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会社にNotionを導入した理由とそのプロセス

今から約半年ほど前の2023年5月、会社にNotionを導入しました。
この記事では、下記について記載します。

  • Notion導入を考えだした背景

  • Notion導入時に行ったこと

  • Notion導入後の状況変化

※「Notionとはなにか?」についてはここで詳しくは述べませんので、ある程度Notionの存在を知っている前提での話となります。
詳しく知りたい方は下記↓

ここ数年で急激な勢いでユーザーを伸ばしているNotion
最近では、様々な会社でも業務管理ツールとして導入が行われており、会社に導入したいと考えている方も多いのではと思います。

そんな方の参考になればと思います。

Notion導入を考えだした背景

僕が現在所属する会社は、株式会社エイチームコマーステックという、株式会社エイチームのグループ子会社です。

2022年1月頃から、業務の筋肉質化・マネージャーレス組織へのトライといった取り組みを開始していました。

その中で僕は、その仕組みづくりをリードする役割を担っており、業務の見える化やドキュメント化を推進していました。


当時の仕組みの状況

当時、会社ではGoogle Workspaceをメインの業務ツールとして活用しており、業務の見える化やドキュメント化も、このツール上で行っていました。

具体的には、下記のように、主にSpreadsheetとGoogle Docsを活用する形で仕組みや各種情報の管理を行っていました。

  • 業務一覧の管理 → Spreadsheet

  • プロジェクト管理 → Spreadsheet

  • タスク管理 → Spreadsheet × Slack

  • 議事録管理 → Google Docs

  • プロジェクト憲章(的なもの)→ Google Docs

  • マニュアル管理 → Google Docs

  • etc…


日に日に増してきた管理の煩雑さ

まだ仕組みが完成していないうちや、仕組みとして定着するまではGoogle Workspaceの運用で事足りていました。

しかし、仕組みが定着し、プロジェクトやタスク、マニュアルの量が増えてくると、Google Workspaceでの管理が困難に感じる状況が増えてきました。

例えば、

  • ツールの切り替えが多い

    • 議事録を取りながらタスクを確認したい際、タスク管理しているSpreadsheetを開く必要がある。

    • プロジェクトの状況を確認するために、タスク管理シート(Spreadsheet)や議事録(Google Docs)を行ったり来たりする必要がある。

  • マニュアルや会議資料のテンプレート作成をコピペで行う必要がある

    • ※GASなどかませればなんとかなりそうですが、サイロ化の可能性があったためこの方法は取りませんでした。

  • ファイルやシートの全体像の把握のしづらさ

    • ファイルやシートが増えていき、体系的な管理が難しい。

  • TODO管理との連携のしづらさ

    • 会議で決定したTODOを別のスプレッドシートにコピペで管理など手間がかかる。


全体を統合して管理できる手法の模索

当時、僕が一人で全体の管理や指揮を行っていたこともあり、なかなか効率的な運用や情報の網羅的な把握ができない状態になっていました。

そこで、何か他に業務全体を効果的に管理できる方法が無いかと考え始めました。

そんなとき、ふとYoutubeでNotionの紹介動画を見つけました。

明確には忘れてしまいましたが、おそらくノースサンドのよーじろーさんの動画だったと思います。

・・・まさにそれがNotionを業務に取り入れるきっかけとなるものでした。


Notion導入までの流れ

調査と確信

そのYoutube動画を見た瞬間、求めているものはこれなのではないか!?との直感がありました。

・・・そこから、Notionについての急速なインプットが始まりました。

  • Youtube動画150〜200本 (うち100本以上はよーじろーさんの動画)

  • 書籍5〜6冊

これらを、1週間ほどの期間で見続けました。

また最終的には、ある程度要件や特性を洗い出し、様々なツールを一覧化しました。

比較した際に一覧化した資料
※情報の精度は保証しかねます。が、概ねの方向性は合っているはず。

・・結果、

求めていたのはNotionだ!!」

と確信しました。

困っていたドキュメント管理・タスク管理の要件を満たしてくれていることはもちろん、自分で好きなように仕組みを作成できる柔軟さもポイントになりました。

※ちなみに、Notionは数年前から認知はしており、プライベートではメモ帳レベルで使用していましたが、深く調べるまでポテンシャルに気づいていませんでした。


"壁打ち"と題した仲間集め

確信を得た僕は、Notionを会社に導入するために動き始めました。

エイチームコマーステック社内は、もともと新たなアイデアを提案しやすい環境です。
とはいえ、提案がしやすいことと、提案が採用されることはまた別の話。

どんな組織でもそうですが、全く前例の無いアイデアやツールをいきなり提案して、全てを理解してもらうことはなかなかに困難です。

そんな時に僕がよく行うのが、"壁打ち"と題した仲間集めです。

「今こんなことを思いついているのですが、どう思いますか?」 と、キーパーソンに相談を行うことです。

これを行うことで、思いついているアイデアが組織の課題感にマッチしているかどうかを推し量ることができます。

また、アイデアに可能性がある場合は、その会話の中で純粋にアドバイスも得ることができ、アイデアを前に進めることができます。

このときは子会社の社長に声をかけ、アドバイスを頂きました。
"提案"ではなく、"壁打ち"と題してアドバイスを得に行くことで、相手もアイデアを実現するための方法を一緒に考えてくれるようになるため、自然と仲間になってもらいやすくなります。


