Notionを業務でつかう前に知っておきたい、Notion以外の知識
想像してみてください。
Notionは、あなたの業務を加速させるための高性能スポーツカーのようなものです。
しかし、あなたはまだ免許をとって1週間の初心者です。
どんなに強力なスポーツカーを持っていても、運転技術が未熟であれば、その潜在能力を引き出すことはできません。
さらに、行き先を決めずにアクセルを踏むのは、ただの時間の無駄。
(趣味としては楽しそうですがw)
その真の力を発揮するためには、運転技術や交通規則の理解、目的地・ルート計画、車両のメンテナンス方法…など、つまり「スポーツカー(Notion)以外の知識」が必要です。
Notionも同じで、その潜在能力を発揮させるためには、Notionそのもの以外の知識の理解が重要です。
この記事では、Notionをただの飾りにするのではなく、その機能を業務の高速道路でフルに活用するために必要な知識をお伝えします。
知識その1 「心・頭・体」
企業のオペレーション戦略について体系的にまとめられている『MBAオペレーション戦略』の中では、理念・戦略・実務遂行能力のことを、心(ビジョン)・頭(競争戦略)・体(オペレーション)という言葉で表現しています。
Notionを導入する際、よく陥りがちな誤解が一つあります。
それは、Notion自体の導入が目的地であると錯覚することです。
しかし、効果的なオペレーション戦略を構築するためには、「心・頭・体」の概念を念頭に置き、Notionを戦略の一環として正しく位置づけることが不可欠です。
心( ≒ 目的の設定)
すべての戦略は「心」から始まります。
これは、会社のビジョン、目標、そして業務における最終的な目的を指します。
重要なのは、Notionが「心」にあたると勘違いしないことです。
Notionを導入する前に、まずはこの「心」を明確にしましょう。目的なくしてツールの導入は無意味であり、方向性を失った努力につながる可能性があります。
頭( ≒ 戦略的計画)
「頭」は、目的を達成するための戦略と計画です。
ここで、Notionがどのように業務プロセスをサポートし、目標達成に貢献するかを具体的に考えます。
ここでも考えるべきはNotionそのものではなく、あくまで「業務プロセス」や「管理する情報」についてです。
どの情報を管理し、どのプロセスを自動化し、チームの連携をどう促進するかなど、解決すべき具体的な課題を特定します。
体( ≒ 実行とツールの活用)
最後に「体」が登場します。
これは実際の行動やツールの活用を意味します。
Notionはこの段階で真価を発揮するツールです。
設定した目的と戦略に基づいて、Notionが適切であれば初めてここでNotionについて具体的な検討を進めます。
Notionを用いて業務プロセスを効率化し、情報を整理し、チームのコラボレーションを促進する方法を具体化します。
知識その2 「整理・収納」
「整理・収納」の定義をご存知でしょうか?
「整理収納アドバイザー」「整理・整頓(収納)」など、整理と収納は並列で語られることが多いため、あまり意識されない方も多いと思いますが、実は明確な順番が存在します。
整理が先で、収納が後 です。
Notionはここでいう「収納」ツールに該当します。
Notionの強力な「収納」機能に目を奪われて、とにかくなんでも情報をつめこもうとする人も多いです。
しかし、Notionをうまく業務で使うには、何を収納するかを決める前に、まずは「整理」のプロセスを踏むことが重要です。
整理
「整理」の定義は、必要なものといらないものを分け、いらないものを捨てることです。
つまり、Notionに収納する情報を選ぶプロセスです。
現在の業務プロセス、プロジェクトの目標、チームのニーズなどを考慮に入れ、何をNotionで扱うのかを区別します。
ここで取り扱う情報をある程度絞り込むことができると、Notionで実現すべき機能も明確になり、導入がスムーズに進みやすくなります。
収納
「収納」の定義は、必要なものを必要なときに取り出しやすいようにしまうことです。
「整理」を経た後、Notionでの「収納」が始まります。
ここでの目的は、選定された情報を効果的に管理し、簡単にアクセスできるようにすることです。
Notionのテンプレートやデータベースなどを利用して、情報の種類や使用頻度ごとに適切に配置します。
※補足
上記で、情報を詰め込む前に、詰め込む前に情報を整理しましょうと記載しました。しかし、Notionは情報が詰め込まれた後で再整理することも容易にできます。
最近ではNotionQ&Aという機能もリリースされ、情報が整理されていない状態でも、必要な情報を取り出すことがより簡単になってきています。
知識その3 「エントロピーの増大」
物理学における「エントロピー」という概念は、システム内の乱雑さや不確定性の度合いを表します。
この原理は、宇宙の法則に留まらず、Notionのようなデジタルツールの運用においても同じことが言えます。
積極的にメンテナンスされない限り、時間が経つにつれ、エントロピーは増大し、システムはより乱雑で非効率的な状態に傾きます。Notionの運用においても、定期的なメンテナンスと整理が不可欠です。
エントロピー増大の法則とは
エントロピーは、物理学において乱雑さや不確実性を量的に表す指標です。
エントロピー増大の法則とは「「物事は放っておくと乱雑・無秩序・複雑な方向に向かい、自発的に元に戻ることはない」」ということです。
たとえば、下記のようなものです。
拡散した気体は元に戻らないこと
常温に置かれた熱湯は自然に冷めるが、一度冷めた水が勝手に熱湯に戻ることはないこと
コーヒーにミルクを入れると自然に混ざるが、勝手に分かれることはないこと
閉じたシステムでは、外部からのエネルギーが加わらない限り、エントロピーは常に増加する傾向にあります。
Notionにおけるエントロピーの増大
Notionは、情報を整理し管理するための強力なツールですが、適切な整理や管理が行われないと、情報のエントロピーが増大します。
過剰な情報が登録される、、古くなったデータが無秩序に散らばっている、、期日が切れたがステータスが進行中のままのタスクなど…の形で現れ、効率性の低下を招きます。
メンテナンスの必要性
Notionを効率的に保つためには、定期的なメンテナンスが必要です。
これには、不要なデータの削除、情報の再カテゴライズ、タスクの最新化などが含まれます。
とはいえ、必要性があるだけではメンテナンスは実行されないのが常なので、メンテナンスの担当者とメンテナンスのタイミングを明確に決めておくことが業務においては重要です。
まとめ
以上のように、Notion業を務の効率化を実現するパワフルな「スポーツカー」として活用するためには、Notionそのものの知識だけでは不十分です。
オペレーション戦略としてのNotionの位置づけ。(心・頭・体でいう「体」)
整理・収納の概念の理解
エントロピーの増大のような科学的な法則の理解
など、周辺知識の理解が必要です。
今回紹介した知識はほんの一部ではありますが、ぜひNotion導入の際の視点の一つとしてお持ちいただけると、より効果の高いNotion導入になると思います。
私、株式会社エイチームコマーステックにて、業務効率化などを進めています。少しずつ発信を増やしていきたいと思っているので、興味ある方はXのフォローなどもお願いします。