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心筋梗塞になりまして④

「しょうへいさーん!手首からカテーテル入れていくんで、局所麻酔していきますねー!」

そう告げた主治医はどんどん作業を進め、1時間そこらであっという間に手術を済ませた。

心臓に詰まりのあった箇所を風船で膨らませて血管を広げてくれたそうな。

ICUに入った僕は、術後の違和感しかない右手と、点滴の刺さった左腕を見て、病人やな。と、変に納得しつつも病院食を楽しみにしていた。

全体を通して病院食は凄く美味しかった。
可もなく不可も無いというのが1番良いもんだ。
そりゃあ唐揚げが欲しくなったりもするがこういう時は、可もなく不可もなくで良いのだ。
だって病人だもの。

ICUでは凄く眠れた。
久し振りに良く寝た。

そしてウンコが滝の様に出た。

術前に念のためオムツを履いといて下さいと渡されていたので、履いてたのだけど、まさか目の前のトイレに行く許可も貰えないとは思ってなかったので、腹痛に見舞われた僕はどんどん焦って、ナースコール押して看護師さんに

「そこの目の前のトイレに行って良いですか?」

「お通じが凄い迫ってきてるのでトイレに行かせてください」

と額に脂汗をかきながら嘆願したけど、オール却下。
そりゃあ看護師さん‼️

あなたたちは患者が脱糞するの慣れてるやろうけど、こちとらプレイでもしない限りオムツの中に思いっきり排泄は戸惑うし、恥ずかしいものもあるぜ〜⁉️

と、色々考えていたが、腸と肛門はそんなもん待ってくれるわけもなく、かなりの勢いで肛門がノックをしている。

満室です。と。

僕はまだ我慢するべく、エッチなことを考えたり、小難しい事を考えたり、楽しい事を考えたりしたが、肛門様は静まってはくれなかった。

なんだかんだベッドの上でもぞもぞしてると、看護師さんが尿瓶片手に

「出そうですか?」

と、伺ってくれたので

「両方出ます」

と答えた。

尿瓶を受け取り股間に当てて、尿を出そうと思ったら、肛門様が

「懲らしめてやりなさい」

と、言わんばかりにオープンなされてとめどなく出たんだ。

「あ。」

と、情けない声を出す僕。

どうされましたと、覗く看護師。

何も言わずに処理をしてくれました。

僕は横たわりながら恥ずかしさと罪悪感に体を支配されながら汗だくになっていた。

「まだ出る。さっきのは序章だ。」

直感的に感じた僕は看護師さんに室内のトイレに行って良い許可はいつ出るか聞いた。

なんと!あと2時間ほどすればリハビリがあってそれに合格すればいけるとのこと!

よし!自分のペースでトイレ行ける!

……ドーン!

肛門様だ。

先程助さんを抜かれたもんだから今回は格さんを引き連れてまたノックをしてきてる。

あと、何時間や?

1時間半か…

ナースコールを押す。

「もうちょっとリハビリ早くできません?」

「ああ、そうなんですか」

予定通りしかダメなのか。

仕方ない。


その間もずーっと僕は肛門に控えおろう!である。

そして再び尿瓶を手にした僕は用を足そうとしていた。


リハビリの30分前のことだった。


尿が出ない。
出したいのに。

力まなければ。

しかし、油断は出来ない。

肛門様が今か今かと待っているのだから。

しかし、一方で僕は

「オムツ履いてるんやから出てしもてもしゃーないか!一回やってしもてるしな!」

という考えが湧いてきた。

こうなれば怖いものはない。

思いっきり力んで尿を出そうとした次の瞬間。

尿なんか1ミリも出ず、大量の便が紙オムツを埋め尽くした。

便は前まで来た。
凄く嫌な気分になった。

前まで来た不快感から僕はまた

「あ。」

と、情けない声をを出してしまい、また覗きにくる看護師さん。

「また後ろから出てまいました。ようけ出てまいました。ごめんなさい」

もはや僕は自分が何者かも分からなくなりそうになっていた。

脳内では

「ガマンは良くないから!」
「オムツプレイみたいになってるやん!」
「ごっつ恥ずいやん!」
「あああああああああああ!」
「お嫁に行けない…」

みたいな言葉達が超高速で駆け回っていた。

とどめに看護師さんが

「早めにリハビリしといたら良かったですね、ごめんなさい。まだまだお若いんで恥ずかしいと思います。お気遣い出来なくてすみません」

と、謝ってくれたけど、それはそれで僕がキュンとしてしまったし、目覚めかけた。
何より、これまでの2回の脱糞を振り返るには充分な心遣いだったので、恥ずかしさがエグかった。

程なくリハビリをクリアし、トイレに行けるようになり、大部屋にも移動したのだけれど、その解放感たるや。

2度の脱糞の拭き残しで肌が痒いことなど気にもせず、気ままにトイレに行けることが如何に幸せかを今なら説けるなぁ。

と、思った手術当日からの翌日でありました。

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