
誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる(ネタバレ)

公開 2024年 Netflixオリジナル 韓国
監督 モ・ワンイル、コ・ヘジン、キム・ソンジン
出演 キム・ユンソク、ユン・ゲサン、コ・ミンシ、イ・ジョンウン 他
去年の夏頃突如として現れた「愛なき森で叫べ」の対義語みたいなタイトルの韓国ミステリドラマ。
当時気になる程度で観るまでには至らなかったけど、最近配信された「THE WITCH/魔女 -増殖-」を観るのに一作目のおさらいしてた流れで、なんとジャユンにくっついてた前髪カーラーの友達役コ・ミンシがこれに出てるじゃあないですか。んで次に気づいた時には全部観終わってました。

なんか韓国の新人脚本賞かなんかで優秀賞を獲った作品の映像化らしく、話が凝ってて一生先が気になって気になって…いや気になってというか、もうひたすらイライラする話なもんで、長尺のスカッとジャパン観てる気持ちで「きっと最終回ではスカッとするに違いない」と信じながら、俺たち視聴者には毎話終わるごとに「次のエピソードを再生」のシークバーが満ちるのをただ黙って見ていることしかできないんだ……
↓以下ネタバレ↓
忙しい人のためのあらすじ(ネタバレ)
森の奥で貸別荘を経営するおじさん・ヨンハ(キム・ユンソク)。ある日、若い美女ソンア(コ・ミンシ)とその幼い息子が泊まりに来る。ヨンハは彼女が息子を殺したっぽいと知るが、通報したらめんどそうなので証拠を隠滅した。一年後、ソンアが再びやってきて別荘を乗っとろうとしてきてさあ大変。サイコパスのソンアはやりたい放題。娘を殺すとかも言ってきて収集がつかなくなりかけたがまあ最後は因果応報ってことで彼女の元夫がソンアを殺してハッピーエンド(?)。
忙しい人のための感想
・ソンア可愛い
・おじさんの強キャラ感がすごい
・ホテルのおじさん可哀想すぎるだろ…
概要
1.僕たちみたいな人をなんと言うと思いますか
森の奥で貸別荘を経営するおじさん・ヨンハ(キム・ユンソク)。
中の人のイメージが強烈すぎて眼鏡をかけたさえない見た目でさえ強キャラ感が漂ってしまっているが、本作では至って普通のおじさんである。多分。

病気で妻に先立たれ1人で暮らしているが、隣の別荘の経営者ヨンチェ(イ・ナミ)や、リネン類の洗濯を任せているコインランドリー兼カフェの店長ギョンナム(イ・ソンウク)がいるので全然寂しくないし、ソウルに住む薬剤師の娘との関係も良好。かなり優雅な余生だ。余生というほどおいぼれでもないが。
ある日、ヨンチェの別荘の予約客が、彼の別荘のエアコンが壊れたことで急遽ヨンハの別荘に泊まることになる。これが終わりの始まりで、ヨンハに意図せず投げられた最初の石であった。
やってきたのは臼田あさ美と奥菜恵を足して二で割ったような若い母親と、幼い男の子。
ヨンハは「よっしゃー!おなごじゃー!!」とテンションが上がるタイプのおじさんではなかったので(ヨンチェは少しそう)、子供とちょっと話したり、社交辞令で食事に誘ったりする程度であまり深く関わらなかった。
というか、ヨンチェがグイグイ行くのが見てられなかった。違う意味で目を伏せてしまうシーン。せっかく静かな森に泊まりにきてんのにジジイと騒ぎたいわけねえだろ!
唯一、部屋のレコードプレイヤーを使いたいというので、亡き妻のコレクションの中からボビー・ブランドの「Dreamer」を貸した(ソンアが選んだ)。
翌朝、ヨンハが買い物から帰る途中、道の脇に車を停めタバコを吸っているソンアに遭遇。軽い会釈をして別荘に戻ると、親子はチェックアウトしたあとだった。ろくに挨拶もしないあたり現代人という感じ。よっぽどだる絡みが気に障ったのだろう。片付けられた部屋には宿代と鍵が残されていた。レコードだけプレーヤーに載ったままになっていたので、それを仕舞って部屋を後にしようとするヨンハ。…ん?なんか違和感。
*
湖畔のモーテルを経営する若い夫婦。夫サンジュン(ユン・ゲサン)が妻ウンギョン(リュ・ヒョンギョン)とノリで始めたモーテルだったが、レイクビュー・モーテルという名前の通り美しい景色と、大森南朋と新井浩文を足して二で割ったようなサンジュンの人の良さで評判は上々であった。

ある大雨の日、サンジュンはモーテルの近くでガス欠になり立ち往生している車を見つける。ぐう聖サンジュンは車の元へ行き、今夜はうちのモーテルへ泊まってはいかがですかと提案。通常料金でスイートルームに案内してあげた。黒いキャップをかぶった一見すると感じの悪い男は、「ご親切に」と言った。
翌日、モーテル近くの交番に新人の警官が配属された。彼女の名は春の日差しチェ・スヨンことユン・ボミン(ハ・ユンギョン)。この物語のもう1人の主人公…では全然ない。
交番に1人でほったらかされたボミン。すると交番に一本の電話が。ドキッ!刑事になって初めての電話!?とおそるおそる出てみると、女性らしい人物の息づかいが少し聞こえただけですぐに切れてしまった。
サンジュンは今朝方ウンギョンと店番を交代し、友人であるジョンドゥ(パク・ジファン)と夜勤明けの優雅な朝食と洒落込んでいた。すると、このあたりでは珍しいサイレンの音が鳴り響き、緊急車両はレイクビュー・モーテルがある方向へ吸い込まれていく。
昨晩親切心でモーテルに泊めた黒キャップの男は、サンジュンに意図せず投げられた最初の石だった。
彼はチ・ヒャンチョル。巷を震撼させている連続殺人犯である。
石、デカ過ぎる。
ヒャンチョルはあの日女性を殺害し、解体をしようと廃屋かなんかに向かう途中でガス欠になり、どうしようかと思っていたところにサンジュンが声をかけてきた。
彼が夜中に部屋を抜け出すと、運よくフロントのサンジュンは居眠りをしていた。トランクの死体(もしかしたら生きていたのかもしれないが)を担いでモーテルに戻ってもまだ居眠りをしていた。何でだ。戻ってきた時サンジュンが普通に起きてたらどうするつもりだったん? その時はサンジュンも殺されていたのかもしれない。
現実を受け入れられないサンジュンは夢うつつの中、事件のあった部屋に入ってしまい、ベッドの上のバラバラ死体を目撃する。
*
ヨンハがふと自分の手を見ると、そこには血が。
もう一度さっきのレコードを手にとる。なんと裏面に血がべっとりとついていた。
な…
なんじゃこりゃあ!!
