『永遠の昨日』の感想
※ネタバレを含みます。
2022年3月に角川文庫から出版された榎田尤利さん著の『永遠の昨日』。
そして、2022年10〜12月に放送されたドラマ『永遠の昨日』。
まず、前書きを。読み飛ばしてもらって結構です笑。
[特にどうでもよい筆者のBL作品経歴]
筆者は、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称:チェリまほ)』以来、BL作品に興味をもつようになりました☺️
ドラマを中心に鑑賞し、気になったら原作を見てみるという生活を送っていました。
今まで観てきた作品は『チェリまほ』、『消えた初恋』、『みなと商事コインランドリー』などなど。この3つの作品は原作の漫画も手に入れるほどハマりました🫠
特に『チェリまほ』をドラマで初めてみたときは、衝撃でした😳それまで好きなドラマは、チラホラあったものの、ここまで自分の脳内を占拠されたことはありませんでした。
それまで、深夜ドラマを見たことはほとんどありませんでしたが、限られた尺の長さ、予算、宣伝のなかで、演者、監督、スタッフ、多くの関係者が良いチームワークを築いて、ここまで上質で素晴らしいドラマを作り上げられることに感動しました😭
これを見る前はドラマの裏側まで知りたいという欲求はありませんでしたが、少しでもドラマについて、演者について情報を得たいと駆り立てられたのです!
間違いなく、『チェリまほ』は、自分の中の好きなドラマランキング堂々の1位にでした。これを超える作品は、もう現れないんじゃないかと人生経験の浅い10代の筆者は、思ったのです。
それからというもの、深夜ドラマ、主にBLドラマを嗜むようになり、自分の趣味の幅が広がって楽しい生活を送っていました😊
カップルの思いが通じ合ったときは、多幸感に溺れ、疎遠になったときは胸がギュッとなり、感情のジェットコースターの日々を謳歌していたところ、またも衝撃の作品に出会いました。
ここからが本題
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それが、
『永遠の昨日』である。
昨年の秋、『永遠の昨日』と出会った。
果たして、この年に、何本のドラマが放送されたのか知らないけれど、とにかく結構な数なんだと思う。その中で筆者が『永遠の昨日』に出会ってしまったのは、確率的に奇跡と言えるかもしれない。(ちょっと言ってみたかった)
そう、奇跡。みっちゃんに言わせれば、思考停止ワードかもしれませんが、奇跡。そのくらい出会ってよかったと思う作品でした。
一応、あらすじを載っけときます。
筆者が、このドラマを見ようと思ったきっかけは、前クール作の『高良くんと天城くん』を見ていたからです。この路線の人は、まあまあいるのではないでしょうか🤔そして、『高良くんと天城くん』を見ている間に流れる『永遠の昨日』の予告を見てこう思います。「あれ?田中氏じゃん。次は主演するんだ。全然雰囲気違くね?なんか、気になる。切なそうだけど、見てみよっと。」
筆者もその一人であり、『永遠の昨日』を見始めました。予告を見ていたので、浩一くんが事故にあって死体になるのは、なんとなくわかっていましたし、結末も予想していましたが、なぜ死体なのに動くのかは、存じ上げていませんでした。
筆者は、「みっちゃんと浩一は、両片思い状態にあって、お互いに想いを伝えられないまま、浩一が事故に遭ってしまって、未練が残り、死体なのにこの世にとどまってしまった。その短い期間に、2人は想いを伝え合い、身を焦がすような恋をする。」みたいな感じなのかと思っていました。
ところが、あの3話です。この話で沼落ちた多くの人々は、指示語の「あの」を、わざわざつける意味がわかることでしょう😏あの3話で、お互いすでに恋人同士だったことが判明します。
初めて交わすキスシーン。筆者は、あれほど美しいキスシーンを見たことがありません🫣鼻同士をくっつけて、お互いの唇が引かれ合うように重なる。やっと通じ合えた。本当の意味で出会えた。そんなみっちゃんと浩一の気持ちがキスシーン一つから溢れ出てきます。
ハッピーエンドのBLドラマだったら、この上なく嬉しい、祝福の気持ちで胸いっぱいなのですが、この後の展開を考えると違った感情が筆者に湧き上がってきます。
こんなに素敵なのに…1年後にはもう別れがきてしまうなんて…なんて残酷なんだろう…
2人の目が合って笑いあったとき、筆者は涙を流していました。たぶん、どんどん苦しくなる。でも、見たい。そういった葛藤を最終話まで抱いた人も多いでしょう。
しかし、次の4話。耳たぶを噛んだり(笑)、すみちゃんに封印されたりと、あまり切なくない展開。筆者は、ホントに単純に「原作読めば、耳たぶの続きが分かります。」という原作既読者の誘惑に勝てず、気になって原作を購入しました。(下心しかないけれど、そういうものですよね、よね?)
