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総額10.2億円調達したスマートリモコンを開発するスタートアップとは!?  ジンが記す週刊SmartPitch[エネルギー・資源業界]2024/03/04

執筆者紹介🖌

私は2023年3月末に株式会社ショーケースにインターンとして突如現れた通称ジン。ジンは飲めない。SmartPitchの認知度拡大と最適化に奮闘する中で、資金調達やM&A、業務提携情報が一括でまとめられたメディアの有用性に注目して週刊SmartPitch発行を決意した。
日頃は新しいもの・ことに常にふれながら、個人の裁量が大きなこの職場で、第3者かつ学生独自の視点を活かしつつ、様々なことを実行に移しPDCAを回し続けることを心掛けている。


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今回のPick UPコンテンツ
4月から始まる、容量拠出金制度について

https://www.occto.or.jp/market-board/market/files/210531_youryou_gaiyousetumei.pdf

2024年度に供給可能な状態にできる電源を確保することを目的に、2020年7月、初めての容量市場でのオークションを実施。それに伴い4月から容量拠出金制度がスタートする。
容量市場は、家庭やお店、工場などで使用する電気について、4年後に必要とされる電気の量(需要)に相当する発電能力(供給力)を、日本全国の発電所を対象に一括して確保する仕組み。この仕組みにより、電力供給および電気料金の安定化などが見込まれる。
小売電気事業者は、2024年から約定金額で定められた容量拠出金の支払い義務が発生する。各事業者への負担額は、1kWhあたり数円程度になると見られており、これが電気料金に加算されるため、容量拠出金分の値上げが予測されている。そのため、容量拠出金制度の開始に伴い、2024年4月から「制度負担金」として容量拠出金を反映してする事業者が多いようだ。



つばめBHB、シリーズCで総額53億円を調達。グリーンアンモニア生産を世界へ

小型分散型アンモニア製造プラントの社会実装・商用化を目指すつばめBHB株式会社は、このたびシリーズCラウンドとして、国内外の既存投資家及び新規投資家を引受主とした第三者割当増資による総額約53億円の資金調達を実施した。本シリーズCの第2ラウンドでは初の海外投資家として、ドイツを本拠地とするHeraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft mbH(以下、へレウス社)、国内の新規投資家として横河電機株式会社、株式会社環境エネルギー投資を引受先とした資金調達を実施した。

当社は2017年4月に世界初となるエレクトライド触媒を活用し、低温・低圧でアンモニア合成が可能な小型分散型アンモニア製造プラントでのオンサイトアンモニア生産の社会実装・商用化を目指し設立。へレウス社はドイツのハーナウを本拠地とする、多角的かつグローバルに展開する大手ファミリー経営のテクノロジー企業で、金属・リサイクルやヘルスケア、半導体・エレクトロニクス、そして産業というビジネスプラットフォームにおいて多様な活動を展開、世界40ヵ国、約17,200名の社員が在籍している。

当社が提供するエレクトライド触媒を活用した低温・低圧で生産されるアンモニア合成触媒は、小型アンモニア製造プラントのため、地産地消が可能石油化学コンビナートで大量生産されたものを調達する現行方式に比べて輸送や保管のプロセスが減るため、二酸化炭素排出量を削減できる。当社は、日本発のエレクトライド触媒技術を活用し、約400年の歴史を誇るヘレウス社と連携することで、小型分散型オンサイトアンモニアプラントによるアンモニア生産のローカライズ化、再生可能エネルギーを活用したグリーンアンモニア生産、水素アンモニアの製造を推進していく。


セルグリッド開発のDGキャピタルグループ シリーズAラウンド16億円の資金調達

株式会社DGキャピタルグループは、地域マイクログリッド構築を容易に行えることを目的としたGridForming-CellGridシステム「セルグリッドプラットフォーム」開発に向けて、シリーズAラウンド16億円の資金調達を実施。
高島株式会社(銘柄コード 8007 プライム)、株式会社サンヴィレッジ、エイト株式会社、株式会社エナジートラストカンパニー、株式会社WORKERSアセット、株式会社ANQ、株式会社グランインデックスその他法人、高橋健一氏、高木正浩氏その他個人投資家を引受先とした第三者割当増資による資金調達となる。

