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妖狐異聞録『おかたんのしゃむしょ』第弐譚「ネット発怪談にありがちな"訳知りじいさん”の謎」

あらすじ

埼玉県にある古い神社の娘、花子はある日、江戸時代に地下室にあらわれたという妖狐の化身、おかたんを封印からときはなってしまった。
“おかたんの封印解けるとき、埼玉県と近県に災い的な何かがもたらされる“
という言い伝えを聴いていた花子は、神主から授かった狐面の妖力によって、再びおかたんを面に封じることに成功し、おかたんは、花子のそばでしか具現化できない中途半端な存在になったのだった。

狐面は、花子が本気で恐れおののき、怖がれば壊れるという。
ついでに憑依体質となったクマのぬいぐるみとおかたんは、
はたして、感情の起伏があまりないクールな花子を怖がらせることができるのか。二人のオカルト談義が、今宵も始まる…。

おかたんのしゃむしょ

第弐譚「ネット発怪談にありがちな"訳知りじいさん”の謎」


…そして、タカシは夏休みを利用して山深い田舎にある祖父の家に泊まることにしたのじゃった

なんだか早速嫌な予感がする


その山には触れてはならぬ禁忌があってな…遥か昔にこの地に災いをもたらした"悪しきモノ”を封じるために、偶然とおりがかった山伏が鎮めた祠があったのじゃ

はいはい…それでタカシくんは夜中に抜け出して、
よせばいいのに肝試し的なことをしてしまうと…


花子よくわかるのぉ、そうなんじゃ、よせばいいのに…
そして、その祠の封印を解いてしまうのじゃな
危機感の薄いタカシだったが、家に帰ったところ、鬼の形相でかけつけた祖父は開口一番こう言ったのじゃ

「タカシ!おまえは…あの祠を壊してしまったんか!なんてことをしてくれたんじゃ!!えらいこっちゃ!!」

あーやっぱり登場した、訳知りおじいさん…
それでなんでかタカシくんは呪いを受けることになって、
昔その村で起きたアレコレをおじいさんが語りだすのね

なんじゃ知っておったのか
花子も人が悪いぞ、オチを知っている怪談では怖がらせられぬ

知ってるというか、そういうテンプレート?
山奥の村、無知なタカシくん、謎の祠、おじいさんがそろったらもう
自動的にそういうことになるって決まってるの

うーむ、では設定を少し変えてみようかの
山奥の村、無知なタカシ、そして祖父宅にある開かずの間じゃ

「タカシ、この奥にある開かずの間は決して開けてはならぬぞ、決してじゃ絶対に開けてはならぬ、ならぬぞ」

おじいさんバラエティ芸人か何か?
タカシくんは開けるよ、それはもうそういうフリだよ
で、開けたら部屋に祠はおかしいから何かご神体でも飾ってるんでしょ?

いや、猫が逃げるからじゃ

怪談どこいった?
次のおじいさんのターンの語りは何を語るの?

なるほど、祖父が語りだすというのがお約束すぎてだめなんじゃな
では、偶然この村に迷い込んだ理屈っぽいIT系ならどうじゃ

IT系である必要性…

危機感の薄いタカシが村に戻ったら、近寄ってきた黄色いパーカーのおじさんにこう言われるのじゃ

「僕の知り合いの性格の悪い死んだ魚の眼をしたデブのおっさんに聞いたんですけど、あの祠は壊すと大変なことになるらしいッスよ!もう遅いんですけどね!ご愁傷サマでした!」

煽ってる煽ってる
不思議と背景ごと何かがうかんでくるから
やめてもらっていい?

では、たまたまこの村に伝わる呪いを実況配信しにきていたアメリカのYoutuber、ハワードということならどうじゃ

ハワード動機が軽すぎない?

What are you people doing?
A listener commented that evil spirits are sealed in this mountain and if you break them, you will be cursed!
To break this curse, please subscribe to our channel and give us a high rating.

しかし、タケシは英語がわからない「ハ、ハロウ?」

呪いを解くにはチャンネル登録と高評価をしろって言ってるわ
このままだとスパチャも要求されそうね…
その訳知りおじいさん的な役割は居ないといけないの?