と日本ならば言っていただろう。ヨンハの世代的に。
俺たちみたいな人間を、何て呼ぶか知ってる?
−知らない
−何て呼ぶ?
…“カエル”だ
※韓国には「무심코 던진 돌에 개구리는 맞아 죽는다(何気なく投げた石に当たったカエルは死ぬ)」ということわざがあるらしい。ことわざに「死ぬ」っていう単語が出てくるの、穏やかじゃない。
2.運命のドアを叩くのは誰だろうか
彼女がまださっきの場所でタバコを吸っているかもしれないとヨンハが車を走らせていると、対向車と接触しそうになる。危ない。危ないし、ソンアはもういなかった。対向車から出てきたのは中年女性。新しく赴任したホス交番の所長だ。ヨンハが何やら慌てた様子だったことや、手に血をつけていたことを訝しがる新所長だったが、とりあえずは一旦、無視。
ヨンハは別荘に戻り、もう一回部屋を見てみる。
浴室がいやに臭い。なんか知らんブラシも置いてある。浴室まで掃除する客がいるか?とヨンチェに聞いてみるが、まあ世の中にはいろんな人がいるからなあ、うーんまあそうか、そんな客もいるかあ、いやいるか?いないだろ。気になりすぎるので、今度は軒先に停まっていたヨンチェのドライブレコーダーの映像を確認してみる。すると、別荘を去るソンアは1人だった。そして来た時には気にならなかったが、トランクがかなり大きいな!?
「これは、やってるな」とヨンハは思った。
そしてヨンハがとった次の行動は…
いつも通りの生活を継続した。ちょっと強めに掃除したくらいだ。新しい所長が挨拶に来たが、とりとめのない話をして帰っていった。彼女に話すことは何もない。
ウッドデッキに残されていたバスタオルを燃やし、例のレコードも…と思ったが妻が残したものなので綺麗に拭いて棚に戻した。
次に運命のドアをノックするのは
警察?
あの殺人犯?
ヒャンチョルが逮捕されて半年が経っても、レイクビュー・モーテルは閑古鳥が巣を作るレベルであった。生活のために2人とも働きに出たけど、ギホの学費もあるし、モーテルの借金も残っている。サンジュンはモーテルを売る決意をしたが、ウンギョンに「あんたの稼ぎで何ができる?」と罵られ夫婦仲に亀裂がパックリ。あの時殺人犯を泊めなければ。ここに引っ越してこなければ。彼女にプロポーズをしなければ。いくら後悔しても起こってしまったことはもう取り消せない。サンジュンはあれだけ小綺麗にしていたモーテルの内装を壊してまわった。15の夜のくらい壊してまわった。止めにきたジョンドゥのことなどおかまいなしに、行き場所のない怒りをこれでもかとぶつけた。例の部屋に入り、床の赤いシミを泣きながら擦ったが、いくらやってもシミは落ちなかった。
モーテルは正式に廃業した。
*
あれから一年後の、ある爽やかな夏の日。今日は結婚を控えた娘ウィソンが彼氏と別荘に来る日だ。ウキウキで準備しているヨンハ。そうだ、今日は暑いからエアコンをつけといてあげよう。フィルターも掃除してっと。これでよし。車の音が聞こえたので外に出てみる。するとやってきたのは真っ赤な高級車。娘の趣味じゃない。運転席に座っていたのは、臼田あさみと奥菜恵を足して二で割ったような女だった。
「…お泊まりですか?」
3.まるで私のことをずっと考えてた人みたいに
貸別荘は余命いくばくもない妻にヨンハが与えた唯一のものだった。妻と残りの時間を過ごすため仕事を辞め、ここを終の住処とした。妻が亡くなってからは、貸別荘は妻が遺した唯一のものになった。
ヨンハがあの出来事を記憶ごと綺麗さっぱり掃除してなかったことにしたのは、彼女が遺したものをこれ以上汚されないためだ。
一年の時が経ち、女の顔も思い出せないくらいだったのに、臼田あさみと奥菜恵を足して二で割ったようなその顔を見た瞬間、ヨンハはすべてを思い出した。髪切ってるし。奥菜恵寄りになってるし。みんなが覚えているあの奥菜恵のイメージ。
「お泊まりですか?」
「空いてます?」
この女、泊まる気である。でも今日は娘が彼氏と彼氏の両親が来るんで無理です。ほら、来ました。ソンアは遠くから来てしばらく滞在する予定だったのにと残念アピール。そのやりとりを聞いていたウィソンが、私たちは夕食の後に帰るので、と気を利かせてしまう。
娘たちは夕食を食べたあと本当に帰って、翌朝目覚めたら別荘に誰もいなくなってたから「という夢を見たんだ」かと思いきや、ソンアが普通に買い物から帰ってくる。夢じゃなかった。今朝は悪夢を見て目覚めたが、なんのことはない。現実だって悪夢じゃねえか。
