そうだ分籍をしよう(1/9追記)

 下記の記事を書いたあと、すぐに手続きしたもののずっと記事に出来ていなかったのですが、記録に残したいという思いと、興味を持っているけれど…という方がいたら参考にして欲しいという思いから遅ればせながら形にすることにしました。

 ※とはいえ「私の場合」で書いているので多少の齟齬はご容赦ください。
 ※分籍手続きについては2021年(令和3年)の出来事です。


何故分籍をしたのか

 きっかけについては上記出来事から。
 事あるごとに「家族なんだから」という言葉で全てをうやむやにしようとされ(あちらにそのつもりは無く、綺麗ごととして言っているだけかもしれませんが)、家族ならば何でもかんでも優しく無償で礼や詫びを受けずとも助けてあげないといけないなんてくそくらえだと思いました。そう思うこと自体がまた、冷たいだの薄情だの意固地だの言われるやつなのでしょうけれど。
 家族の縁というものはそうそう簡単に……というよりどう頑張っても切ることが出来ないものであるというのは悔しいながら理解をしています。ただ、それでも何か気を楽に出来るきっかけがあるのならばやりたいという思いでした。

 というわけで分籍という選択肢を知ってからは、分籍について検索をし、色々と目を通しました。

分籍とは

 定義としては「戸籍の筆頭者とその配偶者以外で成年に達している人が、在籍している戸籍から抜けて単独の戸籍を編製すること」になります。

 今回の私の例に当てはめてざっくり要約すると「親が筆頭者になっている現在の戸籍から、(18歳以上である)私が抜けて自分を筆頭者とした戸籍を作り、新たな本籍地を設定する」みたいな感じでしょうか。
 例えば結婚をすると元の戸籍から抜けて新たな戸籍を作ることになりますが、それをせずとも抜けることが出来るということです。
 分籍に審査等はなく、元の戸籍筆頭者の承諾もいらず、本人の自由意志で、手数料無料で行えます。
 分籍後に元の筆頭者に連絡が行くこともありません。元の筆頭者が何かの折に自分の戸籍を取り寄せた時には流石に発覚するでしょうが、機会は少ないでしょうしそこから取り消しも出来ません。

 行える場所は以下。

1:現在の本籍地を管轄する市区町村役所
2:分籍後の新たな本籍地を管轄する市区町村役所
3:現に住民登録をしている市区町村役所
引用:分籍届(Wikipedia)

 今回の私の場合だと2ですね。
 本籍地というのは現住所である必要はないというのは結構有名な話です。現住所北海道で本籍地が皇居とかでもいい。一番人気らしいです皇居。
 実際、私の元の本籍も母親の実家でしたし(私の実家と自治体は同じ)。
 分籍後の元の(親筆頭の)戸籍に新しい本籍が記載されるらしいので、新本籍=新住所とすると新住所が載る、ということでしょうが、分籍をあえてしようとする人で身内に新住所を教えたくない人は多いと思うんですよね。
 なので個人的には新住所じゃない新本籍の設定をおすすめしたいです。
 そして必要な書類は

1:分籍届(全国の市区町村役所に行けばある)
2:現在戸籍の謄本(全部事項証明)
※但し、現在の本籍地に届を提出し、分籍後も同一市区町村役所の管轄である場合は、添付しなくても良い。
3:印鑑(認印でよい)
4:本人確認書類(免許証やマイナンバーカードなど)

 2は現在(=親)の本籍地で手続きをして、新たな本籍も同じ管轄内に設定をするなら不要ということかと。
 あと今回書くにあたりざっと調べなおしたところ、令和6年3月から、提出する市区町村役場に本籍がない場合でも法務省の戸籍情報連携システムで戸籍の内容を確認してもらえるようになったらしいです(※ただしその戸籍がコンピュータ管理されている場合のみ。紙管理だったら取り寄せ必要)。
 当時はそうではなかったので私は事前に郵送で取り寄せました。
 申請用紙に取り寄せの理由を書く箇所があったので決意表明も兼ねて「分籍手続きのため」と書きました。地元の役所なんで親や自分の知り合いが働いていてもおかしくないですが知らん。

分籍決行

 某日、私は同じ区内で引っ越しをしたので、先に分籍をしてから引っ越しの手続きをする予定でした。この場合は転出じゃなくて転居ですね。

 区役所に行って分籍の窓口を探し、そこまで行って「分籍したいんですけど」と告げると記入用の分籍届が貰えるので記入。新本籍を記入するところで窓口の人に聞いたのは「ここの住所って何ですか」。
 はい、新本籍を区役所の住所にしました。
 面白味は無いけれど利便性は高いし覚えやすい、悪くない選択だと思っています。
 例えば急に私が死んでも、もしくはずっと先に死んでも「本籍は住んでる区の区役所」ということさえ分かっていれば周囲も色々やりやすいだろうと。元の戸籍を取り寄せる時に定額小為替を送るとか面倒だなぁと思ったのも理由です。これなら歩いて取得しに行ける。
 ちなみに窓口の人、何の疑問も感じた様子なく「ここに書いてある住所ですー」と教えてくれたのが印象的でした。

