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1万人に1人しか勝てない世界で、残りの9999人を幸せに。SHOWROOMを支える“何でも屋”の願い

「僕は課題解決が好きなんです。現状をより良くできるのならば、どんな種類の仕事でもこだわりなく関わっていきたい。これまでもずっとそうやって、企業やサービスに生じるさまざまな課題と向き合い続けてきました」

SHOWROOM株式会社(以下、SHOWROOM)の営業統括本部を取り仕切る円谷洋平は、自身の仕事へのスタンスをこう述べます。その言葉が示すように、SHOWROOMに入社する前から現在に至るまで、彼は領域を限定することなく多種多様な業務を担ってきました。

そんな円谷は、なぜSHOWROOMの一員になったのでしょうか。今回は彼の歩んできた経歴と、現在の目標について紐解いていきます。

友に導かれ「SHOWROOM」のオーガナイザーに

——円谷さんは、前職で「SHOWROOM」との関わりがある仕事をしていたとか。

円谷:僕が前職で勤めていたのは、自社サービスやゲームなどを開発するITベンチャー企業です。当時の僕の役割は、執行役員として会社全体の課題解決を行うこと。人員が手薄なポジションのケアをしており、広報や法務、事業戦略の策定から、事業の立ち上げにゲーム制作まで、とにかくなんでもやっていました。

さまざまな取り組みの1つとして始まったのが「SHOWROOM」の配信者を管理するオーガナイザー事業です。とはいえ、その企業にはオーガナイザー事業のアセットがあったわけではなく、あくまで僕のツテでスタートした事業でした。

——ツテ、というとどのような?

円谷:もともと、僕は某アイドルグループのプロデュースに携わっており、その現場でSHOWROOM元社員の近藤さんという方と一緒に働いていたんですよ。プロデュース業では大変なことも経験しましたが、どんな局面でも彼女とはお互いに信頼し合いながら仕事に取り組んでいました。

僕と近藤さんはお互いのキャラクターが異なっており、僕はわりと熟考して答えを出すタイプですが、彼女は反射神経が良くて何でもテキパキとやるタイプ。相性がよくて、補完し合う良いコンビでした。その後、諸事情により2人ともプロデュース業から離れ、僕は前職で、近藤さんはSHOWROOMで働くことになります。

——近藤さんとの関係が、オーガナイザー事業のきっかけだったわけですね。

円谷:はい。僕は彼女の協力を仰ぎながら、オーガナイザー事業を成長させていきました。

——当時は「SHOWROOM」のどのような点に魅力を感じていましたか?

円谷:僕は「SHOWROOM」をオーディションプラットフォームだと認識していました。

通常、芸能関係のオーディションでは審査のプロセスや基準を外部の人間が知ることはできません。ですが「SHOWROOM」では、オーディションの過程そのものをユーザーが楽しめますし、ギフティングという形で応援することもできます。オーディションの結果が、配信者と視聴者の信頼関係や絆で決まるという仕組みが、非常に斬新だと感じました。

ですがオーガナイザー業務を続けるにつれ、少しずつ「SHOWROOM」のシステムに対して不満を抱くようになりました。

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——どのような不満でしょうか?

円谷:アプリの使い勝手などから「ユーザーライクではない」「配信者やオーガナイザーの視点に立って考えれば、もっとよくできるところがある」という印象を受けていました。

それに、オーガナイザーとしてせっかく「SHOWROOM」の配信者を集めても、途中で活動をやめてしまう方も多くて。その理由を分析していくと、オーディションで他の配信者と競っていくうちに、義務感が強くなり疲弊する方が多いことが原因だとわかってきたんです。それもあり、「SHOWROOM」はもっと多様な楽しみ方ができるプラットフォームになってほしいと思っていました。

アイデアそのものに価値はなく、実現することに価値がある

——その後、SHOWROOMに転職されたのはなぜでしょうか?

円谷:先ほどお話しした近藤さんから、ウチに来ないかと誘われたことがきっかけです。僕は彼女のことを心から信頼しているので、声をかけてくれたならば行くべきだろうと考えました。それに、「SHOWROOM」に対して不満に感じていた部分を、自分の力で変えていきたいとも思ったんです。条件もろくに聞かずに二つ返事で面接を希望しましたよ(笑)。CEOの前田と面接をしてそのまま入社を決めました。

——入社後はどのような仕事を?

