Shadowverse Worlds Beyond はDCG業界にとってのSF6になれるのか?
「Shadowverse」(以降シャドバ)は2024年6月をもって新カードの追加が停止し、新タイトル「Shadowverse Worlds Beyond」(以降ビヨンド)への移行期間へと突入しました。
ビヨンドは2025年春(おそらく4月)にリリース目標とのことでビヨンドの成功を願いつつ、今までシャドバで遊んでいた時間の代わりにビヨンドが成功するためにはどうしたら良いのかを考察して妄想していく文章を書いていこうと思います。
一応現在の私の立ち位置としては、かつてはシャドバの大会にも出ていたが2年前くらいからはもう大会参加はせずにのんびりとランクマッチを楽しんでいるだけのシャドバ愛好家といったところでございます。
ダークネスエボルブの時期からシャドバを始め、当時流行りのパズドラモンストだったりPS4のゲームだったりを広く浅く遊んでいたが、シャドバにハマったのをきっかけに他のゲームが全て手につかなくなりこの7,8年間ゲームはほぼシャドバしか遊んでいないくらいにはシャドバ大好き人間という言葉が似合うと自負しています。ちなみにカードゲームはほぼノータッチで小学生の時に友達と少し遊んだことがある程度です。
そんな一般人でましてやゲーム業界で働いているわけでもないぴちぴちの素人がする考察なんて、きっと天下のCygames様もやっているでしょう。
ただ、いかんせんビヨンドがリリースされるまで暇なので、時間を潰すために明るく楽しく妄想しているだけであることを念頭に入れていただけると助かります。
躍進したSF6を参考にし比較しよう
今回、このビヨンドが成功するためにという妄想するにおいて参考・比較をするのが、2023,24年で最も躍進したゲームの一つでもある「STREET FIGHTER 6」(以降SF6)です。
SF6は2023年の6月に販売が開始されて以降、爆発的にヒットし今では売上本数が400万を超えるヒット作となりました。さらに、注目すべきポイントとしては売上本数だけではなくAPEXやValolantなどのFPSが主流だったゲーム配信(ストリーミング)業界においても人気を博し、購入していない人も配信を視聴して楽しめるゲームであるという点です。そういった点で400万本売上という数字以上の人が楽しむ人気ゲームとなったと言えると思います。
このSF6の登場により「格闘ゲーム」というジャンルに大きな追い風が吹きました。新規層の大量流入に成功したのです。
ということで今回は、やはり隣の芝は青いといいますしSF6がヒットした要因をどう取り込んでいけばビヨンドも成功することができるのではないか!?という楽観的妄想企画です。
正直私は今のところビヨンドがSF6レベルに爆発的にヒットするとは思っていません。ビヨンドがDCG業界のSF6になれるのか?というタイトルですが、先に結論をいうとなれないと思っています。ただし手のひらを返す準備はいつでもできています。頼むぞCygames!というところです。
買い切りのSF6と基本無料のシャドバを比較して何の意味があるんだ!という意見は受け付けません。そんなことを言ったらそもそも最初からこの文章に意味はないので!
それでは本文へ参ります!
SF6の成功要因
この文章を書く上で、まずはSF6がなぜ爆発的に地位を高めたかを分析しないと参考にできません。
ということで、SF6の成功要因を分析していくのですが、自分はSF6については正直に言ってニワカなので見聞きした情報の受け売りです。そんな私が今回の文章を書いていく上で意識するSF6の成功要因はこれです!