地域マイクログリッド構築を容易に行えることを目的としたGridForming-CellGridシステム「セルグリッドプラットフォーム」開発を、2024年12月リリースに向け進めている。
セルグリッドとは、デジタルグリッドルータDGRを多数台連係した系統構築型同期配電網(マイクログリッド)。主電源なしに分散電源のみでロバストな自立運転が可能になる。今回調達した資金及び、既存の投資家の皆様のご支援を賜り、デジタルグリッド技術開発を進めていく。
また、国内だけではなく海外向けにシステム開発を進め更なる事業拡大も図っていく所存だ。


Nature、第三者割当増資による10.2億円の資金調達を実施

「自然との共生をドライブする」をミッションに掲げるNature株式会社は、第三者割当増資で約10.2億円を調達した。
今回の増資で新たに加わったパートナーとともに、Nature独自のエネルギーマネジメントプラットフォーム「Nature DER Platform(ネイチャー ディーイーアール プラットフォーム)」を構築し、再生可能エネルギー100%の未来の実現に貢献していく。

Natureは、温室効果ガスの排出量において「照明」「冷暖房」「冷蔵」など電気や電化に関する項目が全体の34%にのぼることから、家庭のエネルギー利用の最適化に着目し、スマートリモコン「Nature Remo」やスマホHEMS「Nature Remo E」の開発・販売、電力小売事業者向けの「デマンドレスポンス支援サービス」を提供してきた。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、日本の電源構成においても、政府は再生可能エネルギーの比率を50%以上に引き上げることを目標に掲げている。

電気の脱炭素化には、太陽光や風力等のVRE(Variable Renewable Energy:変動性再生可能エネルギー)を増やし、その上で「電力の高い自家消費率の実現(利用者のためのエネルギーマネジメント)」と「電力需要の柔軟な調整力の実現(グリッドオペレーターのためのエネルギーマネジメント)」を達成することが必要。それらを実現するために、Natureでは、これまで培ってきた実績やノウハウを昇華させて、Natureのプロダクトやメーカークラウドを連携させ、DER(Distributed Energy Resources:分散型エネルギーリソース)を最適制御するエネルギーマネジメントプラットフォーム「Nature DER Platform」の構築を進めている。


自然免疫応答活用がん治療薬開発の東京核酸合成がシードラウンドの資金調達を実施

次世代がん治療薬及び新型核酸合成機の早期実用化を目指す東京核酸合成株式会社は、リアルテックファンドと三菱ガス化学株式会社を引受先とする第三者割当増資により、シードラウンドの資金調達を実施した。また、本資金調達と関連し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「ディープテック・スタートアップ支援事業」STSフェーズ(実用化研究開発(前期))に採択された。本資金調達及びNEDO-DTSU交付による資金調達額は1.5億円となる。

このたび調達した資金は、当社のリードパイプラインであるTKG-001にかかる製剤開発、非臨床試験等及び新規核酸合成機の研究・開発を推進し、早期実用化を目指す。

がん治療薬として多くの患者に処方されている免疫チェックポイント阻害剤だが、奏効率が高くないことが知られており、他の薬剤と組み合わせた併用療法や別のアプローチでの新たながん治療薬の開発がたくさん進められている。そのなかで即効性の高い自然免疫の活用したがん治療薬は期待されている分野のひとつ。しかし、このSTINGアゴニストと呼ばれる自然免疫を活用した治療薬の開発はあまりうまくいっていない。当社はその原因を標的疾患への選択性が低い低分子での医薬品開発の難しさにあると考えて、モダリティを変え、さらに作用機序も一新した次世代がん治療薬としての第三世代STINGアゴニストを開発している。

