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墨国滞在記:Día1(メキシコ到着前夜)

2017年の秋、わたしはメキシコにいた。
仕事を辞め、数か月ほどCEPE(メキシコ国立自治大学内の外国人向け語学学校)に通って、ちょっとスペイン語を話せるようになってから、憧れのマヤ文明の遺跡巡りをしようと考えたのだ。

今となっては記憶も薄れてきてしまっているが、当時かろうじて日記のようなものをつけていたので、それをもとに記録として残しておこうと思う。

* * *

2017/8/29

メキシコ来たったでー!!!!!

と、叫ぶにはまだ早い。
関空でわたしは焦りに焦っていた。
チケット発券して、荷物を預けにいったら問題が発生したのだ。
「EFTA申請してますか?」
「?なんですか、それ」
「・・・カナダに入国する際に必要になる申請です。乗り継ぎだけでも必要になるんですよ」

そう、わたしは格安航空券で遠路はるばるメキシコまで行くので、乗り継ぎが2回、時間にして30時間越えの過酷な空の旅を乗り越えねばならなかった。
そして、確かに航空券購入したときにチケット会社からのメールでEFTAがどうのこうのって書いていたかもしれない。

「・・・それって申請してすぐオッケーでますか?」
「本来は2,3日かかります」

終わったやん!!!!!!
昨日盛大にお別れ会したのに!!!!!
数か月メキシコ行くだけやのに、友達がビデオレター作ってくれて、それ見てお母さん泣いてたで?!?!
どの面下げて家帰るねん。もうホテルに泊まるしかないやんかあ!!!!

とにかくその場で携帯で申請をする。お姉さんが「ちょっと確認してみますね」とどこかに電話をかけてくれ、申請には許可が出たはずなのだが、ラグがあり、こっちではEFTAの申請が通っていることを確認できず待っている間、わたしは半泣きで、メキシコ行きへの思いを持て余していた。というか、みんなに「メキシコ行ってくる!」と宣言してきた手前、申請忘れで行けなかった☆なんて事態はやばい。2、3日関空で寝泊まりする覚悟までしていた。なんとしてでも、メキシコに行かなくてはならないんだわたしは!恥ずかしくって家にも帰れないんだからな!

飛行機の出発時間に焦りつつも、待つしかない。携帯でリロードを繰り返し、申請が通った通知が来るのを待っていた。

そして遂に、通知が来た!

対応してくれていたお姉さんたち(数名で対応してくれていた)に急いで見せに行くと、飛行機の出発時間がギリギリだったので、またどこかに電話してくれ、1人のお姉さんとわたしは走って搭乗口に向かった。
セキュリティチェックも先に通してもらえたのだが、ここでも再び問題発生!

「ナイフ入ってるんだけど?」と検査員。
おい、わたしー!!!!!
なにしてんねん!!!!!!
「あーーーーー!すいません、山やっててそのまま持ってきてしまったんです!処分して下さい!」
急いでるんで、すんません!みたいな感じで通り抜けていったった。
さらば、わたしの初めて買ったオピネルのナイフ。山におはし持ってくるの忘れて枝削って作った思い出のナイフ。ちょうど雨の日で、帰ってからちゃんと手入れしなかったから、次に山に持っていこうと思った時には錆びきっていたね。砥石で錆びをとろうと磨いたら、刃が薄くなって締まりが悪くなって、輪ゴムで止めておかないと指を切る危険な状態になっちゃったんだよね。
…さようなら!

こうしてセキュリティは突破したものの、関空は広い。セキュリティチェック後に、まだモノレールに乗らないといけない。
走った体を少し休めることはできたが、焦っているから、そわそわしてしまう。
そわそわしつつも、一緒にお姉さん走ってくれて悪いなぁとか、飛行場で走るとか「ホームアローン」みたーい、と呑気に思ったりもした。

そして、モノレールが着いたら、また走る!
なんとか間に合って、搭乗口に着いた。
お姉さんが受付の人と話してくれる。
なにからなにまで本当に有難い。
JALってすごい…!JALじゃなかったらわたしは絶対今日この飛行機に乗れてなかった…!
感謝の心をありったけ込めて、お姉さんにお礼を言って、わたしは遂に、飛行機に乗った。

中国行きの飛行機に。
格安航空券なんでね。

メキシコにたどり着く前に怒涛の展開でやや疲れた。
この後も、乗り換え中にハンバーガー食べようと海外の脚の長い椅子によいしょっと座ろうとしたら財布が飛んでいき、「あっこれスられる…!(目の前で…!)」って予感がしたけど、すごい動きの速さでそばにいたお兄さんが手渡してくれた話とか、バンクーバーで10時間空港で時間をつぶしたりとか他にもエピソードあるけれども、しょっぱなの関空での出来事にくらべれば、なんてことのないことだった。

次回、ようやくメキシコに到着!

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