モダン操作の導入
SF6の成功要因は他にもたくさんあると思いますが、今回の文章を書くにあたってはこの要因に絞ってビヨンドが成功するためのヒントを推測していきます。
モダン操作の導入
SF6から導入された新要素「モダン操作」によって、SF6は大量の新規層の獲得に成功しました。
モダン操作とは、格闘ゲーム元来の6種の攻撃ボタンと方向入力により多彩な技を繰り出す操作(クラシック操作)を簡略化して、初心者でも簡単に必殺技やコンボなどをすることができるようにした操作です。
以前までの格闘ゲームは、
攻撃ボタンを押すだけで出る通常技と、方向を決まった順番で入力してから攻撃ボタンを押すことで出る必殺技(いわゆるコマンド入力)を組み合わせて遊ぶゲームでした。
そのため、始めたばかりの初心者はこのコマンド入力での必殺技を出す練習をまず行わなければならず、まともにキャラを操って華麗に対戦ができるようになるまでとても時間がかかってしまうという課題(特徴)がありました。
さらにこの通常技や必殺技を連続して繰り出してコンボを繋げることでまとまったダメージを出すテクニックが上達に必要なためここも初心者にとっては大きなハードルとなっていました。
格闘ゲームでの初心者の上達の流れとして、
必殺技を出せるように練習する
コンボを出せるように練習する
対戦で自分のキャラを上手く扱えるように練習する
対戦で相手のキャラに合わせて対応できるように練習する
という段階を踏んでいきます。
この成長段階において相手との対戦ができるようになるのは3の段階まで進んでからです。必殺技やコンボが出せない状態では対戦することすらままならない。1と2の段階で地道に修行という言葉が似合うような練習をして習得してから、やっと他の人との対戦に進めるのが従来までの格闘ゲームだったのです。
だからこそ、それだけこの1.2の段階で苦労して努力して練習して習得したものを実戦で上手く使えた時の喜びがあるという点もあるわけですが、その修行に全員が耐えられるかどうかというとそうではないというのが今までの格闘ゲームの課題点でした。
この課題点をSF6ではモダン操作の導入によって解決を試みたのです。
SF6でのモダン操作は、攻撃ボタンを6種から3種に削減し、なおかつ必殺技ボタンを用いて従来コマンド操作を必要とした必殺技を通常技と同じようにボタンを押すだけで出すことができるようにした操作方法となっています。さらに、アシストコンボと呼ばれるボタンを連打するだけでコンボをミスすることなく発動できるシステムも用意され、コンボ練習無しでも対戦ですぐにまとまったダメージを与えるコンボ攻撃をすることができるようになりました。
このモダン操作により、
先ほどの、
必殺技を出せるように練習する
コンボを出せるように練習する
対戦で自分のキャラを上手く扱えるように練習する
対戦で相手のキャラに合わせて対応できるように練習する
この流れの中で苦行とも言えた1と2の段階にかかる時間を8割カットして、
すぐさま3の対戦をする段階にたどり着くことができるようになったのです。
今までは1,2を練習してからでないと3,4を練習することすらできなかったのが、
3,4をやりながら1,2を練習する形、いわゆる実戦練習の形に変えることができたと言えると思います。
これによりゲームの目玉でもある対戦にたどり着く前の、1,2の段階で飽きて辞めてしまう初心者を発生させにくくなりました。このモダン操作の導入でSF6は多くの新規層を獲得したのです。
それではここからは、この要素をどのようにビヨンドに取り入れることができるかです。言うなれば何をすればシャドウバースのモダン化ができるのかです。
ということで、
シャドウバースにおける初心者の上達の流れを確認します。
カードを集める
デッキを構築する
対戦での自分のデッキの動かし方を練習する
対戦での相手のデッキに合わせた動きを練習する
ざっくりとこんな感じになると思います。
格闘ゲームと同じく3の段階から他プレイヤーとの対戦に入ります。
明らかに違うのは格闘ゲームでの1,2はひたすらじっくり修行する必要があるのに対して、カードゲームの1,2はカードを集めて40枚のデッキにするだけですので精神的苦痛度では比較的緩いかもしれませんね。
この流れをモダン化する。
つまり、1,2を比較的簡単に通り過ぎて3の段階に早急に突入できるようにするためにどうすれば良いのかを考えます。
シャドウバースのモダン化案
1の段階において、
格闘ゲームの課題点は、必殺技が練習しないと出せないことでした。
カードゲームの課題点は、カードを持ってなくて使えないことです。
では何をしたら良いのか?
全員が最初から全てのカードを使えるようにするのが良いのではないでしょうか
DCGを始めた時にまず最初にやることはカードを集めることです。課金をすることですぐにカードを集めることもできますが、基本は地道にソロモードをやったり弱いデッキのままランクマッチに突っ込んで行って報酬を得たりとすることになります。
欲しいカードが手に入らないストレスにさらされ弱いカードだけでじりじりと地味なゲームをし続けなければいけない初心者の方が、本来のゲームの目玉でもある楽しい楽しい自由な対戦段階に進む前にやめてしまうかもしれない。競技的な対戦もファンデッキでの対戦もカードがなければ何もできません。
その苦しい時間やゲーム体験に本当に意味があるでしょうか?
確かに基本プレイ無料でお金を払わなくてもプレイできるかもしれませんが、カードが揃うまでの苦行の間にやめてしまう人が出るのを黙認してしまって良いのでしょうか?カードゲームの一番メインである自分で好きにデッキを作って対戦するという段階の前にやめさせてしまうのはもったい無いと言えるのではないでしょうか?