*
モーテルの廃業から一年。ウンギョンはストレスでアル中になり、仕事中に飲んで店長に怒られて逆ギレした。「私を哀れむのはあんたの権利なわけ!?」名言である。そんな中(どんな中だ)、売りに出していたモーテルを買いたいという開発業者が現れ、テンションの上がったウンギョンは家族に豪勢な食事をふるまい、「モーテルが売れても売れなくても、私は変わる」と宣言。そして、家にあった酒をすべて処分。人生を挽回するチャンスだ。
サンジュンも、不運続きの人生だったけど、いつも最後の最後はなんとかなって、すべてを乗り越えてきた。それが俺の人生。今回もそうあればいいと、希望はまだ捨てていない。
ある真夜中、ウンギョンはバラバラ死体を発見した時の悪夢を見て目覚める。胸騒ぎがしてモーテルに行くと、中から6〜7人が虫みたいに出てきて泡をくう。何事かと思ったら、虫の正体はギホとその同級生たちだった。実はギホは事件のあとからいじめを受けており、宴会ために家の酒をくすねてくるよう命令されていたのだ。その晩はギホが酒と一緒にウンギョンが捨てた睡眠薬を持っていってしまったため、薬と酒をどれだけ飲めるか競い合っていたようだ。ギホを含む少年たちは全員補導され、いじめっ子たちは口を揃えて「ギホに命令されてやった」とほざいた。実は一番酒と薬を飲まされていたギホは、バッターンと倒れてそのまま入院することに。
翌日親たちが学校に集められたが、ギホを責め立てる身勝手ないじめっ子たちの親にサンジュンがブチギレて大暴れ。
そして運のめちゃめちゃ悪いことに、殴った相手がモーテルを買おうとしていた開発業者の知り合いで、最後の希望はいとも簡単に消えてしまった。神様はいない。だって祈ったもん。想いが届きますようにって、祈ったもん。祈ったもん。
*
春の日差しチェ・スヨン(新人警官ボミン)は、図書館で食い入るように何かを調べるギホ少年の姿を見かける。一体何を調べているのかと思ったら、モーテルのバラバラ殺人の犯人、ヒャンチョルのことだ。まあ両親が巻き込まれた事件だから、息子の彼にも思うところがあるのかもしれない。
そして彼女は、またも運命の電話を受けた。
ソンアの顔を彼女が食べていたトマトソーススパゲッティに叩きつけ(唐突な暴力)、戻った理由を訊くヨンハ。ソンアは顔を真っ赤(物理)にしながら、あはははとせせら笑う。
戻る気はなかったけど
ここが頭に浮かんだ
でも戻ったら オジサンは初対面のフリを
まるでー
私のことだけを考えて過ごしてきたみたいに
なんとも言えない気持ちになったヨンハは、とりあえず一緒にトマトパスタを食べた。んで気づいたら床に寝ていて、ソンアの姿がなかった。薬を盛られたのだ。
いよいよやばいと思って交番にすぐ行く。走って行く。興奮と薬のせいか鼻血が出てきて、ヨンハはポケットからハンカチを取り出す。ん?違うこれハンカチじゃないわ、なんだこ…!?
ヨンハは「なんでもないです」と言って交番をあとにする。
ポケットに入っていたのは写真だった。部屋に飾っていたはずの家族の写真だが、ウィソンの顔の部分に赤い丸がつけられている。
*
電話を受けた春の日差しが向かった先は、レイクビュー・モーテルだった。事件があったあの部屋。窓際にうなだれたサンジュン。ベッドの脇に横たわるウンギョン。そして、そばには睡眠薬と酒瓶がー。
4.あの女が子供を殺したようです
ウンギョンは遺書を残していた。サンジュンたちがモーテルを買う前、ギホを連れて胸を躍らせながら内見にやってくるシーンからの、遺書を書くシーン。いくらなんでも悲しすぎる。ごめんねサンジュン。ギホに伝えて。心から愛してると。バラバラ死体を最初に発見したばっかりに。
サンジュンはヒャンチョルの面会に来ていた。春の日差しに連れられて(歌詞のような文章)。彼と顔を合わせると、なぜ俺の前に現れたんだと訊ねる。するとヒャンチョルは「俺はやるべきことをやっていただけで、あんたの家族がそうなったのは、ただ運が悪かっただけ。俺は関係ない」と。悪びれもせずに。やるべきことってなんやねん。悪魔崇拝者か?
視聴者のヒャンチョルへのヘイトがMAXになる部分。
ユン巡警
カエルにはなるな
運悪く石に当たったカエルだ
カエルは瀕死の状態
意識がもうろうとして
体が乾いていく
息も苦しくなる中でー
ひたすら考え続ける
“誰が石を投げた?”
