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ブラック・ミラー S6-1 ジョーンはひどい人(ネタバレ)


BRACK MIRROR
JOAN IS AWFUL

海外版世にも奇妙な物語ことブラック・ミラーの新シーズンが公開されてたので、醤油ガーリックバターのスパゲッティを食べながらなんとなく再生してみたら初回から神回だった。

ブラック・ミラーで印象に残ってる話といえば超管理世界でポイント貯めるやつと、時のクマウォルドーくらいで、いやまあウォルドー好きだけど、めちゃくちゃに面白いってわけでもなかったから(めちゃくちゃに面白かった人ごめんなさい)期待せずに観はじめたんですけどめちゃくちゃに面白かったです一話。

↓以下ネタバレ↓



主人公のジョーン(アニー・マーフィー)は普通の会社員。前髪のメッシュはスーパーパワーを酷使したせいではなく、美容師にそそのかされた結果である。ジョーンはその日も普通に歯を磨き、彼氏である世界がああなる前のセディクお手製の朝食を食べ、ゴキゲンなHIP-HOPを聴きながら出社。
IT企業の中間管理職なジョーンは、同僚のエリックに「サンディが待ってます」と言われる。そうだ、今日は従業員の解雇通告をしなければならないのだと思い出す。クビを言い渡すのは気まずい。新居の頭金も払っちゃったらしいけど、そんなこと言われても私は上の意向を伝えてるだけであって…何もできないわけで…警備員がサンディを連れていく。

肩の荷が降りて踊り場で一服していたら、手を滑らせてアイコス的なやつを落としてしまうジョーン。ちょうどそのとき、よりによって真下の出入り口から荷造りを終えたサンディが出てきて、彼女の頭にプルーム的なやつがヒット。咄嗟に身を隠すジョーンだったけど余裕でバレてた。

まあそんな感じで毎日が微妙に憂鬱なジョーンはセラピーに通っていて、その日もセラピストのもとを訪れる。仕事はやりがいを感じないし、同棲生活は退屈。彼氏の料理も味気ないと愚痴をこぼす。自分が自分の人生の主人公だって感じがしない、と。

元彼から会いたいと連絡があったので退屈で憂鬱なスパイダーのジョーンはのこのこ会いに行った。元彼マックはクレイジーでセックス大好き、ジョージ・クルーニーをさらに髭モジャにしたみたいな男。ジョーンが忘れられないらしいマックは、俺は良い家に住んでるしやり直そうという。近くにある寿司屋のドラゴンロールが最高だぜ。なーにその得体の知れないロール。来たのが間違ってたわ。私はセディクとよろしくやるんだから。いうて帰るジョーンだったが、ちゃっかりキスはした。

帰宅し、セディクの味気ない料理をつまみながらの映画チル。Netflix的なサイト(デデューンていうあの音は完全にNetflix)ストリームベリーでザッピングをしていると、「ジョーンはひどい人」というシリーズを見つける。主演はサルマ・ハエックで、ジョーンと全く同じ髪型。頭にクエッションが出ながら再生してみると、ジェーンの家の寝室と似た寝室で目覚め、同じ歯磨き粉で歯を磨き、同じ車で同じHIP-HOPを聴きながらゴキゲンな様子のサルマ・ハエックが映し出される。今朝のあーしと全く同じシチュエーションじゃん。何どういうこと?わけがわからないよ!
全く同じ会社に出社したサルマ・ハエック版ジョーンは、ジョーンと比べるとだいぶ偉そう。新居の頭金を払ったというサンディに「それが何?」と吐き捨て、去っていく彼女にグロー的なやつをわざと投げつける。

「今日の自分の行動が順々に映し出されている」と理解したジョーンは、パニック発作を起こし焦り始める。だってほら、この後は…
案の定セラピーのシーンと元彼のシーンが流れ、「退屈だし料理も中の下」とディスられた挙句ジョーンの浮気を知ったセディクは、怒って家を飛び出してしまう。いやいやあれはドラマの話じゃん!てかサルマ・ハエックだし!と必死に引き留めるジョーンだったが、信じられないセディクは車で走り去っていく。研修医だった彼が終末の世界で活躍するのはまた別の話である。

画面の中でもドラマが配信され、画面の中の彼氏も怒って出ていく。途方に暮れる画面の中のジョーン。ちなみに画面の中の画面の中のジョーンはケイト・ブランシェット。

次の日、一睡もできず憂鬱なまま出社すると、ドラマを見たであろう社員たちに白い目で見られるジョーン。ドラマの件は弁護士に調べさせてるとエリックに話すと、君は今日解雇になったと告げられる。サンディを解雇するシーンで、会社の機密を漏らしたからだという。ええ?いやいや…頭おかしいんか?あれはサルマ・ハエックやん。でも上が決めたことだからとエリック。ええ…
昨日のサンディと同じように会社を去るジョーンを、社員たちが踊り場から見下ろしている。ジョーンが振り向くと、バツが悪そうに身を隠す社員たち。昨日のジョーンと同じだ。画面の中のジョーンもクビになる。「さよなら女王様」とか言われてかなり嫌われてるサルマ・ハエック版。