 必要書類を書き終えたあと、窓口の人から「分籍をすると元の戸籍に戻る事は出来ませんがよろしいですか?」と最終確認をされました。私はもう、それはもう自然に、まるでコンビニで「レジ袋をお付けしますか?」と聞かれた時の返答のように「あっ大丈夫です!」と答えていました。
 想像していたよりもはるかに躊躇が生まれなかった。
 ただ、これが元の戸籍に反映されるまでどのくらいかかるかは気になりました。元の戸籍に変更後の住所が載ってしまうのかが心配で(調べたけど曖昧で)、このあとすぐに転居届を出せば今日だけで済んで楽だけれど、絶対に分籍が反映された状態が良かったので事情を伝え聞いてみたところ。

窓口の人「あ、じゃあちゃんとそう(分籍→転居と)なるようにしますので大丈夫ですよ! 何度も来るの大変ですし!」

 窓口の人、理解がありすぎた。
 お盆イズ真夏だったんで実際めっちゃ助かりました(お盆でもカレンダー上で祝日となっていなければ役所はやっていると、その時初めて気付いた思い出)。

 あとは免許証の住所を書き換えに警察署へ行ったくらいですね。新住所を管轄している警察署に住民票の写しを持って行けばすぐ済みました。写しは転居手続きの際についでに貰ったはず…うろ覚えですすみません。
 これにより裏面の備考欄に「令和○年○月○日 本籍変更」「新住所:どこどこ」と記載されました。
 当時は免許更新して半年くらいしか経っていなかったので、これを書いている現在でもまだ本人確認の際に毎回「今の住所は裏面です」と言わなければならないのが少々面倒です。調整可能であれば転居タイミングは免許更新の少し前くらいが地味におすすめです。住所を変えず分籍するだけなら、本籍の詳細住所は記載されていないので平気かと。
 パスポートを持っていたらそちらも本籍変更が必要らしいです。

その後

 別に現実は何も変わっていないです。
 分籍をしようが身内は身内、そう遠くない将来相続にも絡まされる。
 一番心配なのが、親が死んだあとに姉が死んで私が健在の場合です。あの姉の相続第一順位とか冗談じゃないけどこれはほぼ確定しています残念ながら。
 そのために相続放棄についても知っていかねばならないとか本当に面倒しかありません。

 でも、それでも分籍をして良かったと確実に言えます。
 するかどうかで悩むようなところまで来てしまっているならやっちゃえよ! と軽々しく言っちゃいます。
 とにかく気が多少楽になるだけなのですが、その「多少」が大事に思えるのは自分の意志で準備をして手続きに行って「あっ大丈夫です!」と答えたからだと思います。自分以外の意志はどこにも介入していない。

 調べ直し中に見つけて拝見した、私よりも専門的な観点から書かれていて、かつとても共感したこちらを勝手に紹介して終わります。
 親の戸籍を再度取り寄せてどう記載されているか見てみたいけれど、面倒という気持ちが微妙に勝ってやっていない。

 悩みつつも最後の一歩を踏み出しかねていた人の背中を押せていたら幸いです。

追記~戸籍現物確認した~

 この記事を書いたあとに知ったのですが、親の戸籍がマイ本籍地(区役所)に行けば発行してもらえるようになっていた。

 貰ってきました。
 申請時に用途を聞かれるんですが「見たいだけなんですけど大丈夫ですかね」と馬鹿正直に告げても大丈夫でした。あとせっかくなんで自分の戸籍も貰いました。お忙しいなか申し訳ないありがとうございます窓口の人。
 一応、記入があるので事前に戸籍筆頭者(私の場合は母)の本籍地と生年月日は抑えておいてください。あとはマイナンバーカードとか免許証とかの顔写真付き身分証明書を忘れずに。
 あと、区役所の受付時間より早めに締め切られるかもしれないのでそこも気を付けるくらいでしょうか(うちは16時くらいまででした)。

 で、肝心の内容ですが(役所による記載の差は分かりません)、私についての記載に『除籍』と追加されていて、身分事項に出生に続いて分籍と書かれていました。テンション上がる。
 記載内容は分籍日(手続きした日)、送付を受けた日(親側の役所が受け取った日?)、受理者(区長)、新本籍。心配していた現住所は記載されていなかったので、住所と本籍を別にしておけば戸籍だけでは住所が分からないのと、もし親が「ここが住所か!?」と本籍地を検索したとしても区役所が出てくるので大変面白いですね。1回やって欲しい。
 あと本籍は「○丁目○番」までしか載りません。号以降があっても付かない。「1番地1」なら全部記載されるけど「1番1号」なら「1番」までらしいです。
 紹介したnoteにもありましたが、分籍以降に再度本籍を変えても親の戸籍に載らないので、念には念を入れるならその手もありです。
 まぁ血の繋がりからは逃げられないので、戸籍の附票を取得されたらばれるようですが住所。私が親の戸籍を簡単に取得出来ている訳で、逆もしかりなのは当然です。なのですが、うちの場合は親がその労力(方法検索から含む)に対し割と拒否反応を示しそうです。未知のジャンルへの理解を頭から拒否しがちなので。附票も見てみたいな…

 ちなみに窓口で改正前の戸籍が確認したい場合は……と何かを説明されかけたのですが「いやここの表記が見たかったんで大丈夫です!」と元気に答えてしまった。まぁいざこざの気配とか慣れてらっしゃるでしょう窓口の人。変な理由ですみません! と詫びたらお優しかったです窓口混んでるのに。

 という訳で申請から3年半ぐらいぶりにスッキリしたという話でした。


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