“なぜ自分に当たった?”と
ウィソンが心配なヨンハは彼女の職場まで様子を見に来ていた。ソンアに似たような容姿の女性が通るたびハラハラドキドキ。そこへ偶然ウィソンの彼氏が現れ、3人でランチでもしましょうよと誘われたが、ヨンチェのお見舞いに行くんだと言って断る。怪我で入院してるらしい。どさくさにまぎれて何してんだ。
娘たちとの別れ際、反対側の通りにソンアを見かけるが、車通りに阻まれ見失ってしまう。そのあとヨンチェに会って、あの女の連絡先(予約者情報)を聞いてみたが番号は使われておらず、名義も子供の名前(ハ・シヒョン)であった。ヤキモキしながら貸別荘に帰ると、なんか壁がめっちゃカラフルになってた。
反応したら負けだと思ったので、壁は一旦無視して、彼女の情報を集めることにしたヨンハ。荷物を漁りまくって、あの女がいつも映画を見るのに使っているMacBookもパクって、パスワード解除を業者に頼んだ。しかし何ひとつ情報は見つからず(そもそもパスワードは解除できなかった)。
次に別荘に帰ったら、今後は中がジャングルかと思うくらい植物まみれになっていた。蔵馬戦でトイレから戻った海藤かと思った。しかもなんか、絵もある。誰でも書けそうな、技術云々が関係ない不条理センス系の絵。彼女は不条理センス系の画家だったのだ。
今度は彼女の車の中を漁ってみるが、案の定収穫はなし。ないどころか、ウィソンが勤める薬局の栄養ドリンクを発見。むしろマイナス。んで今度は業者が勝手に別荘の家具を回収していたので、ブチ切れてソンアをプールで殺しかけた(唐突な暴力Part.2)。
あのー、聞きたいことがあるなら聞いてくんない?ということで、え?いいの?ということで、第一回ソンア質問コーナーが開催決定。いい感じのムードでディナーを食べながら。
Q.子供は?
A.他には?
Q.部屋に血痕が残ってた
A.他には?
Q.タオルが2枚消えてた
A.他には?
Q.浴室が漂白剤臭かった
A.そのあと何をしたの?
なんかQとAが入れ替わってるが、おじさんは私のことを知らんふりして証拠を隠滅したんだから、共犯よ。この一年何かを嗅ぎつけて来た人が居ないんなら大丈夫よ。ところでこの別荘を買いたいと思うんだけどどう?
ヨンハは呆れたように席を立ち部屋を出ていった。何か言ってよ!
*
ちなみにウィソンは妊娠していた。まだヨンハには言ってないが、なぜか彼氏には「電話で話した」と言っている。お父さんを1人にしておくのも何だし、僕らがあっちへ越して、君はそこで薬局をやればいいじゃないかと彼氏。いい奴である。
*
翌朝早くに車で出かけるおじさんを見かけたソンア。気になっておじさんの部屋に来てみたら、ボイスレコーダーの空き箱が。昨日の会話が録音されていたのだ。おじさんにはドライブレコーダーの映像もあるし、やばい。
交番の近くに車を停め録音を聞いているヨンハ。よし、行くかと方向転換してたら、赤い車が突っ込んできて思いっきり追突。何事かと思ったら目の前にソンアが立っていて、執念エグいとヨンハは思った。
5.私はただこの楽しい遊びのオニです
家事に勤しむ奥さんの横で、ヒャンチョルの自伝を執筆していたという若者が死んだというニュース。奥さん…いや、ホス交番の新しい所長は、意味深な顔で映像を見ていた。
春の日差しチェ・スヨンは、“鬼”というあだ名で呼ばれていた。“春の日差し”・“鬼”・チェ・スヨン。
*
ヨンハが病院から戻ると、ソンアは悠長に絵を描いていた。創作が捗るんだってさ。証拠は全部処分したというソンアに、じゃあ私は何もできないんだからもう出てけ、とヨンハ。いやよ、ここはもう私の家みたいなもの。先に住んでたからって、永遠に自分の家だと思わないで、とソンア。一体何を言ってるんだこの人は。法治国家ですよ〜!
そんなわけで、強キャラおじさんvsイカれ女の殺人の証拠をめぐる戦い改め、貸別荘をめぐる戦いの火蓋が切って落とされた。
まずはヨンハのターン。ヨンハはまず貸別荘の予約を再開した。すると予約をとった客が別荘を訪れ、ソンアと鉢合わせる。不審に思った客が警察に通報、警察は予約情報を確認する。客は実際に予約をしているので当たり前に確認がとれるが、ほぼ不法侵入者のソンアの予約情報はもちろん存在しない。ソンアはぐうの音も出ず別荘から追い出される。桶屋も儲かる。
帰ってこないヨンハの居住スペースに避難したソンアは彼に鬼電するも、電源が切られていて全くつながらない。
客が帰ってやっと中に戻れると思ったら、今後は違う客が泊まりにくるし、今度の客はパリピだし、夜になっても音楽大音量で騒ぎまくってるし、創作に集中できないし、おばさん呼ばわりされるし、未成年っぽかったから通報するぞと脅かしたら翌朝窓ガラス割られるし。おこだよ。
森の中でキャンプ生活をしていたヨンハのもとに、例によって予約客から「女がいて鍵を渡してくれない」と電話が来る。ヨンハが別荘に行くと、予約をしていたのは男の警官ソンテとその友達数人だった。この警官はソンアに鼻の下を伸ばしていた警官(以下、激キモ警官)で、ソンアが通報して呼び寄せたのだ。
