なぜ稲とアガベは男鹿のまちづくりに取り組むのか(CFOさいとうの目線)
1.稲とアガベがICCサミットのクラフテッド・カタパルトで優勝しました(感謝)
約1週間前の2024年9月4日、稲とアガベがICCサミットというベンチャーカンファレンスの「クラフテッド・カタパルト」というピッチにおいて、代表の岡住のプレゼンにより優勝しました。
反響大きく、ICCサミット会場に自分もいたので会う人会う人におめでとうと言っていただき、優勝というインパクトからか男鹿に戻ってからもICCサミットのことをよくわかってないだろう地元の方々からもSNSを見てかおめでとうと言っていただき、改めて注目していただき大変ありがたいことだと思っております。
皆さま本当にありがとうございます!!(まだまだ頑張ります!)
上記は、ICCサミット公式の速報ページです。
もしピッチにもご興味あれば、以下のYouTube動画もご覧ください。
稲とアガベ 岡住の登壇開始時間は1:24:26〜です。
このピッチの中では、「よそ者」である稲とアガベが、サケ造りだけでなく男鹿のまちづくりにも取り組み、3年という短期間で地元の方もそうでない方も巻き込みながら8拠点もの開発に取り組んできていること、そしてその想いを語っています。
なぜ、サケ造りから始まった稲とアガベが、まちづくりにも取り組むのか、これを機に自分の目線で少し数字的なエビデンスも添えながらテキストでも書き残してみようと思います。
というのも実は、ご好評いただいている資金調達シリーズ、4作目はラーメン店の開業に当たっての資金調達についての執筆をしていて、そもそも論としてなぜ稲とアガベがまちづくりに取り組むのか、ラーメン店を開業するのかということを書かねばと思い、その下書きがありました。(記録を見ると約3か月前にそこまで執筆……本題前で止まってます 苦笑)
以下の文章はその3か月前に記載した下書き記事を、これは良いタイミングだと抜粋・リバイスをしたものになります。自分のnoteのバックオフィスや資金調達の話とは少し異なりますが、ご興味ある方は、次の項目も是非どうぞ。
なお、「ICCサミットとは何か?」ということに興味がある方は、以下のYouTube動画もご覧ください。(自分もちゃっかり映ってますw)
2.なぜ酒蔵がまちづくりに取り組むのか
最近は酒造りのみならず、まちづくりの地域プレイヤーとしてもおかげさまで注目をされ始めている稲とアガベですが、なぜ本業の経営安定も途上なのにも関わらずまちづくりに取り組んでいるのか。
ストレートに言うと、我々がやらないとまちがなくなるからです。
人口減少が著しい男鹿市、高齢化率は既に50%を超えています。高齢化著しい秋田県の中でも、さらに高齢化先進地域です。
人口動態について、具体的な数字でも見てみましょう。2024年6月時点で市のHPに掲載されている市勢統計要覧、一番古いものが平成24年、一番新しいものが令和5年ですので、その2資料で比較します。
まず人口。平成24年3月末時点で31,956人、これが令和5年3月だと24,511人です。この10年で20%以上の人口が減っており、そもそもの市の人口要件である50,000人は10年以上前から大きく下回っていることになり、正直な感想としてもはや手遅れ感は否めません。
そして出生数。こちらはさらに衝撃的です。
平成23年度の出生数が147人(人口比0.46%)、これが令和4年度だと56人(人口比0.23%)です。何とこの10年で約3分の1にまで出生数が減っています。そりゃ高齢化進むわ、という感じです。。
ちなみに弊社では毎年成人式企画というのをしているのですが、そのときに市役所の方から聞いた成人式の対象人数、確か150人弱だったはず。
ということは、20年前から10年前にかけてはそんなに減ってない、この10年で急速に減った、ということになると思います(成人式対象年齢、記憶のみだけどこの推移見ると自信なくなってきた……記憶間違っていたらゴメンナサイ)。
我々は、この男鹿という場所を魅力的に感じ、会社として大きな借金までして新しい事業を始め、スタッフも各人各々の覚悟や想いを持って移住してきて、生活を営んでいます。
しかし、この人口減少スピードに、確実性の高い着実な事業スピードでは到底追いつけません。我々が事業のスピード感を重視する理由の一つがここにあります。我々が借金までして作ってきたものも、我々が死んでそのまままちがなくなれば全部ゴミになってしまうのです。事業をしている身として、移住してきた身として、決して将来的にそのようなことにはしたくないという想いがあるわけです。
男鹿にも、事業して成功している方はいます。過去の栄光ではなく今も堅調なのも伺い知れます(少なくともお家はとっても大きいです 笑)。
