コラム・住職の方丈記2 ~ 歩きスマホとすべるバナナの皮
先日9月9日、イグ・ノーベル賞の授賞式が行われました。
イグ・ノーベル賞は「人々を笑わせ考えさせた業績や研究」に対して与えられる賞で、1991年にノーベル賞のパロディーとして創設されました。
書類選考はノーベル賞受賞者を含むハーバード大学やMITの教授など複数の選考委員会が審査をし、また受賞式はハーバード大学で行われるなど、パロディーとしてはかなり本格的です。
さらに受賞式の講演では聴衆を笑わせることが要求されるという、受賞者にとっては研究の成果だけでなくお笑いの成果も求められるなかなかハードルが高いもの。
そこまでしても賞状(盾)はコピー用紙にプリントされたもので、賞金はすでに無効になっている10兆ジンバブエ・ドル紙幣が1枚。ユーモアを理解するセンスと寛容さも求められるようです。
毎年10ほどの個人や研究グループに授与されるのですが、今年の動力学賞には京都工芸繊維大学の村上久助教らの研究チームが選出されました。
研究内容は、集団の一部がスマホを見ながら歩くことで、集団全体の歩く速度が遅くなることを実験により検証したもの(動画はこちら)。
https://www.youtube.com/watch?v=lHnGD7quaOg
このイグ・ノーベル賞ですが、日本人はなんと15年連続で受賞しています。
そのどれもがユニークな研究なのですが、わたしが個人的に面白かったのは、2014年の物理学賞を受賞した北里大学・馬渕清資教授の、バナナの皮の摩擦係数を実際に測定し、「バナナは滑る」ことを証明した研究です(授賞式の動画はこちら)。
https://www.youtube.com/watch?v=ocsLrWpFZmo
バナナの皮の研究が実は人工関節の摩擦を減らすことに役立つのですから、笑えるだけでなく本当にすごいことです。
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