彼女のターンである。
激キモ警官とその友達と一夜のプールではしゃぎナイトを過ごし、彼らを帰らせてソンアは別荘を取り戻す…予定だったが、ヨンハの若い女に嫌がらせをするヤバいおじさんムーブによって口実を得た激キモ警官は別荘の治安維持のため泊まる気満々になってしまった。どう考えても下心100だ。
激キモ警官が激キモなのでヨンハに一緒に追い出そうと提案するが、「おじさんの居住スペースは残してあげる」とかいってうっかり煽ったせいで首を絞められ、うっかり死にかけるソンア。腹いせにヨンハのベッドで激キモ警官とセクースしてやった。激キモ警官の夢は叶った。
事後、木片を持ったヨンハが殴り込んできて、激キモとはいえ警官相手に意外と善戦するが見事な背負い投げであえなく一本。
しかし、これでようやく警察沙汰の口実ができたというもの。いつまにやら降っていた雨の中、例の交番に連れてこられるヨンハ。例の交番の例の所長にこないだ(写真を見て帰った日)は何しに来たん?と聞かれて、通報しに行ったんですけど過去の話ですと匂わせておき、激キモ警官の不法侵入と人のベッドでセクースはなかったことにしますと言い残して交番をあとにする。
一方激キモ警官は、所長がヨンハと話をつけたことを滝藤賢一みたいな優しい先輩から聞かされ、昇進も近いんだから自重しろよと諭される。しかし、非常に残念なことに(というかキモい)昇進よりも情欲が勝ってしまった彼は「家まで送る」という先輩の親切にもタクシーで帰ると嘘をつき、もう一度貸別荘へ向かうのだった。キモすぎる。
幸いなことに(?)ソンアはそこにはおらず、残念がる激キモ。仕方ないから帰ろうとドアを開けたがそういえば外は大雨なんだった。玄関に傘でもないかと棚を漁ったりしていると、玄関の棚にそぐわぬリュックを見つける。中を漁ると、ボイスレコーダーが。ヨンハがソンアの告白をこっそり録音したあれだ。処分してなかったんかい。
というか棚を漁るな!!!リュックの中も漁るな!!!警官のくせに!!!
…いや、むしろ警官だから?腐っても警察官?
録音を聞いた激キモはリュックを背負い一目散に走り出した。大雨の中傘もささずに。激キモ…いやソンテは、正義の心を取り戻せたのだ。
がむしゃらに走るソンテの前に立ちはだかる一台の車。巨大なイノシシのように唸り声をあげる車の運転席は暗くて見えないが、100億%ソンアが乗っている。というかソンテには見えてなくとも我々には見えている。
*
雨の中車を運転するヨンハに電話が鳴る。相手はソンアだ。ヨンハは電話に出るなり「貸別荘を売ってやる」と言った。「その言葉を待ってたの」というソンアは、トウモロコシ畑を車で突き進んだ跡を車のルーフに座って眺めていた。このシーンである。↓

ここで春の日差しのエピソードトーク。
(本編とは関係のない事件の)貯水槽の死体をどうやって見つけたのかと聞かれた春の日差しは、容疑者の家の水道は2ヶ月も使われていなかったのが気になって貯水槽を見てみたら死体があったと答えた。水を使わなかったのは死体を思い出すから。大事なのは見えるものでなく、あるはずなのに見えないもの。そのために私はすべてを疑うのだ。
*
同じように、ヨンハのことが気になった所長(=春の日差し)は、貸別荘に行ってみた。するとそこには車のボンネットに座り煙草をふかすソンアの姿が。所長は心の中でつぶやいた。私はただ、追いかけるのが好きなの。
やかましいわ!
6.父さんがすぐに全て解決して迎えにいくよ
ある大雨の夜。ギホは修理中の客室に隠しておいた(?)「スタークラフト」のソフトを取りにレイクビュー・モーテルに来ていた。
無事に回収し終わって階段を降りていると、まさかの奴と遭遇。女をかついだヒャンチョルだ。まさかりかついだ金太郎とはわけが違う。あの日のヒャンチョルにギホは会っていたのだ。親子そろってなんと間の悪い。やあ!少年。それ、スタークラフトか。俺はギークだけど、君は?テラン?じゃあ君は今からゴーストだ。誰にも見えないゴースト。目を閉じ耳を塞げ。そんで「この帽子をお前に預ける。パサ…」つってビショビショの黒の帽子をギホにかぶせ、スッと去るヒャンチョル。
ギホは急ぎ足で家に帰り、部屋にこもって震えて眠った。さっきあった出来事を、一切誰にも言うことなく。
それから時が経ち、廃屋になって久しいジョンドゥ・スーパーに届く荷物たち。とはいっても、アイスの什器の蓋に「荷物はここへ」と張り紙がされているだけで、家主はいない。その荷物を取りに来るイケメンのメガネ男子(パク・チャニョル)。イケメンが向かった先はなんとこれまた廃屋になって久しいレイクビュー・モーテル。2階の一室に入ると、中は作業部屋みたいになっていた。イケメンは荷物を次々と開封して、長い銃を組み立てた。狙撃銃的なあれだ。穏やかではない。