そりゃまぁのぉ…居ないと話が進まんじゃろ
主人公は無知が前提なのじゃ、もしその村の因習を知っておったらそもそも祠に行かぬからな、タカシはバ…愚かでなければならん

祠の前に看板を立てておくのはどう?
重要文化財とかよく説明書きがあるじゃない

抑止してしまったら意味がないのじゃ
タカシは呪われなければならん
そこまで既定路線じゃ

実はこの封印を解くと…みたいなオチでも怪談になる気がするけど
このテンプレートだとどうしてもタカシくんは呪われないといけないのね

なぜ呪われたのか解説要員がおらんと、前提でバカのタカシは何もできずに終わってしまうのじゃ、理不尽じゃろ

怪談てわりと理不尽なものなんだけどね
そのテンプレートも封印を解いたタカシくんじゃなくて
封印を施した者か継続していた者を呪うべきなのよ

なるほど…そのパターンは新しいかもしれんな

では、これでどうじゃろ?
タカシが家に帰ったところ、村人たちが総出で祖父の家に集まっていた。大広間に通されたタカシが見たものは、全員が鍬や鉈を手にし、自分に殺気のこもった視線を向ける姿だったのだ…そしてタカシは思った…。

「やらなきゃ…やられる!!!」

すると、さきほど祠で祀られていたとても善良とは思えぬ異形の神がタカシに語りかけた

「力がほしいか…?」

村人と戦いになりそうだけど?
でも因果でいえば実はそのストーリーのほうがしっくりくるのよ
だって封印解いてあげてるんだから
解かれたくなかったのなら祠でひきこもっていればいいの

「爺ちゃん…逃げろ…俺は爺ちゃんまで手にかけたくない…俺の理性が残っているうちに早く…ゴガァァァ!!」

タカシの左腕に宿った異形の神の刻印が暴走をはじめ、武器を持った村人たちを一瞬で亡き者にしたのだった

「タカシ…あの祠は…心霊スポット突撃系Youtuberを釣るための偽物だったのじゃ」

中二病発症してるけど偽物の祠で何を連れてきたのよ
まぁこの手のテンプレ―トは話の構成上もう仕方がないの
一種の様式美といってもいいぐらい
でも慣れてるひとたちからしたら、
訳知りおじいさんが登場した瞬間にガッカリしちゃうでしょうね
怪談における"解説役”問題はバラエティが少ないのが致命的ね

現代っ子は怖い話に慣れすぎなのじゃ
山奥ゆえにメガソーラー利権にむらがる村人がバレたくないものを隠しているなんて説も転がっておったぞ

しかし、ひとついいか花子?
わっちが現代に復活することになったキッカケってなんじゃったかな?

ウチの神社の地下で封印されていたあんたを解き放ったら
おじいちゃんが顔真っ赤にして埼玉に災いがどうのいいだしたから、
再び封印することにしたのよ

自分とこの爺さんは許容するんかい

ウウ…グゥゥゥ…フシュー…

おいクマにまた何かの霊が憑依しとるぞ

憑依しないとしゃべらないからわかりやすくていいね
クママー、あなたは一体どこの誰の悪霊ですか?


今日の話に流れじゃと、どっかの山奥の祠に祀られているヤバい悪霊かもしれんぞ…

オマエタチ…アノ…ホコラニ…
ナゼイッタァァァァアァッァ!!!!グガァアァァ

訳知りジジイのほうか!!!

解説要員なのにやられちゃうこともあるんだね
不憫だから祓ってあげて

こやつには"話が通じんババア”を連れてくるのが覿面じゃが
あいにくとおらんからの、仕方ない…呪言で対処しようかの

メ・ガ・ソ・ォ・ラ・ァ・ケイ!カク!ホジョ!(シュバババ)禁!!!
キエェェェェェエイ!!!

/プシュー\

ぐぁぁふせいじゅきゅうぅぅぅ

なんだか知ってはいけない闇を見た気がするわ…

/おもしろかったら「スキ」を押してね!\


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昭和オカルト奇譚@Podcast🎧 note出張所
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