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読書の轍

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わたしになにかしらの轍を残していった書物たち。
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2020年10月の記事一覧

必要どころか必須〜闇ウェブ

必要どころか必須〜闇ウェブ

闇ウェブ(ダークウェブ)。

Torという通信元やサービス提供者を匿名化するソフトウェアについては以下の投稿で軽く触れました。

“Don't Be Evil” を掲げるGから始まるどこかの巨大企業の個人情報搾取等(そしてその悪用に近い使われ方)から少しでも距離をとるのにTor(Webブラウザ)やDuckDuckGo(検索エンジン)、Brave(Webブラウザ)を使うことの提案でした。

Torは

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リダクショニズム(細分化主義)に基づく「健康の追求」への警鐘〜WHOLE

リダクショニズム(細分化主義)に基づく「健康の追求」への警鐘〜WHOLE



『The China Study』の著者としても知られる(それ以前に栄養学の世界では世界的な権威らしい、そして異端児?でもあるらしい)T・コリン・キャンベル教授。(栄養学分野のアインシュタインと呼ばれているそうだけれども、これが妥当かつ適切な「冠(かんむり)」かは別にして、、そういえばインテグラル理論のケン・ウィルバーもその分野で「アインシュタイン」を引き合いに出されていたような、、最近ブーム

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今ここにある危機〜マインド・コントロール

今ここにある危機〜マインド・コントロール



帯にある21世紀なんていう大きなスケール、スパンでみるまでもなく、今ここにある危機としてとても有意義な読書体験でした。(本書は増補改訂版として2016年に発行)

今ここにある危機とは、そう、例の感染症騒ぎからくるもろもろ。

マインド・コントロールとか洗脳というとマルチ商法とかカルト教団とか(そこまでの規模でなくとも)霊感商法とか、わりと自分(フィジカルで感じられる「個」)への距離感、体感み

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頭以外でも考えてみよう〜脳はバカ、腸はかしこい

頭以外でも考えてみよう〜脳はバカ、腸はかしこい



藤田紘一郎さんの『脳はバカ、腸はかしこい』。

名前と

「寄生虫」
「サナダムシを体内に飼っている」

といったことはなんとなく聞いてましたが、サナダムシについてはもう三代めで、それぞれに名前までつけて愛しているとは。

脱帽です。

詳しくは本書にゆずるとして、藤田さんの在り方、姿勢が素敵です。

最近もどこかで抑圧からの解放をテーマにアウトプットしましたが、藤田先生もそこを強く意識して(

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出逢いはいつもランダムに〜オードリー・タン

出逢いはいつもランダムに〜オードリー・タン

やはり伝記は面白い。

自伝は熱量が余計な仕事をすることがあるので、どちらかというとよい聞き手、書き手に書いてもらったものがいいかなと思ってます。

あ、でも『ヴァージン』(リチャード・ブランソン)は自伝だからこそ良かったのかも。(そのぶん熱く、厚すぎたけど)

オードリー・タン。

わたしはこれまで全く知らなかったのだけれど、たまたま池袋のジュンク堂でいつもの渉猟、徘徊をしてたら目に止まった一冊

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ほめられるのが苦手〜Originals

ほめられるのが苦手〜Originals

先日「ほめられるのが苦手」という相談を受けました。

私もそうですが、そういう人は少なくないのかもしれません。

嬉しさ反面、そういうところ(ほめる部分)に気づくくらい丁寧に見られているのかと思うと照れるというか、ちょっと気恥ずかしくなってしどろもどろになることがあります。(ドキドキします)

そういうのではなくて、いわゆるエフィカシーとかエスティームといった「自尊心」が低い場合もあるのかもしれま

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怒りは友達である。素敵な友達でも、やさしい友達でもないが、きわめて誠実な友達だ。〜The Artist's Way

怒りは友達である。素敵な友達でも、やさしい友達でもないが、きわめて誠実な友達だ。〜The Artist's Way

描く瞑想として「モーニングページ」と「ジャーナリング」を勧めています。

やることは同じなのですが、意識の面でちょっと違います。

モーニングページはそれ自体(とにかく書く、ただ書く)が目的です(宗教などにおいて瞑想行為自体が目的のように)が、ジャーナリングはテーマや対象を決めてする目的志向で書きます。

