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看護系学校進学対策①(志望理由・小論文・面接)

看護系学校(大学・短大・専門学校)進学のための対策(志望理由書・小論文・面接)

看護系学校合格のポイント

 大学・短大・専門学校の別なく、また、一般選抜(旧・一般入試)でも総合型選抜(旧・AO入試)や学校推薦型選抜(旧・推薦入試)でも、看護系学校の入試では、次の3つの対策は不可欠になります。
①志望理由書の提出
②小論文試験
③面接試験
 看護や医療に関係しない学部の一般入試では、これらの3つは課されないのですが、ほとんどの看護系学校では、すべての入試において、これらの選抜過程を課してきます。それゆえ、看護系学校入試での合格をより確かなものにするには、志望理由書、小論文、面接には、万全の対策を練っておく必要があります。

1)志望理由のまとめ方

 まず志望理由書ですが、次のような三つの問いにしっかりと応えられた内容にまとめ上げる必要があります。
①そもそもなぜ看護師になりたいのか
②どんな看護師になりたいのか
③なぜ他学ではなくその学校を志望するのか
 これらの問いに対する答えが曖昧なら、志望理由書を読む先生は、次のような疑いを抱いてしまいます。
「とくに看護師にならなくてもこの人は別の仕事で夢を叶えられるでしょう」
「この人の描いている看護師像は現場のことをよくわかっていない絵に描いた夢のようだから、仕事を遂行することは無理でしょう」
「看護師になりたいのはわかったが別にほかの学校でもいいでしょう」
 そこで、これらの疑問を抱かれないようにするためには、次の3つの作業が不可欠です。
①看護師に憧れるきっかけとなった具体的な事実を思い出す。
②志望校の情報(先生、設備、教育など)を徹底的に調べる。
③志望校の卒業生の進路と自分のやりたいことを重ね合わせる。
 これらの作業をしっかり行うことにより、次のような序論・本論・結論のストーリーをつくることができます。

・序論(未来):私は貴学で……を学び、将来は……のような看護師になりたい。
・本論(過去):そうした看護師になりたいのは、……経験があるからだ。貴学には、そうした夢を実現するために不可欠な学びがある。
・結論(未来):以上の理由から、……な看護師になるために、貴学での学びを志望した。

2)小論文ULTRA®攻略法

 小論文対策を考える際には、まず実際の小論文の問題を分析するところから始めることが大切です。なぜなら、実際の小論文の問題とは関係なく、「小論文とは、このように書くべきもの」といった固定観念を持った人もいるからです。市販されている小論文の参考書などの影響もあります。
 例えば、「小論文は賛成か反対を述べるもの」といった先入観を持っていると、次のような問題を解くことができません。
「最近、電車やバスの中で化粧をしたり、ものを食べたりする人が増えています。何が原因でこのような人が増え、そしてこうした行為の増加は社会にどのような影響を及ぼすでしょうか。賛成や反対の議論ではなく、原因と影響について、あなたの考えを述べなさい」
 この問題に対して「私は、電車やバスの中で化粧をしたり、ものを食べたりする行為には反対です」と応えたら、まず採点の対象外(零点)になるでしょう。なぜなら、出題者は明確に「賛成や反対の議論ではなく」と明示しているからです。
 そこで、さまざまな問題に対して柔軟に反応し、合格答案を書くプロセスとして、私はULTRA®という解法で多くの受験生を指導してきました。
 ULTRA®とはUnderstand(理解)、Logic(論理)、TRimming(整理)、Action(表現)のそれぞれの頭文字を取ったものです。三段階目のTRimmingのみ、TRと二字を採用しています。
 簡単にULTRA®で解く手順を説明すると、こうなります。まずは、設問の意図や充てられた資料を理解Understandして、それに対する自分の論理Logicをつくる。論理とは「論(考え)と理(理由・根拠)」のセットです。「私は~考える(論)。なぜならば~だから(理)」といった二つの要素で成り立つのが論理です。
 論理は、社会で生じている具体的な事実、すなわち自分自身の体験や観察してわかったことなどを根拠としてつくることができます。例えば、「そう言えば、私も学校から塾によって家に帰るとき、おなかが空くので電車の中でパンを食べることがある。しかし、年配の方からは怪しそうに見られた。また、実際に電車で化粧をしているお姉さんを見たことがある。粉が飛んでこないか心配だった」などといった事実を想起します。
 すると、「私にしても、あのお姉さんにしても移動の時間を有効に使おうという点で共通している」ということがわかります。そして、次のような論理がつくれます。
 「現代社会では、通勤や通学など移動する必要性が増したため(原因)、その中で私事をする人が増えた。ただし、その結果人間関係が悪くなる可能性も増した(影響)(以上が論)。なぜなら、移動が多くなると家での時間は削られるし、公共空間で私事をされると他者に被害が及ぶこともあるからだ(以上が理)」
 なお、このように社会で起こっている現象・事実を基に論理を創る方法を「帰納法」と言います。論理Logicづくりのプロセスには、ほかに「演繹法」があります。
 そして、このように論理をつくったら、読み手が読みやすいように整理する必要があります。整理TRimmingのポイントは、わかりやすさです。読者が抱く「結局この人は何が原因と影響だと考えているのか」といった疑問点がすぐに解消されるような構成が望ましいものです。それには「結論第一Main Point 1st」で臨む必要があります。そうした構成が、序論・本論・結論です。以下のような構成です。

