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「感覚の領域 今、経験するということ」@国立国際美術館

大阪·中之島にある国立国際美術館(https://www.nmao.go.jp/)にて、開催中(2022.2.8.-5.22)の「感覚の領域 今、経験するということ」に行ってきた。
正直、現代美術はよくわからないと思っていたが、チラシが素敵だったので、直感的に行こう!と思った。

あと、タイトルが良い。「感覚の領域 今、経験するということ」。博物館や美術館は「見る」という視覚に特化したものではあるが、「見る」ということだけではない面も確かにあるし、むしろ見るだけだと展示空間を作る必要がない。今ですら、バーチャルミュージアムでネットをつなげば2次元ではあるが画をみることができる。もっとデジタル技術進めば、ほとんどリアルと一緒のものが家でみれるようになるかもしれない。それでも、博物館や美術館という空間は生き残るはずだ。体感には、「その場にいく・いる」ということが重要だからだ。と、いった持論があるため、タイトルにはかなり惹かれたのだった。
ただ前に述べたように、現代美術ってようわからん。観覧料1200円はちと高いなぁと思い、金曜と土曜にやっている夜間開館、しかも17時以降の入場で団体割引適用ということで1000円で入場した。人の少ない日程に行くことはわたしにとって最重要なことなので、その意味でも夜間開館日はねらい目なのだ。

だが、1200円払ってでも高くないわ、これ、という内容だった。
最初の部屋でふ~んと絵を見て、次の部屋に行こうとしたときに、スタッフの方に声をかけていただき、「デコレータークラブ」という体感型の展示に向かった。わけがわからないながらに、可動式の壁を居合わせた他の観覧者と一緒に押す。1人では動かせないほどには重い。3人で押したので、動かすのは容易なのだが、なにがなんだかわかっていない全員がおそるおそる押すので、のろのろと動く。途中で止まると、次に新たな動く壁の一部が現れる。それも全員で押していく。奥にスペースがあるが、ただのスペースのようだ。第二の壁を押し切ったら、道ができるので狭い道を奥に進むと、映像が流れている。バッグが引きずられている?
もう少し見ていたかったが、他の人たちは第三の壁を押し始めている。途中からわたしも加わっていると、音がする。壁を動かす音?バッグを引きずる音?
そして、この壁を押し切ると、もとの展示スペースに戻ってくる、というようなかなり大掛かりな仕掛けのある展示だった。
体を動かしながら、頭を使うのは好きなようで、マスクの下でずっとニコニコしていた。楽しい!
壁を押したその先にすぐさま向かうと、「デコレータークラブ」という、自分に装飾をするカニに出会った人たちがそれぞれその衝撃について語る映像があった。へー、そんなカニがおるんやぁ、知らんかった、と思って見てたら、人によってデコレータークラブについての語り方が違って面白い!そもそもデコレータークラブはその辺にあるものを取り込んでいくから、その出会いは一期一会で、同じカニでも別の日に見たら、もう違う姿になっているらしい。語る人たちがいるのに、デコレータークラブそのものは画でどこにもあらわされていない。これは想像が膨らむなぁ、自分だけのデコレータークラブを描いてみたいなぁと思わせられて、すごい面白かった。
と、結構ずっと本当に存在するカニだと思っていたのだが、「デコレータークラブ」についての作者の説明文を読んでようやく実在するわけではないことに気付いた。想像のものというわけでもなく、その人の中にあるものを具現化したものというか……。いや、今も完全にデコレータークラブを理解しているとはいえないのであまり言葉を重ねないでおく。ただ、なんとなくわかったこれを、ぼんやり頭の隅に置いておこうと思う。

そのほかの作品はまだまだ視覚優位の美術館らしい展示だと感じたが、良かったと思う。いや、嘘です。正直よくわからなかった。
たぶん、デコレータークラブがわたしにめっちゃ刺さったんだ。初めて現代美術が面白かった。

コレクション展もせっかくなので見たが、さらっと、展示全体の意図を読み解くように見ていったつもりだけれでも、そんなに刺さらずだった。
「4.生のなかの死、死のなかの生」にすっごい気持ち悪い展示があって、帰り道に作品リストを見返していると、作者がクリスチャン・ボルタンスキーで納得した。すごい気持ち悪かった。さすが。
「6.生のかたち」の「箱に生まれて」という島袋道浩さんの作品、めっちゃ面白かった。やっぱり箱、きれいにテープ貼られたいもんなんか。いつも雑でごめんな。あの関西のおっちゃんみたいな箱と、友だちになってみたいな。

今回の特別展「感覚の領域 今、経験するということ」は、スタッフのみなさんが声かけを上手におこなわないと、意図が伝わりにくい、アトラクションのような展示があって、運営的にはとても大変だと思う。でも、作者やキュレーターの意図を伝えて、観覧者がなにかを感じるためには、スタッフの力が必要不可欠で、とても大事な存在であると再認識した。あのとき、あんな風に声をかけてくれてなければ、わたしはデコレータークラブをあんなにも楽しめなかっただろう。
いやでもほんまにデコレータークラブ面白かったー!押す壁を作るのとかめっちゃくちゃ大変だったと思う。飯川雄大さん、何者?すごいなー。
とっても楽しませていただきました。

最後に展示に関わったみなさまに、尊敬と感謝を。
ありがとうございました!

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