完成した狙撃銃を構えて悦に浸っていると、ホテルのどこかで物音がしたような気がしたようなしないようなそんなような雰囲気がうっすら漂っているような傾向にあったので、館内を見回ってみたが、誰もいない。イケメン、というかギホ、タトゥーまで入れちゃって。胸板もそんなに厚くなってまぁ〜立派になって。まあ中の人が中の人だもんね。
場面は変わり、病院の大部屋。ジョンドゥの母親が入院している。何やら企んでいる様子のジョンドゥもいる。
まどろっこしいのでかいつまんで言いますと、この大部屋には植物状態のヒャンチョルの母親も入院していて、模範囚らしいヒャンチョルが刑務官の監視のもと会いに来るってんで、窓際に座らせて遠くのビルから狙撃銃で殺してしまおう、という算段らしい。ギホはアリバイ作りのためか、どっかの建物から病院へのRTAをしたりしている。
モーテルに戻って、ギホが冷蔵庫を開けると、飲んだ覚えのないビールの缶が開いていることに気づく。この間の気配といい、侵入者がいるのだ。そこでギホは、一回部屋から出るというフェイントをかけて速攻で部屋に戻ってみた。するとずんぐりしたおっさんがいたのでボコボコにして銃をつきつけた。
*
春の日差しチェ・スヨンは、警察官として最初の事件の舞台であるレイクビュー・モーテルを写真におさめ、後生大事にデスクに挟んで持っていた。「2001年 最初の事件」と記して。
ヒャンチョルのゴーストライターが殺された報道でレイクビュー・モーテルの事件を知ったヨンハは、ホス交番の所長のデスクに挟んであったその写真を見て、「自分の別荘もこうなってしまうのかもしれない」と思った。咄嗟に写真を抜き取り、ぐしゃぐしゃに握りつぶしてポケットの中に入れた。あの大雨の日だ。なんか知らんが実際にレイクビュー・モーテルを見てみようと思い立ったヨンハは、写真を手にここにやってきた。
んで、そこには眼鏡のイケメンがいて、ビールを黙って拝借したらボコボコにされたと、そういうわけ。
ここへ来る前に精神病院に入院しているホテルのオーナー(サンジュン)に会ったけど、病室を客室と思い込んでいて、シーツ変えたりしてる。奥さんはまだ生きてると思っているし、息子はまだ中学生だと思ってる。あの頃に取り残されている。
椅子にガムテープで括り付けられたうえ口も塞がれ、殺人犯と何やかんやってる時よりピンチになってしまうヨンハ。しかも警官と疑われガチで生命の危機。口封じに殺されるーっ!と思いきや、すんでのところでギホの携帯に着信。
ヒャンチョルが病院に来たのだ。
置いてかれるおじさん。
*
ヒャンチョルはパリッとしたシャツを着せてもらい、母親の病室に足を踏み入れる。どうやら相当な模範囚らしく、刑務官はみんな彼に優しい。女を殺してバラバラにした人ですよ?人相も悪いし。
ジョンドゥの誘導で(椅子を動かしただけだが)母親のベッド脇に座ったヒャンチョル。窓を背にする格好だ。ギホが構える狙撃銃のスコープから、いい感じに白髪混じりの後頭部が観察できる位置。母親の手を握り、語りかけるヒャンチョル。満足に体を動かすことも話すこともできない彼女は、ヒャンチョルの手を振り払い、震えた指で窓の方を指さすのだった。
ん?と急に振り返るヒャンチョル。その顔にびっくりして撃っちゃうギホ。しかも失敗。弾は窓ガラスを盛大に割って、大人がたくさん寄ってくる始末。何のあれだかわかんないけど窓にでっかく三角のマーク書いてたもんだから、あのビルじゃね?とみんなが走ってくる。失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した。
だがここで、あのRTAである。失敗した時の猶予は3分。いや失敗した時の練習だったんか〜い
病室に残されたヒャンチョルは刑務官をぶっ殺して手錠の鍵を外す。そしてジョンドゥとタイマン。ジョンドゥの母親も加わって大乱闘。ヒャンチョルの母親の酸素ボンベも取れてもうめちゃくちゃ。元ヤクザでも心は聖人のジョンドゥは、殺人鬼の母親でもほっとけない。何とか酸素ボンベを繋ごうとわちゃわちゃしている間にギホ登場。
お前は誰だ?
−ゴーストだ
目を閉じ 耳を塞げ
目の前の銃を構えた若い男がかぶった黒い帽子を見て、ヒャンチョルは思い出したように少し笑った。そして次の瞬間脳天を撃ち抜かれて死んだ。
病院の窓から逃げ、泣きながら車を走らせモーテルに戻ると、おじさんの姿がなかった。と思ったけどドアの影に隠れていた。おもちゃの銃をこっちに向けていたので、本物の狙撃銃を向けて追い出した。
ギホはその狙撃銃で自害しようとしたが、すんでのところで戻ってきたヨンハに止められた。死ぬ前に何があったのか話してくれ。減るもんじゃなし。そして、おもむろに電話をかけだすヨンハ。相手は父親、サンジュンだ。
時が止まっているサンジュンは「数日叔母さんの家にいろ」と話し始める。
父さんは…
すぐに片づけて
迎えに行く
それまでは
たとえ寂しくても
気をしっかり持って強く生きろ
すっかりほだされてしまったギホは自首する気満々になったが、ヨンハは証拠を燃やしまくっていた。もはや証拠隠滅はヨンハの得意技である。君と私は今日缶ビールを飲みながら朝まで語り明かした。そうだろ?
