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【気まぐれライナーノーツ】歌い継がれた青春の1ページ〜「君のいる放課後」籾井優里奈

 「君のいる放課後」
        詞・曲/冴沢鐘己

廊下でふざけあう 君を見ていると
どんな憂鬱でも 忘れてしまうよ
言葉をかけても 照れて横を向く
君のつれなさが 少し切なくて
 ねぇ 君の好きな歌は何なの?
 ねぇ もっと君のことを教えてほしい
放課後の校庭で 君がキラキラ笑う
手をふって駆けよれば 何かが始まるかな
何気なくさりげなく 占いなんか信じて
長い髪ほどいたら 何かが始まるかな

雨に濡れたまま 君が歩いてく
なぜかその背中 遠く感じるよ
 ねぇ 君はどこへ歩いてゆくの?
 ねぇ もっと君の夢を教えてほしい
放課後の校庭に 静かに風が吹いて
戻らない時間だけ 置き去りにする rainy day
何気なくさりげなく 君に傘をかけたら
同じ夢見えるかな 心が騒ぐ rainy day

もう雨はやんで 雲が流れてゆくよ

放課後の校庭で 君がキラキラ笑う
手をふって駆けよれば 何かが始まるかな
何気なくさりげなく 占いなんか信じて
長い髪ほどいたら 何かが始まるかな


 今を去ること約20年前、立ち上げたばかりのfm GIGにひとりの可愛い女子高生がやってきまして、僕らのメンバーに加わって番組をすることになったのね。

 ちょうど「ASAYAN」が流行ってた頃で、せっかくだからアイドル育成番組にしようと当時の担当者が言い出して、僕に「曲を作ってくれ」と依頼したのです。

 それでできたのがこの曲。僕にとっては、初めて自分以外の人のために書いた曲となったわけですよ。

 お題の“現役女子高生が歌うアイドル曲”というコンセプトをじっくり考え、出した答えが、“青春の1ページを描く”。

 曲調に関しても、当時すでにSPEEDやモー娘、あややとかが流行ってたけど、そんな派手派手しくキャピキャピしたものじゃなくて、何度聞いても飽きない、味わい深い(?)ものを目指しました。

 ベースにしたのは、わかる人はすぐわかるChicagoのあの曲。あのコード進行、いいよねえ。目指す曲調にぴったり。

 BメロとCメロだけ、ちょっと転調っぽく仕掛けをいれて、Aメロとサビは同じコード進行。リズムは、誰でもすぐノレる軽めのディスコ。アレンジにストリングスを大々的に使うようになったのもこの曲から。

 歌詞は、「実際はそんなことなかったんだけど、もしかしたら自分にもあったんじゃないか」と思える、あだち充っぽい世界観を頑張って書きました。

 あ、でも出だしのフレーズは、僕が中学の頃に実際に後輩からもらった手紙をベースにしてるのは内緒の話。

 当時のfm GIGはまだ全然非力だったから、イベントで2回ほど歌ってもらい、彼女も大学生になってそのままお蔵入りになったんだけど、10年後にまさかの復活。

「KKいれぶん」という、これまた現役女子高生アイドルグループがfm GIGにやってきて、歌ってくれることになりました。CDにもなって、あちこちで歌ってくれて、それだけでも大満足。

 その後、彼女たちも解散し、またまたお蔵入りになりそうなところ、籾井優里奈が「この曲、好きだから歌いたい!」と言い出しまして。

 さすがに現役女子高生でもなんでもないんだけど、そういうことを感じさせない歌唱力が優里奈にはあるので非常に完成度の高い仕上がりになり、今も皆さんに愛していただいております。ライブでも盛り上がるのよね。

 ぜひそれぞれの放課後の風景や思い出とともに、お聞きください。


籾井優里奈「空色日記」(2019年リリース)収録。

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