当社の技術は標的細胞へのバイオマーカーとしてmiRNAを利用して、狙った疾患細胞を細胞死に導く。まずは難治性がんを標的疾患としているが、数千あるmiRNAを標的として狙った細胞を細胞死できる技術であり、臨床現場に新たな治療手段を加えることのできる非常に拡張性の高い技術だと考えている。世界中の患者さんへこの新しい治療が届けられるよう、開発を進めていきたい。


東北大学発スタートアップAZUL Energy シリーズA2ndクローズとして1.4億円を追加調達

レアメタルを使用しない次世代エネルギーデバイス向け高性能触媒製品を開発する東北大学発スタートアップAZUL Energy(アジュールエナジー)株式会社は、シリーズAセカンドクローズとして新たに1.4億円の資金調達を実施した。
当社は、既存のエネルギーシステムなどで使われている白金などレアメタルを代替することが可能となる新たな触媒技術を開発しており、資源制約のない独自の触媒を社会実装することにより脱炭素社会、循環型社会の実現を目指している。今回のセカンドクローズを含むシリーズAの資金調達により、独自の触媒を組み込んだ電極シートの量産化、金属空気電池や燃料電池/水電解装置などへの用途展開と海外事業開発を進めていく。

これまで、次世代エネルギーデバイスとしてCO2排出量の削減が期待される燃料電池や水電解装置などの水素エネルギーシステムでは、電極に用いる触媒として白金など高価で資源制約のあるレアメタル触媒が用いられてきた。しかし、資源制約の大きいレアメタル触媒は、高コストのみならず経済安全保障の面でも課題があり、その代替が求められていた。
AZUL Energyは、東北大学発スタートアップとして2019年7月に創業し、独自に開発したレアメタルフリーの高性能触媒「AZUL触媒」の事業化を進めてきた。AZUL触媒は、燃料電池や金属空気電池の空気極における酸素還元反応において高い触媒活性を有しており、また従来の製造プロセスを用いて量産することが可能となる。当社は資源制約のない触媒として、お客様に低コストな高性能触媒を安定して供給するべく開発を進めている

AZUL Energyは、独自の技術により開発したAZUL触媒を社会実装することで、レアメタルに依存しない環境配慮型の高性能エネルギーシステムを構築し、脱炭素社会、循環型社会の実現に貢献する。


宇宙ビックデータを扱うJAXAベンチャー天地人、シリーズAで2.5億円の資金調達

JAXAベンチャー 株式会社天地人は、シリーズA 1stクローズとして、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)、株式会社常陽キャピタルパートナーズ、スカパーJSAT株式会社、株式会社ゼンリンフューチャーパートナーズ、株式会社JALUXを引受先とする第三者割当増資を実施した。今般の資金調達額は2.5億円で、創業来の累計調達額は7.8億円となった。

天地人は、地球観測衛星等から得られる宇宙ビッグデータを活用し、土地評価サービスを行う「天地人コンパス」をコア事業としたJAXAベンチャー。異常気象や地盤沈下などによる水道管の劣化を宇宙から見抜く「天地人コンパス 宇宙水道局」や、気候変動に対応したブランド米をつくる「宇宙ビッグデータ米」など、様々な社会問題の解決に取り組んでいる。

今回の資金調達については、コア事業である「天地人コンパス」の事業をより加速させることを目的としており、事業運営や開発への投資に活用する。当社は、2023年4月に宇宙ビッグデータを活用した水道管の漏水リスク管理業務システム「天地人コンパス 宇宙水道局」の提供を開始した。既にいくつもの自治体様から導入いただいているだけでなく、人々の生活に必要不可欠なインフラの維持に貢献できることを評価され、第7回 インフラメンテナンス大賞の厚生労働大臣賞も受賞した。

当社のバリューの一つに「宇宙視点で考える」というものがある。衛星のデータを活用している天地人だからこそ、文化や国境、精神や価値を超越した宇宙の視点で地球規模の環境問題や社会課題にこれまでとは違った視点で取り組めると考えている。


