法令を守る労務が残業オーバー?IPOを目指す企業のリアルと解決策
「労務こそ法令遵守の旗振り役なのに、実際は法定残業時間ギリギリまで働いている」そんな矛盾を抱えた現場はありませんか?
特にIPOを目指す企業では、急激な業務増加や監査対応で労務担当者の負担が増えがちです。
本記事では、労務が抱えるリアルな状況を浮き彫りにし、少しでも解決に繋がるような効率化アイディアを提案します。
労務が抱える残業の実態
「法令遵守を守る立場なのに、なぜ残業が増えるのか?」
急な監査対応や資料作成で予想外のタスク発生
急なくせに優先度高対応が求められて他の業務が後回し
ルーティン業務が滞って残業確定
IPO準備や定期監査の過程では、社内外の関係者から予想外の資料請求や確認事項が発生します。(それほんとに必要?!!と何度思ったことか)
これらは即応が求められることが多く、他の業務を後回しにして対応せざるを得ません。その結果、日常のルーティン業務が遅れ、残業で補わざるを得ない状況が生じます。
(そんな時に限って社員からの問い合わせが重なったりするんですよね)
クローズドな情報を扱うが故に属人化しがち
勤怠データの手作業集計や給与計算の調整など、労務業務の多くは非常にクローズドな環境で行う必要があるため、特定の担当者に依存しやすい傾向があります。
この属人化は、急な体制変更や担当者が体調不良で休んでしまった場合などにも影響が出ます。
給与計算は経理部門との連携等があり、スケジュールを後ろ倒しにすることは非常に難しいのが現状です。
一時的にでも業務負荷がかかった際には、柔軟な対応を難しくし労務担当の負担を増大させます。
社員からの問い合わせが途切れない
社員からの問い合わせ対応が途切れない労務担当者は、福利厚生や勤怠、休暇申請などの問い合わせ対応に日々追われます。
規模が大きくない会社であれば、総務や他の業務も担っている労務担当者がざらなので、備品はどこだだの郵送物おねがいだのさらに業務に追われるのです。
同じような質問が繰り返される場合でも、FAQの整備や自動化が進んでいない環境では、対応時間がどんどん膨らみます。
IPO準備中の企業特有の事情
IPOを目指す企業では、特に労務担当者の負担が増える傾向があります。
その背景は下記にあります。
ガバナンス強化やリスク管理での業務増加
上場に向けて内部統制やリスク管理体制の強化が不可欠です。そのため、コンプライアンス関連の手続きや、これまで曖昧だったルールの明文化、運用フローの見直しなど、新たに取り組むべき業務が発生します。
(労務領域だけのリスク管理だけでなく、他部門と連携して進めることもあるので、”残業”の二文字がチラつきますね)監査法人や証券会社からの資料請求への即応
IPO準備の過程では、監査法人や証券会社からの資料請求が頻発します。過去3年分の在籍社員のデータをまとめろだの、反社誓約書をまとめて提出しろだの、内容が詳細かつ気の遠くなる量になることもしばしば。
あの資料はこのツールから抜き出して。。などと考えて試してみるだけで1日が終わります。
このように資料作成やデータの整理に多くの時間を割かなければならないのですが、この対応の迅速さが企業評価にも直結するため、労務担当者にとって極めて大きなプレッシャーとなります。(IPO準備室のような内部のお偉いさんが集結したような部門からの圧力もありますね☆)
そんなこんなで、IPO準備に追われるフェーズにある会社の労務担当者は、ルーティン業務や急な対応で毎日追われているのです。
社員に「勤怠ちゃんとつけろ!残業しすぎるな!」と言う立場である労務担当者が法令ギリギリの(もしくは超えちゃう)残業時間になってしまうのは自然な流れなのかもしれません。
解決策:効率化で「余白時間」を取り戻す
そんな流れを断ち切るべく!労務担当者が直面する膨大な業務量を減らし、法令遵守と健全な働き方を両立させるためには、業務の効率化が必要不可欠です。
効率化なんてやってきたわ!どこを効率化したらいいかわからない。
令和のこの時代に生きているあなたはとってもラッキーです。
だって身近に優秀なAIが沢山あるんですよ?
