- 運営しているクリエイター
2023年10月の記事一覧
口述筆記のライブ感をギャンブルの疾走感とからめて〜ドストエフスキー 『賭博者』
最近はドストエフスキーをつづけて読んでいる。
ロシア文学は登場人物の名前がおぼえにくくて(長いし)苦手なんだけれども、本作品はそのへんをいくぶんか気遣ってくれているようで、、いや、気の所為だろう。
ギャンブル(ルーレット)という、ライブ感あふれ、疾走感と共ににつむがれるストーリー展開のおかげもあるけれど
冒頭(1/3くらいまでか)の読みにくさ(名前のおぼえにくさとは別に、そうしたものはある)
ひとは絶望とショックからしか学ばない〜ナボコフ 『絶望』
古典文学(厳密な「古典」以外も含まれるけれど)渉猟の旅はつづく。
今回はナボコフの『絶望』。
絶望という言葉は嫌いではない。
というか、好きだ。
なにごとも、すくなくとも新しい何かは絶望からしか生まれないと思っている。
広中平祐氏(数学のノーベル賞ともいわれる「フィールズ賞」受賞の)の名言である
のように。
ナボコフといえば「ロリコン」の語源になった『ロリータ』で知られる、ロシア出身
学校で学んだのはラテン語と、うそをつくことだけだった〜ヘッセ 『車輪の下で』
ヘルマン・ヘッセといえば『車輪の下』。
でもそれは世界的にみると特殊なことのようで、たとえばドイツ本国と比べると日本での同書の売上は10倍(1972年〜82年の10年間の比較)だとか。
読むとわかるけれど、本書には随所に教育制度や学校に対する(学校や教師だけにとどまらず、社会機構もふくめて)批判がみられる。
これはヘッセみずからの体験からくるものでもあり、それだけに痛切に説得力をもって訴えか
マンのハードルが高いなら、まずはエロス三部作を読めばいいじゃない〜トーマス・マン 『ヴェネツィアに死す』
「エロス三部作」から始めるトーマス・マン(この呼称は翻訳家の岸 美光氏による恣意的なものだそう)。
なぜこの三作からというと、トーマス・マンが敬遠されがちというか、ハードルが高く感じられる様々な面がかなり軽減されていること。
短編や中編であったり(マンは難解なうえに長編がスタンダードだったりするので)
ストーリー自体はきわめてシンプルでわかりやすかったり(140文字でいけるくらい)
エロス