“みえないものを可視化する技術”で人類の課題を解決するIGS 総額45億円の資金調達を実施

株式会社Integral Geometry Science(以下「IGS」)は、SBIインベストメント株式会社を引受先とした第三者割当増資ならびに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のディープテック・スタートアップ支援事業における助成金を受け、総額約45億円の資金調達を実施した。インライン蓄電池検査システムの量産化に向けた技術開発や、試作機の開発、海外展開のほか、その他プロダクトの実用化に向け取り組んでいく。

これまで蓄電池の出荷前検査においては、初期充電後の電圧降下を測定(エージング試験)していた。しかし、その検査をパスしたはずの蓄電池から爆発事故が起こることが多々あり、近年は社会問題にまで発展している。

IGSは、蓄電池外部に漏洩した磁場と蓄電池内部の電流に関する逆問題の解析を通じて、蓄電池内部の電流密度分布を非破壊画像診断するシステムの開発に世界で初めて成功し、従来検査での良品に含まれる発火リスクのある蓄電池の選別を可能にした。
EV自動車の普及に伴い蓄電池生産量の増大が見込まれる中、蓄電池の安全性を飛躍的に向上させることを目的に、蓄電池の製造工程における全数検査技術の確立に向け開発してきた。

IGSは、いままで誰もみることができなかった隠された世界を撮影するテクノロジーを研究開発・事業化する会社。未知の世界を撮影するためには、外の世界から波動を送り込み、内部で跳ね返りを繰り返し外の世界に漏れ出た波紋を観測し、映像を創りだす必要がある。この作業は、波動散乱の逆問題とよばれ、極めて困難な応用数学史上の未解決問題とされてきた。日頃は神戸大学インキュベーションセンターに研究開発拠点を置き、透視技術の研究開発と実用化に取り組んでいる。


電池向けの次世代カーボンを開発する3DC  プレシリーズA1stクローズで2.5億円を調達

電池の進化を加速させる革新的カーボン新素材の開発・製造販売を行う株式会社3DCは、2024年1月、ANRI株式会社、森松インターナショナルホールディングス(02155.HK)の日本法人である森松T&S株式会社を引受先とする第三者割当増資により、プレシリーズAファーストクローズにおいて2.5億円の資金調達を実施した。

今回調達した資金により、次世代カーボン素材「グラフェンメソスポンジ(GMS)」の製造体制の構築を進め、既存リチウムイオン電池の性能および寿命向上を目指す

3DCは、脱炭素社会で必須となるリチウムイオン電池や次世代電池、キャパシタ、燃料電池などの蓄電・発電デバイスに向けたカーボン新素材「グラフェンメソスポンジ(GMS)」を開発する東北大学発のベンチャー企業です。GMSは、炭素1原子分の厚みでスポンジのような三次元構造を備えた、まさに「三次元型のグラフェン」素材。最も注目すべきはその柔軟性で、まるでゴムのように弾性変形する。このような「変形する炭素材料」を開発しているのは、世界でも3DCだけ。また、GMSは優れた多孔性、導電性、耐食性も有しており、炭素材料の壁と言われる「寿命と性能のトレードオフ問題」を解決し得る革新的な材料として全世界から注目されている。
将来的には、電気エネルギーを蓄積・使用するあらゆる場面でGMSが使用される社会を実現するのが目標

3DCは過去にシードラウンドでの第三者割当増資および金融機関からの融資等により累計4.3億円の資金調達を実施し、GMSの研究開発を進めてきました。その結果、リチウムイオン電池向けを始めとした複数用途でのGMS開発に見込みがついたため、その本格的な製造体制を構築すべく、今回新たに資金調達を実施した。
GMSを量産してリチウムイオン電池に組み込めば、その性能および寿命を大幅に向上させられることがデータで示されている。3DCはGMSによってリチウムイオン電池の能力を根本から底上げし、脱炭素社会に大きく貢献する電池を生み出す。


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