ギホはおじさんを警察だと思っていたので呆気にとられている。
*
ヨンチェからメッセージが入っていたので電話をかけるヨンハ。長いコール音のあと、聞こえてきたのは「おじさん?」というソンアの声。
電話を切り、狙撃銃とヒャンチョルから語り継がれる麦わら帽子黒のキャップをパクってホテルをあとにするヨンハ。何かを決意したような表情だ。
7.私はおじさんと最後まで行く
ソンアは自分の個展の会場にやってきた。やってきたが、飾られた絵にひとつとしてソンアが描いたものはなく、すべて単純明快な花の絵に差し替えられていた。そして父親から電話で「私が頼んだ。あんな絵は私への義理で買われるだけだ。せめて飾れるくらいの絵を描け」と言われてしまう。
大層ピキったソンアはイベントマネージャーらしき女性を分厚いオシャレ本でぶっ叩き、花の絵を自分の絵に変えさせ、わずかばかりの溜飲を下げたあと車に乗り込んだ。とそこへある人物が現れる。かつての夫ジェシクだ。このジェシクという男はシヒョンの実の父親であり、元妻?には子供が生まれてすぐ逃げられ、奥菜恵似の美人と結婚できたと思ったら類まれなるサイコパスで、狂言のDV被害を訴えられて刑務所に入れられた挙句、子供も殺されてしまうというピーター・サースガードも顔負けな悲運の男である。
思いもよらぬ訪客に少々ギョッとしたソンアだったが、すぐに煽りモードに切り替えて「刑務所はどうだった?」とか「あなたの子供を思い出す」とか「子供がいなくても私と結婚したかどうか確かめたかった」とか言って、当たり前だがジェシクはブチギレ。確実な殺意でもってソンアを追い回し強化ガラスに叩きつける。ソンアは非常ベルを鳴らし、警備員室みたいなところに逃げ込む。しかしジェシクに思いきり投げ込まれた消化器で窓ガラスが盛大に割れ、直撃はしなかったものの気を失ってしまう。
人が集まってきたのでジェシクは逃げた。
病院で目が覚めたソンアは、速攻でさっきの個展会場へやってきた。何やらパーティーが行われているようだ。サイドミラーで髪型のチェックして、血をリップがわりにして、いざ出陣と思いきや、道路脇に停まったトラックの荷台に、ゴミのように積まれた自分の絵を発見。
またも大層ピキったソンアはそのトラックで会場につっこんでいき、来賓の父親を見つけるなり「ジェシクが出所した。海外に追い出して」と頼むが、「お前が出ろや」と返されてしまい、「じゃ、じゃあ数日足止めして。娘の頼みよ🥺」と、さすがの父親には強く出られないご様子。
この一件でたがが外れてしまったのか、コインランドリーに侵入して下着姿になったり、退院して何も知らずにやってきたヨンチェを半殺しにしたり、娘ウィソンをおびき寄せて半殺しにしたりと、狂ったように非道の限りを尽くすソンア。
ウィソンは薬を盛られながらも謎に高い戦闘力と知能でソンアを圧倒するが、睡眠薬の力には勝てず(薬剤師だし)。
ちなみにこの間ヨンハはギホに捕まって椅子に縛られている。何やってんだおっさん!
*
ギホのモーテルをあとにして、全速力で別荘にやってきたヨンハ。
プールサイドで瓶の酒を飲んでいるソンアに銃を向け、娘の場所を問いただす。まずは30分あげるから地下室のお友達を、というのでヨンチェを一旦病院に連れていく。書いてなかったが極太ドライバーかなんかで背中と肩を何度も刺されているので生きているのが不思議なレベルだ。そのあとは、別荘に戻り、むしろヨンハが殺人鬼なのかと見紛うほどに異様な剣幕でソンアに詰め寄る。人は何かを守るためならいくらでも狂う。それが自分の自尊心であるか自分の命より大事な家族であるかとの違いだ。
この2日間で学んだ
見て見ぬフリをして
沈黙を貫いても
惨事が積み重なっていくだけだ
身をもって実感した
保身のため悪事を傍観し
大切な人を苦しめた
ヨンハはギホがそうしたように、ソンアを殺すことで悪夢の連鎖を断とうとした。しかしソンアは飛行機のチケットを見せてきて、私は去るし、娘の場所も教える。お友達もいずれ回復するしおじさんも平穏に暮らせる。私も戻らない。これでおしまい。
それでもなきゃ、私はおじさんと最後まで行く。娘は死ぬ。
私を見逃す、私と地獄に付き合う、which your choice?
その時ヨンハの携帯に電話が。警察からだ。
彼は電話には出ず、「望みは?」と言った。
ソンアの望みはヨンチェとウィソンに口止めをすること、元夫が訪ねてきても何も話さないこと、埋めるのを手伝うこと、だった。
何を埋めるのかはさておき、何はなくともまずは娘の場所だ。早く会わせんかい。また警察からの電話が鳴ったが、無視無視。それより娘の場所や。
水色のオープンカーを走らせ、着いたのは湖的な場所。(流浪の月で最初に文と更紗が捕まったとこみたいな)桟橋の先には赤いスーツケースがポツンと置かれている。
「娘を連れてこい」とヨンハ。ソンアは何を察したのか、小走りでスーツケースに向かう。中は空だ。やられた。逃げようと車に急ぐが、静かだった森の中のどこからともなく警察官がわらわらと現れ、「お出かけですか?」とレレレのおじさんしか言わないあの台詞が。例の新所長である。春の日差し改め、鬼、ユン・ボミン。
ボミンは病院から別荘へ戻るヨンハを引き留め、彼女を捕まえる作戦を画策していた。二度あった警察からの電話。実はあれの1回目は「娘、見つかったよ」で、2回目は「イカれ女を現場に」だったのだ。