テスト導入と挫折

何度か"壁打ち"をさせてもらう中で、テスト導入をしてみたらどうか?という話になりました。

施策を実行する上で、テスト的に導入するのは有効な手段の一つです。

さっそく、週1回行っている経営会議でテスト導入の決裁をとり、1ヶ月ほどテスト的にNotionを導入してみる流れとなりました。

この時、テストの目的と具体的なゴールを下記のように設定して行いました。

  • 目的

    • Notionで業務がスムーズにできそうだという手触り感をメンバーに感じてもらうこと。

  • ゴール

    • 一通りのプロジェクト運営プロセス(立上げ~終結)をNotionで実行し終わっていること。

Spreadsheetで管理していたプロジェクトのステータスやそのタスク、関連ドキュメントを全てNotionで管理できるようにし、皆にテストしてもらいました。


結果はというと、、、
なんとも微妙な結果となりました。

▼テスト導入のアンケート結果

アンケートでテストの効果を測ったのですが、「どちらとも言えない」の割合が高く、判断がし辛い結果となり、会社としてもすぐに結論をだせない状況となりました。

こうなった要因は、テスト導入のスコープを「プロジェクト」に絞ったことでした。

  • 新規プロジェクトの立ち上げ数が多くなかったこと。

  • プロジェクトに関わるメンバーが一部のメンバーに偏っていたこと。

これにより、メンバーがNotionに触れる機会が少なく、「どちらとも言えない」という判断の多さに繋がりました。


もう一度テストの実行

微妙な結果になってしまったため、再テストでは、多くのメンバーがNotionに触れることができる機会を提供することにしました。

具体的には、各種ミーティングの議事録管理をNotionに移植し、一定期間の運用を行ってもらいました。

これがうまくいきました。

  • 議事録の一覧をNotionのワークスペースのトップページに置き、見やすくしたこと。

  • テンプレート機能を活用し、議事録作成のために行っていたコピペの手間を省いたこと。

  • タスク管理データベースと議事録を連携し、ミーティングで発生したタスクを一元的に管理できるようにしたこと。

特に決定的だったのは、経営合宿での議事録でした。

経営合宿は、約半年に1度、まる1日をかけて組織全体の方向性や課題の議論を行います。
この会議では議題や生まれるタスクの数も多く、これまでのSpreadsheetとGoogleDocsの管理では、ファイルの行き来やタスク管理の手間が発生していました。

会議の中でNotionのテーブルブロックやデータベースを活用し、議論を整理できたこと。

また、生まれたタスクをそのままタスクデータベースに登録し、コピペなどの手間が発生しなかったこと。

これを、皆が見えているところで実際の操作として実行できたことで、Notionの使いやすさ・可能性に経営合宿に参加しているメンバーが気づいてくれました。

最後のハードル

Notionに対し、みんなの興味がだんだんと高まっていました。
しかし、最後まで気がかりだと感じられていたのは、もしNotionを使ってうまくいかなかった場合、元の状態に戻せるかどうかという点でした。

Notionの最大の特徴の一つは、データベース機能です。
一般的な表計算ソフトウェアのような表機能であれば、スプレッドシートやExcelと互換性があり、データのインポートやエクスポートが簡単にできます。
これにより、もしNotionを導入してうまく運用できなかった場合でも、以前の方法に戻すことが容易になります。

しかし、Notionのデータベースはただの表というよりも、「プロパティを持ったページの集まり」という独特な構造をしています。
これに加えて、データベース間の関連付け(リレーション)も可能で、構造が複雑になりがちです。

このような特性のために、Notionで管理しているデータをスプレッドシートやExcelに移すのは簡単ではありません。
これにより、運用がNotionに強く依存することになりかねません。

このようなデータの可逆性の問題が、Notionの本格的な導入を検討する際の大きな障壁となっていたのです。


最後はエイヤ

では、この問題をどう乗り越えたのか?

結論をお伝えすると、下記の2点になります。

  1. 覚悟を見せたこと

  2. 今後の可能性を説明したこと

1について。
うまく行かなくなった場合、最悪自分が責任者として力技(コピペなど)を使ってでも元に戻す覚悟があることを伝えました。

2について。
Notionは日々アップデートを繰り返しており、今後もっと使いやすいツールとなる可能性を持っていることを伝えました。

また、逆に組織としてNotionの運用が上手くいき、生産性が上がった場合、他のグループ会社全体に横展開も可能であることも強調しました。

もともと人数規模の小さいエイチームコマーステックは、様々なトライを先んじて実行する文化でもあったため、この提案は受け入れられました。


Notion導入後の変化

効率的な業務運営

Notion導入後、最も顕著な変化は業務の効率化でした。
以前は複数のツールを使っていたことで発生していた時間のロスが大幅に減少しました。

特に、プロジェクト管理やタスク管理が一元化されたことで、情報を探す・整理する時間が短縮されました。

コミュニケーションの改善

Notionの導入により、チーム内のコミュニケーションも大きく改善されました。
特に、議事録を一箇所に集約し、各種会議のテンプレートも即座に作成できる状態にしたことにより、一箇所に会社全体の議論の結果がまとまるようになりました。

これにより、リモートワークを中心として働いているチームメンバー間の認識の齟齬の減少に繋がったと感じます。

柔軟なカスタマイズ

Notionの最大の強みは、その柔軟性にあります。

プロジェクト管理や議事録管理はまだまだ試行錯誤中なのですが、日々変わるニーズに応じて、様々なテンプレートを作成し、業務フローをカスタマイズすることが可能になりました。
(仕組みをつくる役割を持っている個人としては、ここが一番うれしいポイントです)

まとめ・今後の展望

Notionの導入効果を踏まえ、今後はさらなる機能の活用と社内での普及を目指しています。

現在はマニュアルの作成・整備をNotionで実行中ですが、これを完成させ、より属人性を排除した安定的な組織づくりに貢献したいと考えています。

また、この成功体験を基に、他のグループ会社への導入提案も検討しています。



これからも、業務の仕組みや生産性向上について発信をしたいと思っています。Xもやっていますので、よろしければフォローお願い致します。


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