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ゴーストを退治するフォーカス・クエスチョン〜The Coaching Habit

前にも紹介したことのある『The Coaching Habit』から、会話を創造的なものにする質問「The Focus Question」について。

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実際に取り組むべき課題は最初に浮かんだものではないことが多いと著者は言います。

慌ててとびついてしまう、そうした最初に浮かんだものは、実はなんら確証もないと。(これは個人に限らず、仕事等におけるチームにおいてもいえます)

本来取り組むべき課題を明らかにするには相応の意識と、ちょっとしたtips(質問)が役に立つということで「The Focus Question」なる質問をすすめています。

その質問とは

“What's the challenge?”
(何が課題だったり問題だったりしますか?)

これだと曖昧ですね。

これに「here」と「real」を加えてみます。

“What's the real challenge here?”
(いまここで、本当に取り組むべき課題はなんですか?)

この二語を加えることでただの「challenge」に限定性(必要、有用性)が生じます。思いつき、行き当たりばったりで見つけたものに性急にとびつくことも防ぎます。

そしてさらに「for you」を加えて

“What's the real challenge here for you?”
(いまここで、あなたにとって本当に取り組むべき問題や課題はなんですか?)

さらに焦点をしぼり、「いま、ここで、自分が」取り組むべきことに意識が向けられます。

だからフォーカス・クエスチョンなのですね。

コーチングのような創造的な、実りを求める会話において、それを妨げる「曖昧さ」を避けるための。

著者の会社ではそうした課題や問題の本質を曖昧にしがちなものを“Foggy-fiers”と呼んでいて、ありがちなものを以下の3つとしています。

1. Proliferation of Challenges
2. Coaching the Ghost
3. Abstractions & Generalizations

日本語にすると

1. 課題の急増や拡散
2. コーチング・ゴースト👻
3. 抽象化と一般化

といったところでしょうか。
(コーチング・ゴーストはまんまですが)

この3つを避けるのにフォーカス・クエスチョンは役立つというわけです。

二つ目の「コーチング・ゴースト」ってなんでしょう?

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幽霊?

どんな幽霊?

著者がすすめる7つのエッセンシャルな質問は出だしのキックスタート・クエスチョンである“What's on your mind?”からはじまり、“And what else?”で深掘りしていくものです。

ですが、これらの質問で盛り上がったからといって実りある会話(コーチング目的のような)になるとは限りません。

本書ではここで、ある人物について(クライアント役の知人)その欠点をあげつらう、ただの悪口になっている会話を例に示しています。

コーチ役の人はそれでも真剣に話を聞き、いいコーチングが出来たと感じているかもしれませんが、もちろんそれはコーチング目的の会話になっていません。

それではただの噂話、はっきり言ってしまえば悪口、不平不満でしかありません。

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ここで鍵となる、知っておくべきことは、コーチング目的の会話が出来る対象は目の前の人だけだということです。

コーチ役の人がそうした(創造的な)会話をするには、目の前の対象にとってのchallenge(取り組むべき課題)を明らかにする必要があるのだと。

例として示された、悪口を言って盛り上がった人物でいえば、その人物について聞く、話すのではなく、その人(コーチングのクライアント役)が悪口を言っている人に対してどのような取り組みをするかについて深掘りするのがコーチング目的の会話だと。

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フォーカス・クエスチョンを使えば(「今のあなたにとって本当に取り組むべきことは何ですか?」)、この質問はそこ(本来のコーチングとして会話)に連れていってくれるでしょう、と。

「コーチング・ゴースト」とは、そうした本来取り組むべきことから意識をそらす、隠してしまうという意味での「ゴースト=幽霊」ということのようです。

このコーチング・ゴーストを避けるには、フォーカス(会話の焦点)を目の前の対象(クライアント)に戻すことです。

その人にとって、いま何が起きているのか、状況等を聞いて把握したら、そこでフォーカス・クエスチョンを投げかけます。たとえばこんなふうに。

「あなたがいまどんな状況になるのか分かりました。で、今のあなたにとって本当に必要な、取り組むべきことは何ですか?」

例は悪口でしたが、そうしたこと以外でも本人には関係のない職場の上司や同僚だったり、プロジェクトや状況もこの「コーチング・ゴースト」になりますね。

ようするに

“What's the real challenge here for you?”
(いまここで、あなたにとって本当に取り組むべき問題や課題はなんですか?)

にあてはまらないもの、こと、人について話しているのに気づいたら、それらはみな「コーチング・ゴースト」ということです。

自分に照らしても、このゴーストはけっこう出現してることがあります。

もちろん、世間話やゴシップ、他愛のない会話を否定することはないですが、貴重な時間と労力を前向きな、建設的で創造性ある会話にしたいときはこの「ゴースト」に気をつけましょう。

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この本で著者が提案している質問(とその理由)はシンプルですぐに使えていいと思います。実際、私も知人に紹介して即効性があったとフィードバックいただいてますし。

職業としてコーチをしている人でなくても、こうしたシンプルなやり方で生産性、創造性を高める会話ができるということを示しているのには好感がもてます。

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