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2015/7/31 ClariS 1st Live “扉の先へ”

今日はお台場へ飛んでClariSの1st LIVEへ。久しぶりのZepp Tokyo。

確か『俺妹』のOP曲の『irony』で出会って、流れで1stアルバムの『BIRTHDAY』を聴いてみたら、キャッチーな良エレポップ揃いで(編曲がニコ動で有名なP等の布陣)、「これはアニソン系ポップスのマイルストーンとなる名盤だ!」なんて人知れず大袈裟にはしゃいでいたが、万人受けするメロとリズムで、アニソンを敬遠しているような人種でもダンスミュージックが好きであればハマるようなサウンドだった。

そんなClariS、昨年アリスが脱退して、「ひとりぼっちじゃさみしいもんな」ってことでカレンが加入。じゃあ「ClariSじゃなくてClareNじゃないか!」――という何番煎じかも分からない野暮な突っ込みはさておき――解散してもおかしくない苦境を乗り越えて、ついに今夜ヲタ共が待ちに待ったワンマン決行。

会場入りして、ステージ全体を見渡せるPA前に立つと、オリジナルと思しきClariS法被に身を包んだ集団が前を塞ぎ、その向こうに望むステージには深紅の垂れ幕が――と思いきや、シェードに垂れ幕の画が投影されているのだった。プロジェクション・マッピングでもやるのだろうか? ちなみになぜかSEは鳥のさえずり。

今日までその姿を隠し続けてきたClariSの秘匿性を考えると、一切姿の見えないライヴであっても何ら不思議でない――先頃、初のライヴとなったアニソン系イベント(?)でもシルエットのみの出演だったようだし。さて、ヲタの集団が盛り上がると臭そうだな(直球)と怯えていると、定刻より少しばかり早く場内が暗転した。

不意にウサギに扮した執事が現れ、茶番劇とライヴ鑑賞における諸注意と"今日の思い出(有料)"なる物販の紹介をして去って行った。シェードに森と逍遥が映し出され(だからSEが鳥のさえずりだったのか)、その中をウサギが駆けて行く。執事の服は着ていない。ただの野ウサギになってしまった。次いで、柱時計が現れ、開園時刻の午後6時を示す。

豪勢なVJと照明が会場を彩り、『reunion』のイントロが響き渡る中、ついにClariSの2人登場。ヲタ共の発狂染みた歓声が沸き起こる。あ、なんかいかにもアイドルのライヴっぽい。温度と湿度が3割増し。暑苦しく、むさ苦しい。

シェードの向こうのClariSの2人は、背後のVJからの明かりと透け感のある生地をコサージュみたいに何層かに重ねたマスク(?)で顔を隠していて、シェードに映るガーリーなシルエットが、歌い、踊る。というかVJすげえ。先日のコーストのZEDD並みじゃないか? ついでにステージが2段になっていて、後ろからも見やすいのはありがたかった。

「顔を隠していて」とは言うものの、本人達も踊るのにある程度、視界を確保するためか、思っていたより表情を露わにしていた。多分、前方に居た人達は、どんな顔か視認できたと思う。どんな顔だったんだろう。本当に10代なのかな。僕と契約して顔を見せてよ。

『reunion』から『Clear sky』を経て、ClariSとの出会いの曲である『irony』へ。有名曲にヲタもといクラリスクラスタも一層の盛り上がりを見せる。ちょっと蒸してきたな。前に立ってるヤツもほんのり汗臭くなってきた。ステージ上段でClariSが歌い、気づいたら下段に4人のダンサーがいて、曲に合わせて踊っている(最後の方までダンサーたちの演出は続く)。

ここでClariSの2人は袖へ下がり、再びウサギの執事登場。"ClariS城"なる城への案内(所謂"設定")を説明し、第2部へ。ステージ前方のシェードが無くなり、『border』、『CLICK』、『STEP』、『Reflect』と馴染みの無い曲が続く。もっと予習しとけば良かった。あたしって……ホントバカ……

それでも、曲の構成は"美メロからブリッジで貯めて4つ打ちのサビで盛り上げる"というダッチトランス的EDMのような展開が多いので、そのアニソンらしい真っ当なポップさは気負わず乗れる。さらにステージ下段と背面に映し出されるVJに加え、サカナクションより圧倒的に数も動きも色も多様なニンジャーライトまで降りてきて、"オケに生歌"というシンプルなライヴを飽きさせないような演出に終始していた。オイオイコールとペンライトで見辛くなるのが難点だったが。

第3部は"ClariS城内での舞踏会"という設定で、新曲『アネモネ』と『YUMENOKI』、『pastel』を披露。困ったことにほぼ1stしか聴いてないし、2ndもちょっとしか聴いてないから曲が分からん(ここで「もしかして3rdアルバム既に出てたり?」という疑念が過ぎる)。

第4部、舞踏会も終わってお休みの時間。ウサギ執事より「但し夜は一瞬」という旨の話があって、ベッドルームVJをバックにパジャマ風衣装&クマのぬいぐるみを抱えたClariSが現れクラリスクラスタ大興奮。何があってもおまいらこの寝室に入ることはないけどな。これから寝るのかと思ったら、既に寝て起きた体で『wake up』へ。

続いて、雰囲気変わってフリルの衣装と傘を持って『rainy day』。ここらへん"設定"の展開が早い。と思っていたら、是非聴きたかった曲のうちの1曲である『nexus』のイントロが!

