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奨学金応募に不可欠なCSSプロファイルでの苦労と葛藤

はじめに、注意点です

#細かい入力方法や証明書の取得方法、英訳テクニック等は、あまり期待しないでください。

#こちらでは親の立場から、実際に直面した苦労や葛藤について、書いていきます。お子様の未来の大学進学の参考になりましたら。


奨学金応募に不可欠“CSS Profile”

  • CSS Profileとは、College Scholarship Service Profileの事。 CollegeBoardというNPOが運営しています。

  • 特にニードベース*の奨学金の応募には不可欠となります。*例えば、A大学では学費+生活費で年600万円必要で、家庭から支払える許容額が年200万円だった場合、その不足している400万円を奨学金として応募する制度

  • アカウントを作成し、データを入力すると、その情報を応募したいアメリカの大学すべてに、一気に送信・共有できる仕組みです。

  • 奨学金に応募する時に、大学ごとに異なった書類を出さなくてはならない手間を省き、効率的な応募が可能となります。

子供の留学にいくら払えますか?

  • CSSでは、とても多くのParent Dataの入力が必要となります。その目的は“子供の留学にいくら払えますか?”を大学に提示するためです。

  • まず、現在、子供にかかっている金額を明確にします。

  • 次に、世帯収入に加え、税金や生活費、住宅ローン等のデータを入力します。これにより、収入から今後も生活を続けていくために必要な金額を差し引いた、学費に活用可能な余剰金額を試算します。

  • 続けて、銀行口座(現金預金)や保有株式、負債などのデータを入力します。これにより、活用可能な金融資産を試算します。

  • そして最後に、これらの金額から、 “子供の留学にいくら払えますか?”について、入力する形となります。

作成には1か月はかかります

  • 収入と金融資産については、全て英訳された証明書が必要となります。

  • 企業によっては、英語版の源泉徴収票を発行してもらえるかもしれませんが、多くの場合は英語版の収入証明がないため、日本語版の証明書を入手した上で、外部サービスや自身で英訳する必要があります。

  • 一方で生活費等のデータは、証明書は必要ありませんが、食費や水道光熱費、税金など多くのデータ入力が必要となりますので、収集と整理に時間がかかります。

  • また収入が大きく減少する可能性がある、といった特殊事情をアピールしたい場合は、その状況や理由、影響を英語で入力する必要があります。

  • このような感じで、証明書やデータを集約・整理し、CSSに入力できるレベルに準備と英訳を行うには、1か月かかると思います。

英訳された証明書の準備

英訳を載せた納税証明書
  • 世帯総収入

    • 私と妻は納税証明書を英訳しました。
      ①コンビニ等で即日発行が可能
      ②複数の収入源があってもこれ一つでOK
      ③税金など必要な項目が網羅されている
      ④同じフォーマットなので、一度英訳版を作成すれば、夫婦同時に完成します

    • 英訳に関しては、こんな感じで納税証明書のPDFの上から英語を張り付ける形で対応しました。

  • 残高証明

    • 複数口座を持っている場合は、その全ての銀行に英語版の残高証明の発行を申請します。

    • 発行までに申請から7~10日程度かかります。(銀行によっては、即日発行のところもあり)

    • 保有株式については、その証明書や現在価値、売却履歴、配当などより細かなデータも必要となります。

独自のスプレッドシートで生活費を整理

  • 生活に必要なコスト

    • CSSでは表にあるように、10項目以上の細目で入力が必要となります。

    • こちらは証明書が必要ありませんので、ある月の値を12倍しても、毎月の実数を合計しても、なんとなくの感覚でも、問題ありません。

    • 留学中に想定される必要な生活コストを入力するので、例えば、数年後に弟や妹が高校や大学に進学するため教育費が大きく増加する、といった変動要因がある場合は、それを想定したコストを試算・入力します。

  • その他コスト

    • 携帯電話や習い事、生命保険費、推し活費、といったコストは、上記の生活に必要なコスト項目に入っていないので、これらは、その他コスト項目に追加します。

    • 我が家では、通信費やコンテンツ購入費、サブスク、スポーツジム費などを追加しました。

合格通知と奨学金の結果

  • 合格通知を頂いた私立大学では、大学が提示している学費と生活費を合計した年間必要金額から、CSSプロファイルで提示した“留学に払える金額”を差し引いた、まさにニードベースの奨学金を提示頂きました。

  • 州立大学等は、元々インターナショナル生に対して多額の奨学金が払う仕組みがないため、CSSプロファイルによって、奨学金が増額されるといった事はありませんでした。

  • そのため、志望大学に合格しても金額面で折り合いがつかず断念せざるを得ない大学もありました。一方で当初の志望度が低くても、提示金額がとても大きく、かつ大学側から熱心にお誘い頂いた大学もありました。

  • 合格通知を頂いた大学の中で、志望度と必要金額を天秤にかけ家族でよく話し合い、総合的に判断して入学する大学を決めました。

CSSプロファイルを通じて感じたこと

  • CSSプロファイルに入力した数値情報は、ダイレクトに奨学金に反映されていると感じました。

  • CSSプロファイルへの入力は基本的にエビデンスベースですが、最終的な“子供の留学に払える金額”は、ある程度自由に設定できると思います。

    • 世帯収入は証明書が必要ですが、生活に必要なコストはいくらでも調整が可能です。

    • 金融資産の場合、例えば3つ銀行口座があり、残高が1,000万円、100万円、10万円の場合、3つ全ての残高証明を出さず、100万円のものだけ提出しても、正直ばれる事はないと思います。

  • “子供の留学に払える金額” を大きくすれば、奨学金が減って生活的には苦しくなりますし、小さくすれば奨学金は上がりますが、その分、子供の合格可能性が下がってしまう、、、
    自由に設定できるからこそ、どこまで正直に書くのか、いくらにすべきか、悩みました。

  • CSSプロファイルとしっかり向き合ったおかげで、子供の留学費用だけでなく、家族に将来起きる事(兄弟の進学や父母の介護など)、私や妻の仕事・事業・収入の見通しを含めて、一家のキャッシュフローが整理・検討できた事は、とても大きな価値があったと思います。

  • そして何より、CSSプロファイルを通じて、留学した子供が一家のキャッシュフローを理解し、“こんなに自分の留学を応援・支援してくれているんだ”、という意識を強く持ってくれました。日本ではおこづかいの管理もろくにできなかった子供も、留学先では生活費の管理をしっかり行い、真剣に学業に取り組んでいます。


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