円谷:当時のSHOWROOMには、視聴者の目線で施策を検討する部署がなかったため、まずはその役割を担うクロスファンクション部という部署を立ち上げます。ユーザーの方々とコミュニケーションを取りながら、さまざまな施策を講じました。

ですが、しばらく部署の運用を続けていくうちに、プロダクトの定期的な改善をして、ユーザーの方々の反応を見ていくことが何より重要なコミュニケーションだという結論にいたりました。途中からは部署のコンセプトを変え、プロダクトの進行管理や新機能のディレクションなどを担うようになったんです。

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——例えば、部署としてどのような新機能をディレクションされたのですか?

円谷:例えばカラオケ機能などは、配信者の方々からの要望をフィードバックしていく形で実現していきましたね。また、季節ギフトという施策も始めました。

かつて「SHOWROOM」では、お正月やクリスマス、バレンタインといったイベント期間だけ特別なギフトを出していたんです。でも、ギフトの内容を毎月変えてPDCAを回していくことで、視聴者の方々がギフトを用いて配信者とどのようにコミュニケーションしているのかを、より深く検証できると思いました。

新機能のディレクションというと、何か華々しい仕事のように思われるかもしれません。ですが実際には、毎日が地道な調整作業や仮説検証のくり返しです。僕は昔から、アイデアそのものに価値はなく、実現することに価値があると考えています。新規事業や新機能のアイデアを思いつく人は数多くいますが、行動して実現できるのは一握り。だからこそ、それができる人に価値が生まれるのではないでしょうか。

すべてのステークホルダーにとって、その企画は魅力的か?

——その後、円谷さんはスマホ向け縦動画の新サービス「smash.」の立ち上げに携わられたとか。どのような役割を担われていたのでしょうか?

円谷:とにかく、なんでもやりました(笑)。サービスのコアイシューを、前田やチームメンバーと一緒に検討しながらアイデアを言語化したり。プロダクトに必要な機能の洗い出しや開発の優先度・スケジュールの策定、コンテンツの制作手段の模索、さらには自分でテスト動画を撮ってみたり。チームはエンジニアとデザイナーと僕という編成でスタートしたので、エンジニアとデザイナーが担う仕事以外はすべて僕が引き受けました。

——「smash.」の立ち上げにおいて大切にしていたことはありますか?

円谷:「smash.」だけではなくSHOWROOMが提供するサービスすべてにおいて言えますが、さまざまなステークホルダーの観点でものごとを見ていくことが非常に重要です。

例えば、人気アイドルグループに「smash.」の番組に出演してもらうためのプランを考えるとします。誰でも思いつくアイデアは、グループの密着ドキュメンタリーを撮影したら面白いのではないか、というものです。

この企画案には不足している視点がいくつもあります。例を挙げると、そのグループは他の動画配信プラットフォームでどのような展開をしているのかという視点です。すでに独自のYouTubeチャンネルを持っているのか、アイドルの所属事務所は何らかのプラットフォームとすでに深く関わっていたり自社で運営していたりするのか、テレビなどのマスメディアにはどのようなキャラクターやブランディングで出演しているのかといった点を調査しておく必要があります。

そのうえで、どのような戦略のもと各種動画配信プラットフォームに展開しているのか。グループにとってどういった利点があれば、当社が立ち上げる新しいプラットフォームに出演してもらえるのかという、グループ側の視点に立って企画を考えなければいけません。

それ以外にも、視聴者はどのような番組を観たいのか、グループのメンバーはどんな番組ならば楽しく収録できるのか、有名な映像監督に制作をお願いしたいならば、どのようなプランを提案すれば撮りたいと思ってもらえるのか。つまり、すべてのステークホルダーの利益につながる企画でなければ、実現は難しいです。そうでなければ、SHOWROOMが提供するプラットフォームを使う必然性がないですからね。

と、偉そうに言ってはいるんですが、僕も「smash.」に関わりはじめた当初はこれらの観点が抜け落ちており、プロジェクトに携わっていくなかでこうした視点を学んでいきました。僕自身も、SHOWROOMという環境で学び、成長し続けています。

「smash.」のプロジェクトがある程度軌道に乗ってからは、営業統括本部という部署に移りました。そこで、前職時代に自分が担っていた役割でもあるオーガナイザーの方々と、日々向き合っています。

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——タイプの違う仕事に取り組むことに、戸惑いはなかったですか?

円谷:僕が営業統括部に異動した理由は、部署に解決すべき課題があるから。部署の業務を改善していくことで、より良いSHOWROOMになれると信じているからです。

基本的に、僕は課題解決が好きなんですよ。昔から、企業が抱えている課題を解決するためならば、臨機応変になんでもやるスタンスで働いてきました。例えば急に、「会社都合で、これまで担当していた仕事をやめて、今日から別の業務に就いてほしい」と言われても、僕は喜んでやります。ある意味ゲームのようにどんな課題にも取り組めるところは、僕の長所ですね。

1万人に1人しか勝てない世界で、残りの9999人を幸せにする

——SHOWROOMで働くメンバーには、どのようなマインドが求められると思いますか?

