっけね☆テヘペロ」みたいなうっかりさんはありえないだろう。ゆっくり休んでいただきたい。
というわけで『一緒に喜びを分け合』うことはできなかった。まあM田くんは数週間前に彼女ができたばかりなので、これ以上の『うれしい報告』を分け合う度量が果たして僕の側にあるのかは疑問である。リア充爆ぜろ。
ラッキーポイントは『老舗和食店』。『老舗』というのが困ったが、最寄り駅の近くに汚い趣のある定食屋があった。ポップなスタイルのたい焼き屋とすき家に挟まれた狭い建物の二階で、細く、暗く、急な階段を上がった先にあるようだった。僕はこの街に3年ほど住んでいるが、一度も行ったことが無い。そもそも古びたビルの2階以上にある店にはあまり入りたくない。アンダーグラウンドな雰囲気があって(実際にはアップステアーズではあるが)怖い。階段の入り口のガラス棚にメニューのサンプルが飾ってあり、丼ものやうどん・そばが並んでいるので、まあ『老舗和食店』と捉えて問題あるまい。
食事時を外して訪れたので、お客さんは僕以外にいなかった。店内は思ったより広い。学校の理科室くらいの奥行きと幅があった。落ち着いた色調の赤色の店内で、失礼な話だが思ったより清潔感もあった。
空いているので4人がけのテーブルに座らせてもらった。メニューを見てしばらく迷った後にカツ丼を注文した。たけのこご飯と迷ったが、その店のクオリティはカツ丼に表れるという持論があるのでそちらを選んだ。カツ丼で1150円は少し高い気もしたが。
待っている間に常連と思しき50代くらいの男性が入ってきた。店員さんにも気さくに話しかけ、たけのこの収穫時期について論を展開していた。たけのこご飯が食べたくなった。
揚げ物なので時間がかかるらしく、その間にキンドルで『銃・病原菌・鉄』を今更ながら読んでいた。ちょうどメソポタミアの肥沃三日月地帯に思いを馳せているところでカツ丼がきた。
カツ丼は一般的なものよりも衣の色が黒かった。ソースカツ丼なのかなと一瞬思ったが、そんな匂いはしなかった。カツを一口食べてみて、衝撃を受けた。衣がクランキー・チョコレートのようにザクザクだった。それでいて味が十分に染み込んでおり、かかっている黒胡椒が良いアクセントにもなっていた。間違いなく人生トップクラスのカツ丼だった。
正直そんなにお腹が減っていなかったのだが、またたく間にペロリと平らげてしまった。付け合せの味噌汁も深い味わいだった。ごま豆腐はなぜかほのかにコーヒー・ゼリーの味がした。
僕が食べている間、先程の常連のおじさんが一人食レポをやっていた。「これは美味い。んーいいね。わあ、おいしーい、ありがとーう」といったセリフを店内に響き渡るボリュームで喋っていた。「孤独のグルメ」の心の声が全て外に出ているような感じだった。店員さんに感想を伝えようという優しさかもしれないが、後ろの席の僕にも優しさを分けてほしい。
でも美味しかったのでまた来よう。
○今日の良いこと
・人生トップオブカツ丼を見つけた。
○今日の悪いこと
・おっさんがうるさかった。
明日も良いことあるといいなあ。