関わり続けるということ

年末の空気感が濃くなってきてますね。
段々と一年が終わっていくことに何かを思うことがなくなってきました。

今回は私が尊敬する人の話と自分の生き方について考えさせられた話をしようと思う。
私は中学生の頃に不登校になってうつ病を発症してから物事を継続することが難しくなっていた。
高校も三年間で三校通い、アルバイトも続かない、専門学校に入ってもペース配分に苦しみ、いつもうつが悪化して辞めるのがお決まりだった。
そんな自分が嫌だったし、もう何もできないんじゃないかと落ち込むことが多かった。
そんな中で私の人生を変える出会いをしたのは福祉系の専門学校に通っている時だった。その人を以降Yさんと呼ぶことにする。
Yさんの初めての授業は今でも覚えている、普通に授業を進めると思っていたら突然自分の病気の話を始めたのである。それも手術をしてなかなか大変な病気の話だった。そして退院してきた今思うことは、「日々の生活のありがたさ、家でご飯が食べられて幸せだ」ということ。
当時私は生活環境の変化のストレスによるものなのか軽度のバセドウ病を発症していて、学校に通うのもやっとの状態だった。
そんな時にYさんの闘病の話を聞いて感情移入して一人感動していた。そんな出会いだった。

そこからYさんの授業が楽しみになり、質問も多くして色んな話を教えてもらった。
色々質問する生徒はあまりいなかったのでYさんともすぐ仲良くなった。
その後私はうつ病が悪化して学校を辞めたのだが、心配して度々連絡をしてくれていた。
そして私に自分が関わっている施設を紹介してくれて働けるようにも勧めてくれた。

そこは低所得者や生活保護受給者の多い町の中の作業所で、Yさんはそこで生活相談員として働いていた。
そこではほんとに毎日色んな事があり、私自身人間的にすごく成長させてもらった。この辺の話はまた別の機会にしようと思う。
Yさんは役所に勤めていた経験もあり、まさに百戦錬磨という感じで利用者さんはもちろん職員にも安心感を与えてくれる存在だった。
私が驚いたのはその関わり方。
生活保護受給者の多くは家族との関わりがなく天蓋孤独な人が多い、そしてその孤独感からギャンブルやお酒に依存してしまうことが多かった。
お金にも困ってしまうことが多くて人を利用しようとしたり、疑ったりしてあまり人に対して素直になれなかったりする。
そんな人が多いので、もちろん裏切られることもある。
「変わりたい」「来月からちゃんとする」こんな言葉を言ってくれても翌月には同じようなことをして何も変わらないなんてことが多かった。
そしてそれが何度も続くとこちらも期待しなくなる。
「また無理かもな」そんな気持ちになるし、「他人は簡単には変わらないし変えられない」と思うようになっていく。
そういう人は罪悪感や何か言われるのを嫌い、人との関わり自体を避けようとする。支援の難しいところは相手が望まなければそれ以上はこちらのエゴになってしまうという問題だ。私も何度も歯がゆい思いをした。
しかしYさんは違った。人が変わるのは難しいと思っていながも、「私が関わりたい、そちらが嫌いでも私は関わり続ける」という意思表示を常にし続けていたのだ。
その暑苦しいまでの思いに最初は誰しも「放っておいてくれ」と拒絶する。でもYさんは変わらない、ずっとその人に変わらない態度で関わり続ける。
次第に拒絶していた利用者さんも「Yさんはしつこい」なんて言いながら頼りにしてくるようになる。最終的にはあの人なら信頼できると言われるまでに利用者さんの懐に入っていくのだ。
それは誰でもできるものではない。

Yさんは仕事とか関係なく人付き合いでもそうなのだ。
私が学校を辞めても、引きこもりになっても変わらず関わり続けてくれて今でもよく連絡をくれる。
「体調悪くなってないか?」「あなたが嫌になっても私はあなたに関わり続けるよ」
そう言って私を見守ってくれる。
引きこもり生活になってから負い目があったり希死念慮が出て人と話したりするのが苦しくなるけど、Yさんは変わらずそこにいてくれる。
私が実際に死のうと行動を移さないでいられるのはこうした人がいるからなんだと思う。
一人になりたいのに、皆には忘れてほしいのに、それをさせてはくれない存在。そんな人がきっと誰かにも必要なんだと思う。
だから私はこの受けた恩を返していきたい。関わり続けるということの大切さ、エゴじゃないかとか相手の気持ちを考えるのは大事なことだが、時にはそんなものを打ち破る必要があるんだと思う。
そういうことを私はしていきたい。まだ何も形にはなっていないけれど、私はこれからそうして生きていきたい。

人と関わることは大変で傷つき傷つけられたりするけど、生きることにおいて本当に大事で必要なことだから私はこれからも沢山悩んで考えて自分なりにもがいてみようと思う。
今日もなんとか生きてます。

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