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これぞ"座付き"の真骨頂!花組『エンジェリックライ / Jubilee』感想【ネタバレなし】

花組大劇場公演『エンジェリックライ/ Jubilee』の初日と翌日を観劇してきましたので、興奮冷めやらぬまま感想を書きます。
いや〜〜〜〜ほんとに楽しかった…!!!!
時間とお金が無限にあるなら毎日でも観たいです。

エンジェリックライ:やっときた!ひとみさハッピーコメディ!

まずはファンタジー・ホラロマン『エンジェリック・ライ』について。
天界一の大ホラ吹き天使アザゼル(永久輝せあ)が天帝(紫門ゆりや)の怒りを買ったことで、天使の能力を奪われた上に嘘のつき方を忘れ、本音しか言えない状態で人間界へ落とされる。そこで宝石商フェデリコ(凪七瑠海)が持つソロモンの指輪を狙うトレジャーハンターのエレナ(星空美咲)と出会い…
という、自分で書いてても訳のわからないあらすじのエンジェリックライ。
予習いりません!
考察も(多分)いりません!
ただひたすらに笑って楽しめる演目です。
いや、やっとですよ…ハッピーなお話…
何しろひとこちゃんとみさきちゃんはこれまでに3度も主演しているのに

冬霞の巴里→姉弟で復讐
激情→一度は結ばれたものの最後はひとこちゃんがみさきちゃんを殺す
ドンジュアン→みさきちゃんが別の男(天城れいん)と婚約していたことを知って決闘してひとこちゃんが死ぬ


というバッドエンドっぷりだったので…
お披露目は何卒ハッピーエンドでお願いしますと願い続けたので、
念願叶って本当に嬉しかったです。
ホラロマンて何やねんwwwwwって演目発表のときに散々笑ってたんですけどほんとにホラロマンでした!同じく谷先生の『元禄バロックロック』が好きだった人は同じ読後感なのでたぶん好きだと思います。

オリジナル作品だからこそ「これでもか!」なあて書き

今回は谷貴矢先生の完全オリジナル作品ですが、花組生そして今回で退団されるカチャさんへの愛にあふれた演出が盛りだくさんでした。

・まず人間界の舞台がラピスラズリ(瑠璃)が採れるラズーリ島→カチャさんの芸名「凪七瑠海」の「瑠」からで、カチャさんの歌う歌詞の冒頭も「七つの海をとじこめた瑠璃色の宝石」
・アザゼル(永久輝せあ)とラファエル(綺城ひか理)は天使学校の同期→ふたりが宝塚音楽学校97期の同期生ということから。
・劇中の「親友だろ」というセリフはあかりちゃんが歌劇でひとこちゃんのことを「親友」と紹介したことから。
・幕開きで「天使学校を卒業したばかりの新米天使たち」と紹介される天使は実際に組周りで来ている研1さんたち(A班)。かわいい。
・アザゼルとエレナが銀橋で話しているときの背景が海と空で、永久輝せあ(Sea)と星「空」美咲の芸名から?
・天使アズラエルとフェデリコの絡みはおそらく二人がかつて宙組で一緒だったことから

探せばもっとある気がしますが今でも十分多いですね…ありがとう谷先生…一番ビックリしたのはひとあかの親友エピがここまでお芝居の真ん中に食い込んできたことです。ひとあか親友エピとは(もしご存じない方がいた場合のために説明しておくと)当時星組生だった綺城ひか理さんが星組公演『めぐり会いは再び next generation』に出演した際の役名が「アエテルニタス・ルクス・オンブル」で歌劇にて綺城さん自身が「親友の名前から」と紹介、アエテルニタスはローマ神話で永遠を表すので永久輝か…!?となっていたところ返歌のようにひとこちゃんもカフェブレイクで忘れられない一言は?という質問に対して「仲良い同期に親友って言われたことです!」と発言した事件のことを指します。こちとらゆるふわ第一回で「一緒の舞台に立ちたい」「ひとちゃんが引っ張る舞台の一員でありたい」と話していた別々の組にいたふたりが花組で一緒になったことをまだ奇跡だと思ってるのにあまつさえお互いを親友と呼びあかりちゃんの退団公演で同期の役なんて…なんたる僥倖…本当に谷先生には頭が上がりません、重ねて御礼申し上げます。
もちろん漫画原作ものや海外ミュージカルも大歓迎なのですが、宝塚の魅力は脚本演出から作曲、オケ、衣装、装置に至るまで内製できることだと私は考えていて、宝塚そしてタカラジェンヌを知り尽くした座付き作家にしか書けない物語があると思います。お芝居だけでなくショーの黒燕尾でも雪組時代からお世話になっていたカチャさん、そして同期のあかりちゃんそれぞれとの絡みがあったりなど愛にあふれた演出をしてもらえて、お披露目公演がオリジナル二本立てでよかったな〜と思いました。