あくる日弁護士の元を訪れたジョーンは、衝撃の事実を聞かされる。配信元であるストリームベリーは何の法にも触れておらず、ジョーンの私生活を映像化することに同意を得ているというのだ。規約はストリームベリーに登録する時に表示され、ジョーンはそれに同意したらしい。しかもこのドラマは全編が量子コンピュータが生成したCGで、サルマ・ハエックは肖像使用を許可しただけ。画面の中のジョーンはサルマ・ハエックに見えるが本人ではないので彼女を訴えることもできない。
✋🏻☝🏻✌🏻👍🏻fuck!!!!!!
ヤケクソで元彼マックに抱かれにいったら、「君相手に勃たないのとサルマ・ハエック相手に勃たないのじゃわけが違う」とか「規約は読めと言ったろ」とか言われる。そして弁護士事務所のシーンを見たジョーンはあることを思いつく。

大量のハンバーガーを爆食いし、大量の下剤を飲み教会へ車を走らせるジョーン。チアの衣装をまとい髪はツインテール、額に口紅で男性器の絵を描き大悪夢のハーレイ・クインと化したジョーンは、今まさに愛を誓わんとする新郎新婦の前で脱糞。阿鼻叫喚となる教会。

このシーンが配信され、サルマ・ハエックは激怒した。うちはカトリックなのに、教会で排便している私を見たら祖母は死ぬ。彼女の弁護士はいう。肖像権契約の時に全部同意してますよと。ジョーンの行動には排便およびそれ以上の行為も含みますよと。それ以上の行為とは。とにかく映像を消し去るのも賠償金を求めるのも無理ですよと。じゃあ…お前はクビだぁー!!!

教会の件で一度は捕まったものの弁護士のおかげで釈放され自堕落な生活を送っていたジョーンを訪ねる者がいた。誰あろうサルマ・ハエックだ。怒りの矛先を失った彼女は件の行動を責めに来たのだ。ジョーンは謝り、ああすればあなたが行動を起こしてくれると思ったと話す。そしてなんやかんやでストリームベリー本社に行って量子コンピュータのシステムとやらをぶっ壊そうという話になる。

真っ黄色のオールインワンを着てストリームベリーに乗り込むサルマ・ハエック。トイレを借りるふりをして内部に忍び込んだ彼女は通用口の外で待機していたジョーンと合流。
社長モナ・ジャヴァディは取材中で、“クオンピューター“という量子コンピュータについてご高説中。よくわからんが何やらすごいマシンらしい。
クオンなんちゃらの部屋に入ると、いくつものモニターの前でカップラーメンをすするメガネの男。警備を呼んだら腕をへし折ると彼を脅し早速マシンの破壊に息巻くサルマ・ハエックをよそに、ジョーンはモニターに映し出されていた映像に目を止める。それは彼女がヒップホップを口ずさみながら運転する様子だった。

「これは?」
「“ジョーンはひどい人“」
「でもこれは私よ。主演は彼女のはず」
「下の階層のジョーンが見てるバージョンだ」

・・・・・・・・・
下の階層のジョーン?

・・・・・・・
本物のジョーンのことだよ


モニターに同じ髪型の女性が映し出される。彼女がオリジナルのジョーンで、現実世界のジョーン。今までオリジナルのジョーンと思われていたジョーンは、実は仮想世界の第一階層のジョーンで、ドラマの中の登場人物。生身の人間ではなく、CGだったのだ。

マイケル・セラのCGに仮想世界だの階層だの何だのまくし立てられたジョーンは、斧を持って電気ストーブみたいなコンピューターの元へ。
「それを壊せば今いる世界は消滅し全員が死ぬ」と社長に止められるが、
「私がここにいるのは、本物のジョーンが来たからよ。私の意思は関係ない」といって斧を振りかぶる。

火花を散らしながらマシンが完全に機能を停止すると、ジョーンの姿は本物のジョーンになっていた。黄色の服を着ているのはアニー・マーフィー(今までジョーンを演じていた人)だ。
警察に連れていかれる本物版ジョーンの表情は、心なしか笑っていた。

それから。監視下にありながら、仕事も私生活も充実しているらしいジョーン。
彼女が働くコーヒーショップにアニーが来る。あれから仲が良いみたいだ。彼女もまた監視下にあり、足首にはお揃いの発信機がつけられている。
店の窓ガラスには「JOAN'S COFFEE」の文字。



まじで神回だった。ブラックミラーの今までの話の中でもダントツに好き。てかこのアニー・マーフィーって人、恥ずかしながら知らなかったんだけど美人で演技めっちゃうまい。喜怒哀楽全部同じくらいうまい。弁護士に何も打つ手なしと言われて感情が爆発するシーン本当に好き。

劇中でもマイケル・セラが言ってた「シッツ・クリーク」っていうドラマでエミー賞とってるらしいので見てみようと思う。Netflixにあるよ。主演の「くたばれケビン!」もアマプラにある(なぜか吹替版しかないが)。

お話は「自分を取り戻す話」って感じで、うだつのあがらない日々を送っていたジョーンがストリームベリーによってその人生さえ奪われたことで行動を起こし、かなり代償の払ったものの充実した毎日を手にすることができたという。俳優の友達もできたし。要は行動を起こすべしという話で、何でも教訓にするのはあれだけど、八方塞がりに見えてもどこかに活路はあって、未来は行動の内容より行動することそのものに因果があるという話。

仮想世界の住人、超技術によって自我を持たされたプログラムがその自覚を持たず、終盤で真実を知るシーンは「フリーガイ」を彷彿とさせる。そんですぐに受け入れたのか知らんけど「私の意思は関係ない」と言い切るの非常にかっこよかった。

ちなみにポストクレジットシーンは本物版ジョーンが教会で排便するシーン。何でこのシーンやねん。

あー面白かった。一話がこれだったらシーズン6期待しちゃうなー。


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