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やっと目を覚ましたかい?
引越しとともに通うスーパーが変わる。
生活に馴染みすぎていて気付かないかもしれないが、数年後溜まりに溜まったカードケースの中からもう使わなくなったスーパーのポイントカードを見つけた時などは、当時住んでいた街の思い出が脳内を一気に駆け巡り、なかなかエモい瞬間である。
そして一人暮らしの大学生や社会人は学校や仕事帰りに近所のスーパーで幾度となく勝てば官軍負ければ賊軍の戦を繰り返したことと思う。
兵士たちが集うここは、経験に裏打ちされた確かな情報が物を言うスーパーの一画。
戦場と本陣を隔てるのはたった一枚のシルバーの扉。
扉が微かに動きを見せた瞬間、戦場に緊張が走る。鮮魚コーナーから漏れ出たのかドライアイスの煙を足元に渦巻かせ余裕の笑みを浮かべ登場するのは半額シールを手にした惣菜コーナーのおばちゃん。
ここではスピードが命だ。しかし「待っていました!」という内心を隠し、いかにスマートに獲物をカゴに入れるかが現代の戦場の嗜みだ。今だ・・・「殺(ヤ)れ!」
これが昨日の仕事帰りの私。大学の頃から続くこの大戦は戦地を移し、現在は大都会東京のとあるSEIYUにて繰り広げられている。
日常的にSEIYUを利用するようになったのは2年前からだ。格安スーパーの肩書を欲しいままにしているこの店は惣菜の他に私の食生活を支える大事な商品群がある。それがSEIYUのプライベートブランド「みなさまのお墨付き」だ。
これは、ひとつの商品に一般消費者(20〜60代)が味・容量・価格を総合的に評価し4段階で80%以上が「良い/非常に良い」と評価したものだけを商品化するというものだ。
絶えず人からの評価を真正面から受けボロボロになった就活時代の自分と重ねると「うんうん、よくがんばったね」と抱きしめてやりたくなる程の過酷な道を乗り越えた輝くばかりの商品群だ。
この2年で仕事帰り、誰よりも顔を合わせたSEIYU。どんな時も「みなさまのお墨付き」だと誇らしげだった。
東京には安いスーパーがあると母が言っていた。
それが、君。
毎日通って、少しは君とも親しくなれた気がする。それは僕の勘違いなんかじゃないよね?
君の魅力もたくさん知っている。
だからさ、もう、辞めないかい?
「みなさまのお墨付き」ってのをさ。
どこの誰だか知らない評価で君を決めて欲しくない。
他人の評価で輝いて欲しくないんだ。そんな・・・堂々と・・・。
僕は知ってるし、君に届く声で言う、君は!!
その弛まぬ努力の時点で美しいんだ!君は・・美しい・・・。
東京には数え切れないほどのスーパーがあり、その数だけ物語が生まれる。
朝の顔、昼の顔、夕方、閉店前。
きっと僕は人生のステップアップに合わせてまた引っ越すだろう。
そうしたらまた違うスーパーに通う。でもね、未来のいつかで今に耐え切れなくなって思い出に助けてもらうことがあるかも知れない。
その時はどうか届いてくれよ。
大声で叫ぶからさ、 ”Say You” ってね。