知人でこれらに取り組み、一ヶ月くらいたつ人がいますが、最近送ってくれたフィードバックに「怒り

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この世界は関係性で出来ている〜すごい物理学入門

この世界は関係性で出来ている〜すごい物理学入門

『時間は存在しない』の著者カルロ・ロヴェッリによる『すごい物理学入門』。

帯には「誰もが感動する究極の入門書」とあります。

んー、何をもって感動とするかによるのだけれど、自分としては感動というよりも『時間は存在しない』は理解がしんどかったけれど、本書は「入門」とあるだけあって、より平易にコンパクトにまとめられているところがありがたかったです。

物理学というと量子論(量子力学)なんかもあります

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ちゃんと見さえすれば、思いもかけない場所に光を見出すこともある〜グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

ちゃんと見さえすれば、思いもかけない場所に光を見出すこともある〜グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

グレイトフル・デッドというと、日本の現代の若い世代ではあまりなじみがないかもしれないけれど、彼らがしたことは音楽表現にとどまらず、現代でも通用する(むしろ先取りしていた)ビジネス手法であった。

なんてことを解き明かし、解説してくれる本書はデッドヘッズ(熱烈なグレイトフル・デッドのファン)でもあるマーケティングのプロ二人による共著。(監修・解説は糸井重里さん)

たとえば、レコード(当時はそうだっ

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俺は降臨派〜三体

俺は降臨派〜三体

読んでない人にはまったく通じないと前置きしたうえで

例の感染症騒ぎ前なら、よくて救済派、悪くても(いい悪いは意味がないのだけれど)生存派だったんじゃないかと思う。

今は違う。

ここまで愚かで救いようがないのであれば(国家、地方自治体、マスメディア、SNS、いや、町中や道端でいくらでも見られるその有様)滅ぶ可能性のほうが大でも、是正、リセット(たとえゼロにはなっても、少なくともマイナスにはなら

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人はショックからしか学べない〜三体

人はショックからしか学べない〜三体

三体、第一部をやっと読了。

別の投稿でも少し触れましたが、超絶面白いです。

訳者、監修のあと書きも含めてたっぷりと堪能しました。(アジア人で初のヒューゴー賞受賞のことや、日本語版への翻訳にあたってどんな経緯、事情があったのかという裏事情もドラマチックで楽しめます)

こういった作品はとくに事前知識は入れておかないほうがいいと思うので、例によって例のごとく具体的には内容に触れません。

そうした

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みんな大好き、食品添加物〜食品の裏側

みんな大好き、食品添加物〜食品の裏側

著者は食品添加物の元トップセールスマン。

食品添加物の神、魔術師とも呼ばれる専門家でセールスマン時代には食品製造業者に大量に商品(食品添加物)を卸し、製造作業の効率化や品質、売上の向上に多大な貢献をしていた。

それがあることがきっかけで廃業し、現在では以前の経験から食品製造の舞台裏をあかし、食品添加物に関する講演やこうした執筆活動をしている。

食品添加物。

便利だけれど人体に有害だという認

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見える人にしか見えない〜「具体⇔抽象」トレーニング

見える人にしか見えない〜「具体⇔抽象」トレーニング



抽象度という言葉がありますが、その意味を正確に理解している人は多くないようです。(私が正しく理解しているかはさておき)

それ以前に具体と抽象ということについても。(抽象の対は具象ですが、一般的によくいわれるのは具体なので、以降「具体」ですすめます)

理解をさまたげるもののひとつは、抽象度をあげれば、抽象化を推し進めればとにかく良いという誤解。

抽象度という唯一絶対の物差しがあり、その目盛

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善き社会への青写真(ブループリント)を我々は持つ〜ブループリント 上巻

善き社会への青写真(ブループリント)を我々は持つ〜ブループリント 上巻

扇情的といってもいい帯文には閉口しつつも、やはり影響は受けて(ようするに購入して)しまうのであった。

とくにウイリアム・ヘンリー・ゲイツⅢ世(ビル・ゲイツともいう)の

これほどの『希望』を感じて本書を読み終えるとは、予想もしなかった

の「希望」はどんな希望なのか。(つい斜に構えてしまう)たぶんというか間違いなく一般庶民の指すそれとは違うだろう。

この「コロナの今こそ」も癪に障ります。(そも

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