アニメ業界の今後
昨日の日経新聞でアニメ業界について触れられていた。
日本のアニメ市場は、市場規模が拡大しており国内外の合計で約3兆円に到達した。経団連としては今後日本のコンテンツサービスを積極的に海外に打ち出し、世界市場への打ち出すことを想定しているという。
ただし、現在の日本のアニメ制作会社の経営は厳しく、少なくない割合が赤字である。クリエイターの待遇も十分とは言えず、フリーランスという形態であることも相まって、平均年収未満の待遇で働く人も多い。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC04AZX0U4A300C2000000/
業界としては成長しているが、それを支えるクリエイターに還元されていない構造は不健全であると思う。これが意味するのは、現在のアニメビジネスが、テレビ局、広告代理店、出版社等に利益の大半が集中し、アニメ制作の現場には利益が落ちにくい仕組みになっているということだ。建設業界でも、デベロッパー→スーパーゼネコン→サブコン→地場の建設会社と下請け構造があるが、アニメ業界においてもテレビ局や広告代理店を中心とした下請け構造が形成されているのではないか。
ただ、建築業とは違い、アニメの場合は原作と現場のクリエイターがコンテンツを形作る肝であり、テレビ局や代理店はそれをマーケティングしていく存在にすぎない。付加価値の源泉である、原作者とクリエイターに利益が十分に還元される仕組みに変えることが、今後日本国内でアニメ市場をさらに発展させていくためには必要不可欠であろう。それができない場合、優秀なクリエイターはことごとく外資系の企業に引き抜かれていき、国内発のアニメが減っていくことになると思う。