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「日向坂46ストーリー」を読み解く3つのポイント

この記事では、「日向坂46ストーリー」を読んだ人は改めて読むときにより面白く読むためのポイントを、「日向坂46ストーリー」を読んでない人は手に取ってみたくなるポイントを3つの観点で解説します。

なお、これから読む人のため、内容を軽く紹介するのみで詳細は記載していません。
まだ読んでない人も安心してこの記事を読んでください。

1. 「日向坂46ドキュメンタリー映画 3年目のデビュー予告編」副読本としてのポイント

日向坂46のドキュメンタリー映画「3年目のデビュー」。
その予告編として2020/3/2深夜に放送された「日向坂46ドキュメンタリー映画 3年目のデビュー予告編」は、「予告編」ではあるものの「ひなた坂46」時代のポイントを押さえ総まとめにした内容の濃いものでした。
※ 見たことが無い人は検索すると出てくるかもしれません。

一方で46分という時間と映像という媒体から語り切れずこぼれ落ちた想いがたくさんあります。
それらの想いを拾い上げて補い、副読本としての役割を担っているのがこの本、というのが最初のポイントになります。

例えば、長濱ねるさんのエピソードです。
彼女のオーディションについて予告編では「今と違う環境に行ったら違う自分になれるんじゃないか」というモノローグと、「母親の反対により最終審査の参加をあきらめました。」「父親がスタッフに直談判し特例での加入が認められました」というナレーションがあるのみでした。
しかし、この本には、なぜ母親が反対していたか、なぜそんな中で母親も含め家族がアイドル活動を認めるようになったかという葛藤と克服の過程が詳細に描かれており、1人の少女によるアイドルグループ加入にまつわる悲喜こもごもを感じることができます。

一方で、逆に「日向坂46ストーリー」で記載されている内容を予告編で実際に映像として確認できるものもあります。
例えば、「日向坂46ストーリー」ではライブツアーにおけるMCの重要性とメンバのMCスキル上達について言及されていますが、実際にどのようなMCがされているかが映像で分かるようになっています。

こうして見ると、「日向坂46ストーリー」と「日向坂46ドキュメンタリー映画 3年目のデビュー予告編」は相互補完しあう関係で、いわばスタンリー・キューブリックの映画「2001年宇宙の旅」に対するアーサー・C・クラークの小説「2001年宇宙の旅」のような存在です。

2. メンバの機微に触れるというポイント

2つ目のポイントは、ちょっとしたエピソードの中でメンバの可愛らしい面、意外な面、感心する面などが見つかるということです。

例えば、以下のようなものです。
・河田陽菜さんが2期生おもてなし会の稽古がうまくいかず寝る前にしていた微笑ましい祈りの中身
・加入当初のミーティングにおける金村美玖さんの意外なエピソード
・武道館ライブにおける松田好花さんの如才ない振る舞い
・グループ加入当初は楽屋で一人でいた小坂菜緒さんが、徐々に変わっていき本当の自分に気づく感動的な話
・坂道研修生時代にどのグループに入るか聞かれた際の、上村ひなのさんの力強い回答

特に、小坂さんの話は日向坂46というグループがメンバにとって何なのかを象徴するエピソードで、この本のハイライトと言えるものになっています。

他にも各メンバの機微に触れるエピソードがあり、この本にはそれを見つける楽しさもあります。
貴方は他にどんなメンバの一面に気づきましたか?

3. 欅坂46との関係性というポイント

3つ目のポイントは、日向坂46を語る上で切っても切り離せない存在、発足の元ともなった欅坂46との関係性です。
この本に書かれているのは、欅坂46に振り回され続けたのがけやき坂46であり、特に最初の1年半は欅坂46が彼女たちを大いに悩ませ、そして逞しく成長させた存在でもあった、ということです。

例えばそれは、長濱ねるさんの兼任です。
彼女は2015年11月にけやき坂46として活動を開始し、2016年6月に欅坂46との兼任が正式に発表されました。
その後、けやき坂46のセンターにもかかわらず兼任として多忙な日々を送ることとなり、体調を考慮した結果2017年9月に兼任解除されけやき坂46を脱退することとなります。
この本には長濱ねるさんの兼任と兼任解除により、けやき坂46がどんな壁にぶつかり、どう乗り越えていたかが記録されています

また、「欅坂46のアンダーグループ」という呪縛がありました。
けやき坂46のオーディションには「欅坂46のアンダーグループ」と明記されていましたが、明確な定義がなく欅坂46との入れ替えがあるかどうかも分からず先が見えませんでした。
「世界には愛しかない」全国握手会での寂しい握手会列や、ほとんどの楽曲が欅坂46のカバーであること、欅坂46のイベントに出ても最後の挨拶には参加できないことなど、自分たちのアイデンティティを見出せず苦しむ状態が続きました。

そんな中で自分たちらしさを出すにはどうすれば良いか考え続け、逆境を全てプラスに変える力が彼女たちにはありました。
「崖っぷちにあるとき、ひたむきに頑張るその姿勢が、ひらがなの持つハッピーオーラ」という境地にいかに立つことができたか、この本にはその過程が丁寧に描かれています。

4. まとめ

これまで解説した3つのポイント以外にも、長濱ねるさんと米谷奈々未さんのアツいエピソードや、影山優佳さんのShowroom審査におけるフェアネス精神、けやき坂46発足当初の迷走など様々な内容が描かれています。

本自体は非常に読みやすく、1つ1つの章から次の章への繋ぎも分かりやすくなっています。
(各章のエピソードと楽曲をこじつけるのは少し無理矢理感がありましたが・・・)

8/7からの「3年目のデビュー」公開前にこの本を読んで改めて予習してみてはいかがでしょうか。

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