円谷:現在、僕たちは“配信者ファースト”という概念を非常に大事にしており、「SHOWROOM」をさらに配信者の方々に寄り添ったサービスにしていくための挑戦を続けています。

この理念を実現するには、これまで当たり前だったことや、なかなか改善できていなかった機能に対して「さらに良くできるのではないか」「この仕組みは配信者にとって負担になっているのではないか」という観点を持ったうえで、日々の業務に取り組む必要があります。

そのためには、配信をたくさん観たり、推しの配信者をつくるなどして、自分なりに一次情報に触れ続けることが大切です。つまり、自分自身がユーザーとして徹底的にサービスを使い込むことで、配信者ファーストの感覚が身につきます。

——その他に、SHOWROOMで働くうえで重要なスキルはありますか?

円谷:小手先のスキルではなく、メタスキル(*)を身につけることが大切だと思います。例えば、僕はプログラミングをすることがありますが、1つしか言語を使えません。このスキルは、その言語が廃れたときに役に立たなくなります。つまり、外的要因にスキルの価値そのものが左右されやすくなってしまうわけです。

一方、いくつかのプログラミング言語を習得していれば、新しい言語の習得も早くなりますし応用が効きます。つまりメタスキルまで昇華させることで、その分野全体を俯瞰して比較するような視座を持てたり、周りの状況にあわせてスキルを選択・習得するような能力も得られるんです。もちろんプログラミングだけではなく他の領域においても、同様の概念が当てはまります。

* … さまざまスキルを獲得するうえで必要となる、抽象度の高いスキル。

——なぜ、メタスキルが必要なのでしょうか?

円谷:SHOWROOMは市場環境の変化や事業の成長に伴って、戦略が頻繁に変わる企業です。そもそも、ライブ配信事業そのものがまだ進歩している過程にあるため、世の中の動きに合わせて戦略や事業の最適解も目まぐるしく変化していきます。

かつ、社員全員が会社の意思決定層とともに仕事をする環境のため、考え方や意見にも一定の“抽象的な課題設定”と“具体的な解決案”が求められます。待っていれば、誰かが作業内容を指示してくれるわけではありません。変化が多く難易度も高い業務に適応するうえで、メタスキルが非常に重要になってくるわけです。

——メタスキルを身につけるためには、どのような意識を持つといいでしょうか?

円谷:さまざまな問題に挑むことが大切です。これはあくまで僕の事例にすぎませんが、自分自身はこれまでのキャリアにおいて、ひたすら配信者の方々と向き合うなかで芸能×ITという領域のメタスキルが培われてきました。

例えば、芸能の仕事をしている方に将来の夢について聞くと、多くが「売れたい」と答えます。しかし、「売れる」の定義は100人いれば100人とも違う。芸能活動をしながら生活できるだけの収入があればいいという人もいれば、お金はいらないから武道館に立ちたいという人もいます。

彼ら・彼女らが抱える多くの課題を知ることで、「売れたい」という要素が持つ抽象的なエッセンスを抽出する。そのうえで、各人の「売れる」定義に則って、実現するための具体案を検討していく。そのくり返しによって、メタスキルが身についていくのだと思います。

芸能という世界のなかで、「誰の目から見ても売れている人」になれるのは1万人に1人です。でも、残りの9,999人が抱く「芸能活動に挑戦し続けていきたい」という夢を、僕らのプラットフォームで支え続けることは出来ます。配信を通してファンを増やしていただいたり、オーディションによって芸能のお仕事を獲得していただいたり。

1万人に1人しか勝てない世界で、残りの9,999人を幸せにすることに向き合いたい。そう思いながら、僕は日々の仕事に取り組んでいます。

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SHOWROOMでは第二創業期を担うメンバーを積極的に採用中です

プロフィール

円谷洋平(SHOWROOM株式会社 営業統括本部)
2014年から、取引先のオーガナイザーとしてSHOWROOMに関わる。2018年6月にSHOWROOM入社。プロダクトの進行管理や、新規事業「smash.」チームの立ち上げに関わり、2020年営業統括本部に異動。ちなみにクレープが好き。オーガナイザー時代の経験を活かし、SHOWROOMのビジネス部分の推進を担う。(茄子は苦手)