こうして、ついにソンアは御用となった。
その夜、誰もいない貸別荘を訪れた人物が。
そいつは地下室に置き去られていたギホの狙撃銃を拾う。
8.俺たちは積もる話がたくさんある
ソンアは春の日差しの取調べに対し黙秘を続け、まもなく釈放されてしまう。いうても逮捕は誘拐の現行犯だし、傷害(ヨンチェ)は正当防衛を主張すればいいし殺人(シヒョン)の証拠はまだ何もない。
ウィソンは大怪我を負ったものの、医者が頑張った&薬を自分で吐き出していたので一命を取り留め、赤ちゃんも無事だった。一旦は安堵したヨンハだったが、ソンアがものの2時間で釈放されたと聞いて怒り心頭。
ソンアもソンアで、コインランドリーの店長に「イカれ女」と呼ばれて怒り心頭、父親から弁護士と一緒にソウルへ戻るように言われたがガン無視して、コインランドリーを無数の洗濯物を火種にして燃やす。これに関しては「何でそんなに警備が手薄なんだ」と言いたい。
ヨンハから得た「ソンアは何かを埋めようとしている」という情報から、トウモロコシ畑を捜索する春の日差したち警察一同。案外すぐ胴体が真っ二つになったソンテ(激キモ警官)の死体が見つかる。発見者でありソンテを可愛がっていた滝藤賢一みたいな先輩は大いにショックを受け、悲しがり、その悲しみぶりを見るにつけ、我々視聴者は「日本でリメイクするならば絶対に滝藤賢一だな」と改めて思う。ほんで死体を見つけたと思ったら次は、遠くの方で爆発音。そう、ソンアが燃やしたコインランドリーだ。
*
海外へ逃げるためパスポートをとりに貸別荘へ戻ったソンア。
そこへギホの狙撃銃を持った元夫・ジェシクが現れる。「最後のチャンス」を無視した彼女に父親が差し向けたのだ。もう父親もソンアが死んでもいいと思ってる。狂った家族。この親父も多分3割くらい悪い。
そしてソンアの運命共同体・ヨンハも登場。
ヨンハはジェシクに、ソンアが犯した罪に沈黙し、証拠を隠蔽したことを謝罪した。ソンアは自分だけが死ぬのは不平等だから殺すならおじさんを先に殺してと言った。この期に及んでもクズっぷりがすごい。ジェシクがヨンハの肩を撃ったところで折悪しく春の日差しがやってきて、空気も読まずに銃を下ろせと叫ぶ。死体を見つけたとか何とか。正直2人とも「誰の…?」って感じ。
それでもやっぱりソンアを殺したいジェシクは、彼女を撃つことにする。え…?いやそこ銃下ろす流れでしょとさすがのソンアも驚きの表情。ヨンハは咄嗟に銃を掴んでそれを防いだが、その拍子に銃は床に落ちてしまう。
ソンアは銃を拾い、春の日差しの肩にドーン!
そのあとジェシクにも銃口を向けたが、撃ち方がわからず(弾切れだと思ったのか)すぐに捨てて走って別荘を出る。それを追いかける2人。
銃声と銃声。
*
何年か後。
春の日差しはヒャンチョル殺害の事件を追ってギホにたどり着いたが、すべてを沈黙することにした。
ソンアを殺したジェシクは、銃の出所を黙秘した。ソンアの父親はすべてをもみ消すため弁護士を彼の元に送った。(何をどうもみ消すんだろう。ジェシクが殺されないといいが…)
ヨンハはウィソンたち夫婦とソウルで暮らしていたが、ウィソンの子供が産まれて以降は貸別荘に移り住んだっぽい。なぜかヒャンチョルの帽子を後生大事に持っている。
コインランドリーを燃やされた店長はおしゃれ可愛いカフェに鞍替えし、インスタ映えを求める若者でごった返している。この人一番強い気がしてきた。あ、ヨンチェも無事に退院。まあ元気。
ヨンハの携帯にメッセージが入る。
貸別荘は予約できますか?
今休業ですと返すと、電話がかかってくる。かなり戦慄が走りそうなシーンだが、相手はギホだった。
オジサンの貸別荘を見に来た
-お互い 積もる話を交わそう
昼下がり、うたた寝をしていたヨンハはおもちゃの犬の鳴き声で目を覚ました。
あの日、シヒョンが持っていたものだ。
感想
あんなに可愛くて無邪気だったミョンヒがこんなやばい女になるなんて…。
まあある意味無邪気ではあるけど。
冒頭でも書いたけど、最後まで見ないと夢見が悪くなるドラマ。それだけ前半パートの胸糞が悪い。一貫して胸糞を貫き通すタイプの話ならまだしも、時おり強キャラ感を垣間見せるヨンハや、辣腕の女刑事の存在が、「きっと彼らなら巨悪を退治してくれる」という期待を持たせるので、やっぱり最後まで見ないことにはどうにも止まらない。
かといって話が面白かったかというとよくわからん。
ヨンハのどこからともなく漂う強キャラ感はよかったけど、歯切れのいい時と歯切れの悪い時の差が激しすぎるし、ボミン所長は若き日の事件解決のドヤ顔高説シーンのわりにたいして何もしてないし、というか見た目が変わり過ぎだし、ソンテはキモいし、なんなら良くなかったシーンの方がたくさん出てくる。
良かったのは、シヒョンの愛くるしさと、ジェシクがギホの銃の出所を黙秘したところ。ジェシクは何でソンアと結婚したのかわからんけど、いい奴っぽくて好き。まあ出所もなにも、銃を拾ったのはヨンハの別荘でだし、普通にギホのことを知らなかったんだろうけど。
あとまあイカれ女とはいえコ・ミンシは可愛いし、ウィソン役のノ・ユンソ役の人も奈緒ちゃんみたいで可愛かったです。
お?
滝藤賢一といい、なんか日本リメイクいけそうだな?
主演はすずちゃんあたりにやってもらおう。
すずちゃんのイカれ女役、需要あるよな絶対。