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読書の轍

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わたしになにかしらの轍を残していった書物たち。
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2023年9月の記事一覧

300年以上も昔に書かれ、これまで100カ国以上の言語に翻訳された世界的ベストセラー〜デフォー 『ロビンソン・クルーソー』

300年以上も昔に書かれ、これまで100カ国以上の言語に翻訳された世界的ベストセラー〜デフォー 『ロビンソン・クルーソー』

難破、漂流、無人島とくれば『ロビンソン・クルーソー』。

昨今でもそうなのかは知らないけれど、多くの子どもたち、昔子どもだったおとなたちが、簡略化、編集された版や漫画版など、なにかしらに触れ、ざっくりとでも話の大筋は知っているだろう。

最低でも、乗っていた船が難破、遭難して無人島へ。

そこでとても長い間(28年)孤独に暮らすというもの。

*これもKindle Unlimitedなら「読み放題

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『ボヴァリー夫人』のハードルが高いなら、短編集を読めばいいじゃない〜フローベール 『三つの物語』

『ボヴァリー夫人』のハードルが高いなら、短編集を読めばいいじゃない〜フローベール 『三つの物語』

フローベールといえば『ボヴァリー夫人』や『感情教育』といった長編作品で知られる作家だけれども

正直いって、まだ古典にそれほど慣れ親しんでいない読者には、かなりハードルが高い(なにより、長い)。

だったら、短編、中編を読めばいいじゃない、というのは先日の投稿とおなじロジック。

フローベールの短編集には『三つの物語』(Kindle Unlimited 読み放題対象)というすばらしい作品があるのだ

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『白鯨』のハードルが高いなら、短編・中編を読めばいいじゃない〜メルヴィル 『書記バートルビー/漂流船』

『白鯨』のハードルが高いなら、短編・中編を読めばいいじゃない〜メルヴィル 『書記バートルビー/漂流船』

メルヴィル(ハーマン・メルヴィル)といえば『白鯨』
(これまたKindle Unlimited「読み放題」対象)

しかし、かなりの長編であることや冗長、難解でなかなか読破できないという声も多い。

だったらまずは短編や中編に触れてみるのが吉。

いやー、これは読みやすいとか関係なく、シンプル、ストレートに面白い。
(interestingという意味で)

『書記バートルビー』は、いわゆる不条理も

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ファム・ファタルといえば〜プレヴォ 『マノン・レスコー』

ファム・ファタルといえば〜プレヴォ 『マノン・レスコー』

ファム・ファタル(宿命の女、運命の女)といえば「マノン・レスコー」がまっさきに思い浮かぶ。

本作を読むまではマノン・レスコー自体、実際はどんなもの(ひと)なのかは知らなかったけれど、なんとなく「ファム・ファタルといえば、マノン・レスコーだよね」的な。

ファム・ファタルは「悪女」と訳されたり理解されていたりすることが多いけれど、もっと抽象度の高い概念、呼称で

宿命や運命を左右する女

といった

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夭折の天才画家〜「穏やかなゴースト」中園孔二

夭折の天才画家〜「穏やかなゴースト」中園孔二

本作も今年のベスト5には余裕で入るであろう力作。

25歳という若さで夭折した、大学(東京藝術大学油画科)在学中から「天才」と評され、ギャラリスト(小山登美夫氏)や美術館館長(金沢21世紀美術館館長 長谷川祐子氏)らに作品を購入され、これからを嘱望されていた画家 中園孔二(なかぞのこうじ)の伝記。

伝記や自伝にはすぐれて魅力的なものが多いけれど(もちろん、著者のセンス次第ではある)その魅力はやは

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世界をゆるがしたアート〜クールベからバンクシーまで

世界をゆるがしたアート〜クールベからバンクシーまで

古典文学同様に最近マイブームなのが、美術史と古典絵画。

そして、それらをマイブームにできるのは、図書館とKindle Unlimitedの存在があるから。

そして、それを可能にしているのは、どちらも蔵書(しかも読み放題)の数が膨大(一生かかっても読み切れないほどに)だからこそ。

なんていう当たり前なことをいまさらながらも実感し、感謝する今日この頃。お金をつかわなくても日々、人生を楽しく豊かに

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古典文学が楽しめるようになってうれしい、たのしい、しかも読み放題で

古典文学が楽しめるようになってうれしい、たのしい、しかも読み放題で

古典文学(いまのところは西洋)マイブームが好調。

まさかこの俺が古典文学を楽しめるようになるとは、数ヶ月前まではまったく思ってもみなかった。

もちろん、そうとは知らず(意識せず)そうした「古典文学」を読み、慣れ親しむことは、これまでもあったけれど(たとえば、幼少時に読んだ「里見八犬伝」や「小公子」、「小公女」などなど)

こうして意識して(古典文学を読むんだ、と)っていうのは人生はじめてなわけ

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文学こそ最高の教養である〜光文社古典新訳文庫

文学こそ最高の教養である〜光文社古典新訳文庫

今年のベスト3(もちろん、私的な)には入るであろう一冊が『文学こそ最高の教養である』。

あまりに面白く、深く、また古典文学の各作品を舞台にさまざまな歴史、エピソードを縦断できる読書体験は稀有といってもいいすぎではない。

最近すっかり古典(文学)がマイブームなのだけれど(おそまきながら)「古典」となると翻訳が古くて(今の時代には)硬かったり、理解しにくかったりというハードルがある。

ましてやわ

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