かくいう私は、人生一猛烈に忙しかった時期にAIとは出会えていませんでした。厳密にはAIは存在していましたが、自分が使おう・使えるなんてこれっぽっちも思っていなかったのです。
1年前の常識は今の非常識 と言えるぐらいAIの進歩は凄まじいです。世のAI発信者だって 焦るほどのスピードらしいですよ。
そんな進歩を遂げるAI、とりあえず使ってみましょう!話はそれからです。私自身があの時こうやってればよかったな。と思うような具体的な解決アプローチをいくつか提案します!
1. 業務の棚卸しと優先順位の見極め
まず取り組むべきは、現在の業務を全て洗い出しそれぞれの重要度や効率性を評価することです。
洗い出すポイント
毎日、毎週、毎月行っているルーティン業務(例:残業時間のチェック)
手作業で行っている業務やルーティンワーク(例:勤怠データの加工)
社員対応など、発生頻度の高いタスク(例:よく受ける問い合わせ)
見極めるべき優先順位
業務の中で「時間がかかる割に成果が少ない」ものをリストアップ
自動化や外部委託で解消できる業務を選定
2. AIやツールの活用
効率化の鍵となるのが、AIや自動化ツールを効果的に活用することです。
会社のルールや文化によって、すべてをすぐには実践できないかもしれません。それでも大丈夫。1つずつやっていけばいいですよ!
FAQ対応の自動化
社員からのよくある質問(例:休暇申請方法、勤怠修正の手続き)
に対して、Slackやチャットボット等を活用して自動応答を設定導入のメリット:社員対応の時間を削減し、対応の正確性を向上
勤怠データの自動集計
勤怠管理ツール(例:HRMOS勤怠、ジョブカン、King of Timeなど)を活用し、残業時間や有給残日数を自動で計算。勤怠データと給与計算を連携するAPIを利用
導入のメリット:手作業をなくし、データの信頼性を向上
通知やリマインドの自動化
勤怠入力のリマインドや期限がある対応の督促などをSlackやチャットボットで自動化
導入のメリット:対応期限の管理やリマインドの手間から解放
3. IPO準備中の優先度を見極める
IPO準備中の企業では、通常の労務業務に加、監査法人や証券会社からの要求が増えます。業務の優先順位をつけ、少し手間でも未来の自分が楽をするために必要な体制を整えることが重要です。
資料のデジタル化
過去のデータや契約書をデジタル化し、すぐに検索・提供できる仕組みを構築
タスク管理の効率化
Notionなどのプロジェクト管理ツールを活用し、監査対応タスクを見える化
4. 労務担当者自身が法令遵守を実現するために
労務担当者が健康的で法令遵守を守る働き方を実現するためには、
「非効率な業務」を続けない意識改革も必要です。
どんなに優秀なAIやツールがあっても、それを使ってどう効率化するかという効率化思考がなければ意味を成しません。
「昔ながらのやり方」を見直す
慣例的に続けている作業(例:紙ベースの管理)を効率化する勇気を持つ
本当に必要な業務なのか、作業に無駄はないか見直す
必要なら外部のコンサルやツールベンダーを活用して、第三者の視点を取り入れる
効率化で得た時間を「余白時間」に変える
生まれた余裕を活用し、自分のスキルアップやリフレッシュに投資例:新たな資格取得や、趣味・家族時間の充実
労務業務を効率化し、「余白時間」をつくることは、単に労務担当者の働き方を改善するだけでなく、会社全体の成長にもつながります。
次回は、具体的なAIの活用例を詳しく紹介します。
効率化によってあなたの余白時間をつくるヒントをお届けします!