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「世界の奇習」テーマから、ふと思った『日本の奇習』と、謎の「おくりびと」たち

番組をお聞きの方もそうでない方もこんにちは。
ポッドキャスト番組『昭和オカルト奇譚』のマサです。

「昭和オカルト奇譚」では、毎月1回ぐらいのペースでレンタル会議室を借りてそこで半日ぐらいかけて収録をおこなっています。次回が今週末の9月4日(日)ということもあって、資料のまとめをしているなかで、ふと疑問に思ったことがあった。

世界の奇習・風習シリーズ

いくつかのテーマを同じ日に収録しているなかで、掲題のテーマをシリーズ化する予定で、初回である今回は、とある国の地方に伝わる不思議な死生観について深掘りをする予定で資料をまとめていた。そのなかで、日本はどうなのだろうとふと頭を過った。

「洗骨」の儀式がある沖縄地方

2019年2月9日公開『洗骨』

日本国内の死生観に関係のある奇習や風習でまず思い出したのは、沖縄地方に伝わる「洗骨」。死後に一度土葬あるいは風葬などをおこなった後、家族が集まって死者の骨をとりだして、骨を海水や酒などで洗い、再度埋葬するという風習。2019年には映画化もされている。映画の解説は以下。

「ガレッジセール」のゴリの監督・主演で、数々の映画祭で好評を博した2016年製作の短編映画「born、bone、墓音。」を原案に、ゴリが本名の照屋年之名義で監督・脚本を手がけた長編作品。沖縄の離島・粟国島に残る風習「洗骨」をテーマに、家族の絆や祖先とのつながりをユーモアを交えて描いていく。

出典:映画.com

作品では、たらいを持ち込んでガッシガッシと割と大鍋を洗うかのごとく、故人の骨を洗っていた。実際どういう洗い方なのかはわからないが、じゅうぶんに奇習に分類される独特の文化だ。洗骨する理由は、「洗骨されないうちは死者は穢れていて、神仏の前に出られない」という信仰があるからと書かれている。死生観としては、今回とりあげる海外の奇習も似たような感じだ。

白装束で鈴を鳴らして死者を弔う

そこでもう一つ思い出したことは、まさに自分の家のこと。僕が育った家庭は特定の宗教に関与していないが、大雑把にわけてそれぞれ父方がキリスト教、母方は仏教式で、祖父母などのお葬式に関わったことはある。キリスト教は実に簡素なもので、神父さまが聖書を読み、賛美歌を歌ってお別れするだけ。仏教式は最も日本でよくあるパターンのいわゆる“お葬式”だが、祖母が亡くなったときだけ、不思議な儀式をおこなった。

・「末期の水」と「火を絶やさない孫の役目」
「末期の水」は、水を含ませた布を故人の唇にあてて、濡らしてあげるという、割とよくある儀式らしい。

ただ、あわせて祖母のときには孫が各地から僕を含め5人集まり、交代でロウソクの火が消えないように寝ずの火番みたいなことをさせられた。末期の水のほうでは、最も長兄の孫が、祖母が生前酒好きだったからと、ビールをつけたりしていた「末期のビール」だったが、厳格な対応を求めるわりに現場判断はゆるかったなと思う。

臨済宗の「おくりびと」たち

・鈴をしゃんしゃん鳴らす白装束のお婆さん集団

ここまではそんなに珍しいことでもないのかもしれないが、小見出しにもした、このひとたちの存在が不気味で謎だった。タイミング的には、通夜と葬式の合間、昼間だった気がするが、巫女さん風な白装束の衣装のお婆さんたちが4人ほど家に入ってきた。そして、祖母の遺体を囲んで、鈴のようなものをしゃんしゃんし始めたのである。鈴の形状は、輪っか型。錫杖の先についているアレのようなイメージ。

あまりに異様な光景に、疑問出しをするのも憚られたが、「あれはなんスか・・?」とどうにか絞り出したところ、返ってきた答えはひとこと。

「臨済宗のひとたちや」
※マサ家は埼玉ですが、母方は関西なのです。

ただ、「臨済宗 鈴」などで検索しても求める結果は返ってこない。そして、「密教」とか「檀家だけに」とか色々聞こえてきたので、もしかすると関西のある地方(高野山が近いエリア)独特の風習なのかもしれない。

GHQが廃止したはずの「隣組」

そして、葬式の受付も孫の役目ということで引き受けたのだが、あれこれ指図してくる今まで正月やお盆に帰省した際にも一度も会った覚えのなかった、謎のお爺さん集団。香典の管理まで細かく色々指図してくるので、そもそも誰なのか?と問うたところ、またもや予想外の答えが返ってきた。

「隣組や」

男闘呼組でも花組(宝塚)でもハイスクール奇面組でもなく隣組。
昭和ワードをちりばめてみたが、平成の世では本来聞くことのない単語だった。

隣組は、概ね第二次世界大戦下の日本において各集落に結成された官主導の銃後組織である。大政翼賛会の末端組織町内会の内部に形成され、戦争総動員体制を具体化したものの一つ

wikiより

要は町内会の互助会のようなものだろうか。ただ、調べてみると昭和22年にGHQによって「国家体制に組み込まれた地域社会を構成する中心組織」とみなされ廃止されている。

廃止されたはずの組織が平成の世に脈々と受け継がれていたりと、まだまだ隠れたところには、普通に暮らしていると接する機会のない奇習や風習があるもんだと興味深い。

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