
『伍と碁』元ネタ対局集(R7/2/18更新)
この『伍と碁』(原作・蓮尾トウト 漫画・仲里はるな 監修・井山裕太九段、寺山怜六段 協力・日本棋院)はいくつかの場面で囲碁の盤面が描かれています。細かな碁盤の縦横19本ずつ引かれた線に碁石が描かれていますが、監修者や碁石の配置から見たことがあると感じたため、調べたところ元ネタを発見することができたので、その内容をここに備忘録として書き記しておきたいと思い記事にしました。
囲碁が打てるファンによる非公式のノートであるため、細心の注意を払いますが、不適切と思われる内容や誤った内容があればご指摘いただけますと幸いに思います。
凡例
第 局
作中対局者 ー 作中対局者
西暦(和暦)年月日 置石数 対局結果
実際の対局者 ー 実際の対局者
補足
*1 話数は作中に沿って第n局とする
*2 原則、左の対局者を黒とする
*3 変則ルールがあれば補足にてその旨を記載する
*4 不明点があればその箇所の後に?を記す
第1局
秋山恒星 - 榎本翠
創作と思われる
秋山恒星 - 榎本翠
1853(嘉永6)年11月15日 2子 白中押し
村瀬彌吉 - 本因坊秀策
秋山恒星 - 榎本翠
1660(万治3)年? 5子 白中押し
雛屋立甫 - 本因坊道策
補足
昭和初期の道策全集の復刻版『棋譜集 道策全集 復刻版』では対局年が元禄年間(1688〜1704年)とされている
白山小金 - 秋山恒星
1792(寛政4)年12月30日 白中押し
本因坊烈元 - 安井仙角仙知
補足
御城碁
第2局
岡野環 - 秋山恒星
1682(天和2)年5月24日 黒4目
親雲上濱比賀 - 本因坊道策
補足
親雲上浜比賀(読み・ペイチンハマヒカ)は琉球国の士族。
この対局は第2局目で、1局目は道策の14目勝ちだったが、濱比賀からの強い要望により打たれた碁。
元の棋譜は黒の4目勝ちではあるが、中盤の追い上げが凄まじいという内容で採用された碁と思われる。
第3局
市原葉月 - 秋山恒星
第2局 岡野環 - 秋山恒星 とほぼ同一
補足
ただし、154手目から手順が変更されており、市原葉月の手は156手目以降となる。
手順を見てみると、岡野環 - 秋山恒星の最後の着手(155手目)が無理気味であり、市原葉月はそれを咎めた形となる盤面だった。さらにその後の秋山恒星の対応が悪く、元々の形勢としても若干黒良しではあるが、黒に固い形勢にまで傾いたように見える。
第4局
秋山恒星 - 市原葉月
1820(文政2)年1月2日 黒1目
井上安節 - 本因坊元丈
補足
御城碁 元丈の傑作 文政3年という説もあり