元々筆者は、お小遣いの大半を本に費やす、将来は壁一面の棚を好きな本でいっぱいにしたいという夢をもつ読書好きであります📚
しかし、BLの小説は読んだことはなかったのです。ニマニマしながら耳たぶの続きをみて、その後の展開を知らぬまま、そのまま読み進めました。
涙がとまらない。「創作物は、感情移入しなければ、涙を流すことはあまりない」と、一度涙が流れると止まらない筆者は、この手法で数々の悲しい系の物語を日常生活まで持ち込まないようにしてきましたが、無理でした。
まず、みっちゃんの感情が文面に溢れすぎている。文章を理解したら、同時にみっちゃんの気持ちが勝手に自分の中に入ってくる。こちらが登場人物に感情移入する側じゃなくて、される側になっている。
あと、後半の畳み掛けがすごい。筆者が考える泣きポイントが6つあります。
①トラックの運転手と遭遇した後
②みっちゃんとすみちゃん
③2人の最後の夜
④みっちゃんと父親
⑤浩一ターン
⑥20年後のみっちゃん
他にもたくさんありますが、筆者が大きく捉えただけでも、涙腺が緩むシーンがこんなにあります。筆者が今まで読んできた本も悲しい切ない展開はありましたが、せいぜい2つか3つぐらいだと思われます。
原作を読んで、ドラマの道筋が大体わかったまま5話、6話、7話をみて、迎えた最終話。
最終話を見る前、一旦深呼吸して、TVerで再生。特に5年後のみっちゃんの最後の表情、別れの朝の浩一の最後の表情に胸を打たれ、やはり涙涙涙😭
原作未読者には、情報過多なのでは?というぐらい内容が濃く、期待を裏切らない最終話。基本、最終話は期待がある分、思っていたよりつまらなかったという感想が出やすいと思いますが、何という素晴らしきエンディング。
そう、エンディングテーマ曲もいい。筆者は、このエンディングテーマ曲を個人的2022年ベストソングにしたほど大好きです🥰
その曲と一緒に流れるエンディングの映像。もう、胸がギュッと締め付けられているのに、とどめを刺してくる。
サントラも涙を助長してくる。永遠の昨日のテーマは、かなり単純なメロディーラインであるのに、もうサントラを聴くだけで情景が浮かび切なくなってくる。
主演の小宮璃央さんと井上想良さんは言うまでもなく素晴らしすぎて、今後も追いかけることを誓いました🫡
小宮璃央さんは、もう田中氏じゃなかった。浩一だった。未だに同一人物であることが受け入れられません。演技のはずなのに、ものすごく自然体。前から用意されているセリフを言っているように見えない。1話の目線が合うシーンから、この俳優さんやばいなと思いました。完全に恋している目、本気の目。あと、浩一の屈託のない笑顔がすごい。子供のように無邪気。田中氏の感じが全くしない。3話のみっちゃんに「一番だよ」って言われて、その言葉の意味を理解すると同時に顔を上げて黒目の中に光が灯る驚く表情、天才すぎる。それでいて、色気のシーンもこなす。もう、よくわからない。筆者が1番素晴らしいと思った演技は、やはり、ドラマ最終話本当に最後の、みっちゃんを見つめながらの微笑みの表情です。みっちゃんと離れなければならない切なさ、悲しさ、悔しさ、それでいて運命を受け入れ、空の上からいつまでも見守っているから、みっちゃん、幸せになってねと願うような表情。きっと、みっちゃんの母親も、みっちゃんの幸せを願って微笑みかけていたのだと思います。こんな表情、19歳(撮影当時)で、できるんですか?本当に今後の活躍が楽しみで仕方ないです。