YouTubeでデッキの紹介動画を見たとしても自分がそのカードがなければ使えません。竹槍で日本刀と戦わさせられて当たり前のように負けても、まだまだカードが揃ってないから仕方がないと割り切らないといけません。
「カード揃わないからもうやめよ」とやめていく初心者たちを眺めて「悔しかったら課金しろ!」と鼻で笑っているのが正しいのでしょうか?
SF6が
「格闘ゲームを始めたらコマンド練習コンボ練習を頑張ってそれを試合で出せる喜びを味わうものだ!」という先入観から脱却して成功したように、
シャドウバースも
「カードゲームを始めたら少ないカードで工夫しながらデッキを組んで遊びつつカードが揃ってデッキが完成する喜びを味わうものだ!」という先入観から脱却する時なのではないかと。
と、理想を語ってもシャドバはいかんせん基本プレイ無料なのでカードパックに課金してもらえないと集金ができません。だとしても、新規を獲得し逃がさないためにはSF6が証明した「初心者でもすぐに上級者と理論上同じ事ができる環境を用意する」という手段が有効であることは確かです。リアルのカードゲームでは絶対にそんなことはできないですが、デジタルのカードゲームだからこそ、その思い切ったプランが実現可能ではないかと思ってしまいます。
自分の妄想案なら、
ランクマッチは全カード解放して全ユーザーで戦うけど、40枚全てのカードが自前のカードの状態でランクマッチに潜ったらレートのシステムが起動してランク&レートマッチになる。だとか。
ランクマッチでもらえるポイントが40枚全部自前のカードなら100%で0枚なら50%になるだとか。
ランクマッチのみ全カード解放で、それ以外のソロモードなどでは自前のカードでしか遊べないようにする。だとか。
ランクマッチは無料で全カード使えるようにすることで、それで面白いと思ってもらえてさらにいろんなモードやりたいとなったりコレクションを揃えたいとなったりしたら、課金してもらえるみたいな流れにするしかないだろうなと思います。
実際にRAGEなどの公式大会は大会モードという全員が全カードを使える大会モードという状態で戦います。e-Sportsタイトルをうたっていますから、「カードを集めるゲーム」ではなく「カードをうまく使うゲーム」に最初からしてしまっても良いのではないかと思います。
おそらくビヨンドがリリースした”直後”に全カード集まった状態にしようとすると3〜5万円くらいは課金が必要だと思いますので、そうなると1万円以内で購入して全モードを遊べるSF6よりも初期投資としては遥かに高いです。
時間をかければ無課金でも全カード集まるよという言い訳で、初心者ユーザー側に苦行を強いるのが本当にDCGを発展させるために正しいのかは考えてみても良いのではないかと思います。
2のデッキを構築するという段階のモダン化については、構築済みデッキというところで既に実施済みです。ただ今までは各環境3クラスのみと控えめだったので、全クラス分の構築済みデッキを用意してしまって良いと思います。
全カード解放されているという前提での話なので、それなら全クラス分構築例を出してしまっても問題ないでしょう。初心者が0からデッキ作るのは難しいですからね。ある程度形があるところから自分流に改造していく方がやりやすいでしょう。
ゲームをインストールしてデッキ一覧を開いたら全クラスの構築済みデッキがある状態から始まってしまって良いのではないかと思います。
ゲームをインストールしたら、カードを集める必要もなくデッキを構築する必要もなくまず遊ぶところから入れる。
SF6が証明したモダン化による新規導入戦略を真似してみるのも面白いのではないかと妄想しています。
終わりに
という事で、今回はこんなところで終了にします。
私の結論としては、シャドウバースは「いろんなカードを組み合わせてデッキ構築を悩んであーだこーだ試行錯誤するのが楽しいゲーム」なのであって、「カード集めを楽しむゲームではない」。
つまりは全ユーザーが全カードを使える上で、この試行錯誤を楽しんで欲しいというところです。
さらには全カードがタダで最初から使えれば新しくゲーム配信を始める人も初期投資がほぼ必要なくやりやすいことから、youtubeやその他配信媒体でビヨンドを目にする機会も増えるのではないかと予想します。
ただ収益上はそんな事不可能だろうなという観測を持ちつつ、ビヨンドに期待をして待ちたいと思います。何度も言いますが手のひらを返す準備はできている。頼むぞCygames!