七変化みさきちゃんに悪魔的ほのかちゃん、ツンデレあかりにメガネのらいと…

それぞれの役もキャラクターが立っていて見てるだけでも可愛いです〜〜
みさきちゃんはトレジャーハンターとして人目を忍んでいるという設定なので、ヘアスタイルも服装もめちゃめちゃ変わって楽しい。個人的には王女様ビジュが一番好きです。
ひとこちゃんアザゼルも途中人間の扮装をするのですが(多分)みさきちゃん演じるエレナがコーディネートしたであろう独特のセンス…笑
ほのかちゃんは衝撃のスチールが話題になりましたが人間の姿も良い!

こんなメイクしても顔きれいだからタカラジェンヌってほんとにすごいですよね。ほのかちゃんフラウロスは歌がたくさんあってどれも良かったんですけどカチャさんフェデリコとの悪魔のタンゴが好きかな〜ほのかちゃんの手下の美羽愛ちゃんも悪魔なのに安定のかわいさです。最後の「フラウロス様〜!!!」の言い方がほぼ「しょくぱんまん様〜!!!」のドキンちゃんでしたかわいい。
そして金髪ロン毛のあかりちゃん大天使ラファエル!似合う〜〜〜〜
あかりちゃんてなんであんなに中間管理職似合うんですかね。天帝様には無理難題をふっかけられ、アザゼルには振り回され…慌てているのがたまらないです。笑
エレナを追うICPOのマリオ警部(一之瀬航季)はほぼルパンの銭形警部ビジュアルですがトレンチコート着こなすさすがの等身バランスだし天使サリエルの希波くんはオタクが大好きな銀縁メガネ!!!谷先生はメガネ萌えですかね、今回ひとこちゃんもみさきちゃんもほのかちゃんもメガネかける場面があります。
フェデリコの部下の侑輝大弥・天城れいんコンビは顔1000000点だけどポンコツでかわいかったです。れいんくんがBUND /NEON上海で望海さんが着てた衣装でした。
今作はセリフを話す役以外にも舞台上にたくさん人がいるので、公演が進んでいくにつれてアドリブや小芝居がどう深まっていくのかも楽しみです。

大ホラ≒虚構を愛する私たち

今回のお芝居はウソがテーマ。道徳の授業だと「ウソはついちゃいけません」と言われたりするけど、一口にウソといっても優しさゆえの嘘や人のためを思ってつく嘘もありますよね。よくよく考えれば宝塚歌劇団も、女性に「男役」という現実にはいない存在を演じさせて、お芝居という「ウソ」をついているけど、でもそのおかげで私たちはたくさんの希望や活力をもらっています。夢だって「まだ現実にはなっていないウソ」かもしれないし、ウソをホントにしようと努力することこそ、現実を変える推進力なのかもしれないですよね。
エンジェリックライも、天使という存在だって人間が生み出した虚構の存在かもしれないし、一概に悪いとはいえない優しいウソが出てきたりして、私はウソに塗れた人間の世界も捨てたもんじゃないな〜と思いました。
何も考えずに楽しめるエンタメ作品、と冒頭にお話しましたが、そんなことを考えさせるなかなか深いテーマもあり、また舞台上の天使役の下級生たちが客席でオペラグラスを覗く私たちをオペラグラスで観察していて「深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗いているのだ」状態になったりなどなかなかヒリヒリする場面もあり笑、いろいろ思考を巡らせるのもまた楽しそうです。