井上想良さんは、まず目が透き通ってる。とても綺麗。みっちゃんは繊細な人間だと思うのだがらそれが瞳でもう体現されていますよね。この俳優さんが気になって調べたら、みっちゃんとのギャップを知ってさらに驚き。みっちゃんは内向的で物静かな性格ですが、井上想良さんは外向的でアクティブな印象。え?こんなに元気でよく笑い、テニスができるスポーツマンタイプの方が、あのみっちゃんをみっちゃんでしかないくらいに演じられるとは。もちろん、井上想良さんのまっすぐさが、みっちゃんに生かされているのではないかと思う部分もありまして。もう、この俳優さん以外でみっちゃん想像できないです。また、ドラマ後半のみっちゃんの辛さ、悔しさがじわじわと出てくる場面で、浩一が逝ってしまった朝までは涙が流してないんですよね。すみちゃんとのシーンも涙が表面張力?なのか目のなかにとどまったままなんですよね。それを父親との会話のシーンで今まで抑えてた涙が目から溢れ出す。感情の持っていき方がすごいと思いました。今後は、みっちゃんとは出来るだけ違う役を見てみたいと望んでいます🤩
『永遠の昨日』と『チェリまほ』
好きなドラマランキング同着1位となりました。あざざました。
あと、小説の方で、私がこの『永遠の昨日』で1番好きな言葉があるのですが、
この最後の
いなくなった人たちのために
乗り越える
っていう言葉に筆者は1番感動しました。
完全に筆者の主観的な見方ではありますが、この小説の核の部分ってそこなのではないかと。
みっちゃんは浩一を失いたくなくて、死を受け入れることができなくて。死体なのに動けるという有り得ない事態をつくってしまった。また、すみちゃんが言っていましたが、思念だけなら双方が望んでいれば、ずっと一緒にいられるけど、生きている人と縁を切ることになると。
死体が動くことも思念で繋がることもノンフィクションの世界では不可能なわけですが、身近な人の死を嘆いて、生きる意味を失っている状態の人はたくさんいるのだと思います。
小説における20年後のみっちゃんは、悲しみは消えてないけれど、時間が経つうちに角がとれて丸くなったと言っていましたが、それがすみちゃんが言っていた「乗り越える」ということなのだと思います。
筆者は、みっちゃんでいう浩一レベルの人が亡くなったという経験がないので、その苦しみや辛さを想像はできても実感はできません。ですが、やはり「生きる」ことが大事なのだと思います。ドラマでみっちゃんのお父さんが言っていたように「無理に癒そうとしなくていい」という言葉通り、無理やり辛さを忘れようとしたり、抑えつけたりせず、ときに涙を流しながらも、生きる。いなくなった人たちの分まで生きる。そうあれたらいいなと思います。
これから、年を重ねるにつれて、周りの死が増えていくのだろうと思います。そんなときにこの小説をバイブルとして読み返していきたいと思います。
そんな意味でも
『永遠の昨日』に
出会えて良かった。
と心からそう思います。
『永遠の昨日』に関わる全ての皆さま、ありがとうございます🙇🏻♀️そして、
完全版まってまぁぁぁぁす🥰😍
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