地元のお金を持った地主や建設会社が本気を出した結果、まちが良い方向に大きく変わっている例は全国に出てきています。しかし、男鹿は残念ながらまだそのような流れにはなっていません(それどころか自分が安く買った土地を我々に高値で売りつけてくる地主もいます…)。人口減少地域でエリア開発をするのはリスクの方が大きい、金にならない、それは我々も同じ経営者として理解するところではありますし、人生背負っている従業員が多い会社の事情ももちろんわかるので、彼らを良い意味で巻き込んでいくことは我々の課題の一つかもしれません。
しかし、人口は毎年・毎月・毎日凄いスピードで減り続けます。待ってはくれません。我々=よそ者若者馬鹿者がリスクをとってやるしかないのが実情です。
岡住もピッチでこう言っています。
これからできる拠点も含めると、我々は約3年間で8拠点を立ち上げることになります。
でも一方でその間に、すぐ近くの信用金庫は店舗を閉めました(店舗統合)。飲食店も豆腐屋さんも閉まりました。さらにこの9月は、まちの一等地にある第二地銀も店舗を閉めます(店舗統合)。
まだまだ、まちが消滅していく方向に進んでいくことに関しては、一進一退でも言い過ぎ‥?という感覚です。
その他の理由としては、わざわざ男鹿まで来てくれる人たちにもっと男鹿を楽しんで欲しい、まちづくりの取り組みにはそんな気持ちもあります。
我々はお酒は「地域メディア」であると考えており、ありがたいことにお酒をきっかけに全国からお客様が蔵まで来てくださっています。そういう意味では、まちをもっと盛り上げる・シャッターを開けていくというのは、新しい男鹿に来るきっかけを作っている我々の使命なのかもしれません。
そんな中での取り組みの一つが、2023年8月に開業したラーメン店でした。ラーメンも、遠方からでも人を惹き付ける力のある「地域メディア」としての力があります。そして実は我々が拠点を置く男鹿市船川には、当時ラーメンの専門店はありませんでした。「欲しいものがなければ、自分たちで作ればいい」そんな背中を、自分たちよりもさらに若い人たちにも見て欲しい、そんな想いもあったりします。
地元にラーメン店が欲しい・作りたいというのは、実は創業後のかなり初期から言っていたことでした。それが、㈱力の源ホールディングスさんとの縁ができ、協力を得たことで、急速に動き始めたというわけです……(その後の資金調達の話は、資金調達シリーズ④に続く……)
※ 当初のオープン予定時期に秋田県で豪雨災害は発生した関係で、最終的なオープンは2023年の8月に入ってからとなっています。
3.お空の上で美味しいお酒を飲みたい
ICCサミットのピッチではそういったことは話していませんが、岡住は会社説明をする際によくこう言っています。「どうしてここまで頑張るのかと言うと、自分が死んだ後に、お空で美味しいお酒を飲みたいから」だと。
今の自分のことではなく、その後をのことを考えているまさに利他の精神、大変彼らしいなと思っています。
一方自分はなぜまちづくりの取り組みにもここまでコミットできるのかと言うと、岡住みたいな高尚なことは考えられていなくて(笑)、単に取り組んでいて自分が楽しいからということに尽きます。
なぜ楽しく感じるのか、まだ自己分析がそこまでできていないのが正直なところなのですが、前職公庫時代から一次産業に携わりながら地方都市を転勤していたこともあってか、まちづくりには実は元々かなり興味を持っていました。木下斉さんの著書を初めとして、まちづくり関係の本が自宅の本棚には複数あります。
元々はものづくりに携わって、自分が何らか関わったプロダクトを自分で売りたい、そんな気持ちで稲とアガベに、男鹿に来ましたが、気づいたら元々興味があったまちづくりにも取り組んでいる……そんな数奇な運命の最中ですが、すばやく・まっすぐ・たくさん、やれること全部やる、そんな気持ちで引き続き頑張っていく所存です。
皆さま引き続き、稲とアガベを、男鹿を、どうかよろしくお願いいたします。来たことある方もそうでない方も、いつでも男鹿にてお待ちしております!!
※ ここまでの出元の大部分となっていた資金調達シリーズ④の記事、勢いで本記事アップの3日後に書きあげました! 資金調達に興味がある方は続いて以下の記事も是非お読みください!
(以下、最後にいくつか参考記事です)
■ 稲とアガベのオウンドメディア「海と-」の自分のインタビュー記事。そこには「人間の社会活動に興味がある」と自己分析してますが、もう少し深堀り・具体化していきたい……
■ 稲とアガベのICCサミットでのクラフテッド・カタパルトに優勝に伴うプレスリリース
■ クラフテッド・カタパルトのピッチで岡住が6億円を地元の金融機関から調達したと言っていますが、その裏側がわかる自分のnote記事(最後は宣伝 笑)