【実話】すごい風圧
書生時代
ここでは、敬称を略すことについてご了承頂きたい。
四半世紀前の1990年代、大学生の自分が永田町で、ある大物議員の秘書というか書生を3年強やる中で、数多くの国会議員に出会い、声をかけられたり、お話ししたりする場面があった。古き良き昭和の香りとバブル崩壊後の今に続く失われた時代の狭間の中、おおらかさもあり大物と言われる政治家にも近づくことができ、真の姿を全身で感じることができた。
出会った政治家のその後を見た時に得た人生訓、真の漢(おとこ)、人心掌握術、メディアが築いた虚像との乖離等を順次ご紹介したい。
今回は、石原慎太郎先生と後藤田正晴先生についてをお話します。
圧倒される存在感からくる風圧
石原慎太郎
石原裕次郎の兄、都知事、芥川賞。
そして石原軍団、男くささが世間の印象かもしれない。
とにかくかっこいい。若い自分にも憧れる思いを抱かた。
真のスターであった。
石原先生の秘書と交流していたこともあり、数回お話をしたけど、とにかくキラキラと輝くオーラのまぶしさとともに、昭和のおやじに通じるデカい背中と風圧に、初対面の時は、言葉が出てこない自分がいた。
でも、ここからが石原先生のすごさ。
緊張する自分に対し、若干の皮肉っぽさと照れ隠しも含んジョークをぶっこんでくれて、場は和ませる。
自ら目線を下げて、一緒に楽しむように導く姿はすごかった。
そして、話をする際も、遊び心はあれどいつも真剣。中途半端なこと言おうものなら、学生だろうが容赦ない。
でも、あの真剣さは本当に国家を憂いていたからなのだろう。年の離れた立場で、対等に受け入れる度量の広さそして真剣に話す姿は印象深い。
後藤田正晴
カミソリ、警察官僚、名官房長官といったのが少し怖いというのが世間の印象かもしれない。
とにかく風圧がすごかった。ある用件をお伝えする際に、後藤田先生の事務所に出向いた際、あまりの風圧に直立不動で動けなかった自分がいた。
風圧と同時に怖さも感じるくらいの凄み。学生の自分には刺激が強すぎた。
しかし、自分が礼節をわきまえてご挨拶をすると、一転好々爺のような柔和な笑顔に。
今でいうギャップ萌えに瞬間でやられてしまった。
無駄のない話をしながらも、ところどころで、相手の話をきちんと聞く姿、自分の話を真剣に聞いてくれた印象もあり、感動は倍増。
次に会った際には、旧知の仲のような態度で接してくれる優しさ。
本当に忘れられない大きなおやじの姿が焼き付いている。
なんか、最近は圧倒的な風圧を感じさせるような政治家が少なくなったのかな・・・と思ったりして寂しさも感じる。