……あれ?

待てども待てどもClariSの2人が出てこない。歌は聴こえるが、ステージでは4人のダンサーとVJ上の人型のシルエットが踊るばかり。途中から出てくる演出か?――怪訝そうな気配はフロア中に広がって、ヲタの振るペンライトも俄かに勢いが弱まる。ざわ…ざわ…

そしてとうとう、そのままClariSの2人が出ないまま『nexus』が終了。わけがわからないよ。折角楽しみにしてた曲だったのに、音源垂れ流しかよ……切ない。

意気消沈するこちらの信条を知ってか知らずか、直後に『ナイショの話』投下。聴きたかった曲のうちの1曲キタ! 今度はちゃんとClariSの2人もキタ! 狂ったように盛り上がるクラリスクラスタ。あ、ダメだ。完全に周囲が汗臭い。普段、他のライヴ会場で嗅いだことのない匂いがする。

誰もが「幕間はClariSの休憩(と衣装チェンジ)時間なのだな」と理解し始めた頃合、三度、2人の休憩時間を繋ぐために、『“ClariS Special mix” by DJ和』と題されたリミックス音源垂れ流しタイム。『diary』、『メモリー』、『カイト』、『Time』、『blossum』、『with you』他数曲のサビ部分を抜粋リミックスで会場盛り上げ。『with you』は2ndで唯一ピンときた曲だったので生で聴きたかった。

DJタイム終わって、ウサギ執事が激しいダンスを見せ、「後半へ!」と叫んで消える。結構やるのな、と思いつつ『ルミナス』、『眠り姫』を歌ったClariSがまさかの「ラストー!」と叫んで『コイノミ』へ。

えっ、さっきウサギ執事が「後半へ!」って言ったばっかじゃん! 前半長くね!? 後半超短くね!? そういう演出かなー……という淡い期待空しく本当に本編終了。ClariS城に辿り着くまで長かったのに、滞在時間めっちゃ短い。フジロックの宿かよ。

拍手と「アンコール」の歓声が続き、ClariSがやってきて『カラフル』。再び袖に吐けて、「アンコール」の代わりに「もう1回」のコールが始まり、ClariSが舞台に戻ってきた。

「今日はありがとうございました」の後に、来春からの初の全国ツアー開催が発表されると、「それはとっても嬉しいな」ってな具合にクラリスクラスタ大歓喜。奇跡(全国ツアー)も魔法(全国ツアー)もあるんだよ。「また逢いましょう」から名曲『コネクト』でティロ・フィナーレ。

最後はエンドロールにスタッフ紹介の映像が映し出され、楽曲についてはとりわけkz氏、湯浅篤氏、丸山真由子氏の名前が多く見受けられた。キャッチーな曲を作るのが上手い人達だ。ついでにエンドロール中は『HANABI』のインストver.が流れていた(これ良かった)。

   * * *

一定、匿名性を保ったまま繰り広げられるライヴは、初音ミクのそれを想起させる部分もあったが、こちらは生歌である。クララとカレンのシルエットがちゃんと歌い、あまり上手くないダンスをちゃんと踊っていた。そこがリアルだった。

正直どっちがクララでカレンなのか分からなかったけど、近くに居る人にそんな質問しようものなら手持ちのペンライトで正中線から真っ二つにされそうだったので、その疑問は家に帰るまで胸にしまっておいた(帰ってから調べたらスカートが長くて歌が上手いけど踊りにキレがない方がクララで、スカートが短くて歌はもう一息だけど踊りにキレが会った方がクララだった模様)。クララはちょっとマジで歌上手い。

ところで、なぜ進行がウサギなのか? ファンタジックな世界観でもってライヴを構成したのか?――幕間を作って2人の休憩時間を取る目的もあるだろうけど、恐らくは、アリスがいない今、『不思議の国のアリス』の世界観でもってライヴを構成することで、彼女の存在を亡きものにしないようとしているのだと思う。

総括として、現代のアニソン界隈における"ポップでキャッチーな曲"というのは、"昭和のアイドル歌謡曲をエレポップ(あるいはEDM)で消化したもの"なのだとライヴを見て思った。2時間あの曲調が続くとさすがに萎えるので、1時間半くらいでちょうど良かったように思う(知らない曲が多かったのも手伝って終盤ちょっとダレた)。

デヴューシングル発売から5年経って、初の単独ライヴ。それがZepp Tokyo。しかもキャパ約2,000を即完。ロッキンとかサマソニとか、アイドルが進出しているフェスに出演しても問題なさそう(というかその光景見てみたい)。来春のツアーも東京は行きたいなあ。

余談:帰りのゆりかもめで、向かいの席に座ったモンクレールのポロシャツにピアスというイケてる感じの若い男性が、物販グッズフル装備のガチファンと思しき方だったので、特効のテープをあげた。ちょっとコミュ障っぽい、いかにもなクラスタで良い人だった。

#ClariS

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