Jubilee:新生花組で見たいもの全部見せますな祝祭

レヴューグロリア『Jubilee』は打って変わって華やかで宝塚らしい壮大なレビュー。
ジュビリーは祝祭・記念祭を表すそうで、ひとこちゃんとみさきちゃん率いる新生花組のお披露目にふさわしいタイトルだなーとすごく楽しみにしていました。
同じく稲葉先生演出だった明日海さんの『宝塚幻想曲』が大好きだったので、プロローグの衣装がデコバンドに変わり燕尾!手羽根を持って銀橋を組子がみんな回転寿司みたいに回ってくるのを見てこれこれ〜〜〜〜〜!!!!とめちゃくちゃテンションが上がる私。
ほのかはなこゆめを誘惑する美女たちの場面あり男役スーツ場面ありここ最近の稲葉ショーおなじみの下級生爆踊り場面あり大階段でカチャさんを娘役が囲む場面あり、ほんとに見たいもの全部見せてもらった…という感じでした。
特にSecret Gardenは、振り付けが三井聡先生で!みんな大好き「海の見える街」を見て以来、贔屓率いる三井先生振り付けの場面が見たいと思っていました。実はENCHANTMENTに続いて2度目なのですが前回は明るくかわいいみたいな感じだったので今回色気たっぷりスーツ場面でほんとうに最高!!!!!!!途中ひとほので組んで踊る場面もあり息が止まりそうになったり。曲がおなじみ「月光」のアレンジなんですけど始まり方もアレンジも良くてぴったりでした。
中詰では客席降りもあります。花組は本公演だと2019年『シャルム!』以来5年ぶりですかね?1階席の隅々まで、なんなら立ち見までファンサしに来てくださるジェンヌ(あかり)がいるそうなので通路席付近をお持ちの方はお楽しみに…!ひとこちゃん、みさきちゃん、カチャさん、ほのかちゃんは21列と22列の間の通路に来てくれます。
そして黒燕尾が…!!!!振り付けは百花沙里先生、曲は威風堂々で編曲が太田健先生。贔屓がゼロ番に立つ黒燕尾ってこんなにうれしいんですね。私は宝塚の黒燕尾に神舞とかと同じような神聖さを感じているので、激しかったり現代的なのも好きですが、ボレロとか壮大・クラシカルな黒燕尾が好きなんです。本当に〜〜〜〜〜〜好きでここだけでも元取れる最高な場面です。お披露目初日、ナイアガラつきの大羽根を背負って降りてくる姿にも感動しましたが、あまりにも似合ってしっくり来ていて、どちらかというと花組の男役を従えて降りてくる黒燕尾の方が涙腺にきたのでした。

今回の『Jubilee』はほとんどがクラシック曲のアレンジで構成されている中で、高橋恵先生作曲のテーマソングには「今日は記念日!」という歌詞があり。初日はまさしくひとこちゃんとみさきちゃん率いる新生花組の門出を祝う記念すべき日だったので、こんなにぴったりな歌詞はない!と思いました。これから東京公演、そして博多座へとしばらくジュビリーは続きますが、花組が公演している日は毎日が記念日ですね。宝塚にはそう思わせてくれる説得力があるところがやっぱり好きです。

いっしょに破産しようぜ

というわけでオリジナル二本立てだからこその愛に溢れた『エンジェリックライ / Jubilee』大劇場公演は公式・チケトレで発売中です。公演前は自分の財政状況と予算計画を鑑みほどほどにしておこうと思ってたのですがそんなこともう知らん。大劇場なんて立ち見2500円でタカラジェンヌが間近に来るんですよ?様々な画角で何度でも観たいので、絶賛スケジューラー&財布とにらめっこしています。いつもは東京まで待てばいいや〜とか配信でいいや〜な方も、ぜひ観て私に感想を教えていただけたら嬉しいです!

宝塚WEBチケットサービス↓
https://www.takarazuka-ticket.com/index_member.html



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