・序論 私は、電車やバスの中でそうした行為が増えた原因は……だと考える。そして、そうした行為が増えると……といったことが影響として生じる。
・本論 なぜ、そのように考えたのか。それは、……。例えば、私自身……。
・結論 以上の考察から、原因は……だ。そして、影響として……が起こる。

 こうした構成ができたら、実際に原稿用紙に表現していきます。このActionの段階で気をつけるべきことは、二つあります。第一に、指定字数を満たして書くことです。第二に、正しい日本語で書くことです。
 指定字数を満たすには、字数を膨らませるためのテクニックも必要です。換言(言い換える)、詳述(詳しく述べる)、列挙(複数の事例を挙げる)などの具体的な手法を使うことによって、表現は膨らんでいきます。

3)面接試験対策

 看護系学校の面接試験は、実にバラエティーに富む形式になりました。一般的な一人の生徒を面接する「個別面接」のほかにも、一度に数名を面接する「集団面接」や生徒たちに討論させて、その内容を審査する「グループディスカッション」など、さまざまなパターンがあるのです。
 今回の記事では、パターン別の攻略法については述べませんが、面接試験を突破するポイントを言語、非言語の二点から解説します。言語とは、話す内容(何を話すか)です。非言語とは、表情・態度や声のトーンなど、話す姿勢(どう話すか)です。
 言語については、小論文で述べたULTRAを意識する必要があります。まず、質問の内容をしっかり理解Understandすることです。私も大学の客員教授を務めていたとき入試面接官を経験していますが、緊張のあまり質問したことに対して、答えてくれない受験生に対したこともあります。それゆえ、まずは理解が大切です。
 次に、理由を求められたらしっかり理由を述べましょう。ここでは、論理Logicづくりが大切です。「好きな教科は数学です」と応え、面接官から「なぜ」と聞き返されて、「とくに理由はありません」では、意見を疑われます。逆に「一つの公式から、複数の問題を解くことができ、柔軟な応用力の大切さを学べるからです」などと、しっかり理由を添えて応えれば、相手も納得します。
 そして、答える順番もしっかりと整理TRimmingする必要があります。相手が聴きたいのは質問に対するストレートな答えですので、ここでも結論第一Main Point 1stをこころがけましょう。
 実際に面接試験で表現Actionする際には、文字表現と違って、生身の身体をさらしているので非言語にも気をつけましょう。非言語についてのポイントは以下のとおりです。

・声は大きく
・表情は明るく
・動作にはメリハリを

 まず、面接官との間には普段の会話よりも距離があります。それゆえ、日常会話よりは大きめな声を出す必要があります。また、内容として前向きなことを話しても、暗い表情で下を向いていたら、「本当にそうなの」と疑われます。それゆえ、若者らしく明るい表情で臨みましょう。また、入退室などの動作にはメリハリをつけます。座っているときには落ち着き(メリ)を見せ、歩くときには機敏さ(ハリ)を見せるなど、変化をつけるといいでしょう。
 面接試験こそ、本番を想定した練習が必要です。学校の先生や保護者に頼んで、模擬面接をしてもらいましょう。また、頻出質問(「志望動機」と「高校時代に力を入れたこと」など)について、友達に面接官役をやってもらう「模擬面接ごっこ」なども練習となります。しっかりと事前準備をして臨みましょう。

ヘルメスゼミ® クロイワ正一

ヘルメスゼミ®について

 27年にわたり看護学校(大学・短大・専門学校)への進学を支援しているオンライン指導専門塾。とくに志望理由書や小論文の書き方指導、面接指導には定評があり、看護の現場を熟知した指導者が、受験生を的確に志望校合格に導いている。『ULTRA®小論文(基礎編、看護系実践編)』『AO・推薦入試ULTRA攻略法(志望理由書対策、面接試験対策)』などの、映像教材によって「いつでもどこでも」学べる態勢を準備している。

クロイワ正一:

 ヘルメスゼミ®代表。LEC東京リーガルマインド大学総合キャリア学部客員教授、川崎市立看護短期大学(現・川崎市立看護大学)講師、太田医療技術専門学校看護学科講師などを歴任。国家資格キャリアコンサルタント(Career Development Adviser)として、日本看護協会や各都道府県の看護協会、病院にて看護職のキャリア開発を支援する。また、27年にわたり看護職を目指す受験生の進学支援にも携わっており、志望理由書・小論文の書き方、面接対策などを全国の高校、予備校・塾などでも指導している。『看護医療系小論文!超ULTRA攻略法』『看護医療職への進学&就職ガイド』(KKロングセラーズ)、『志望理由書の模範的書き方』『面接試験での模範的答え方』(ライオン社)、『電光石火 AO・推薦入試』(ブックマン社)、『看護業務「考え方」「書き方」「話し方」100のコツ』『ファースト・セカンドレベル 短時間!ULTRA®方式 合格レポート わかりやすく効率的な書き方』(日総研出版)など、著書は多数。

ヘルメスゼミ®の看護系進学指導コースについては下記公式ページをクリックし、ご参照ください。

https:///kangoschool.com/


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