定食屋にて
2時間の残業を終えた私は、週に一度は訪れるいつもの定食屋に入った。金曜日の夜8時ということもあってか、席に着くのに20分ほど待った。
カウンターのはじの席に着くと、左どなりにはドレッドヘアにオレンジのジャンパーを来た男が座っていた。
奇抜な男であるが、私の気を引いたのは違った。
ドレッドヘアーの男の左どなりに横並びに座るカップルである。
気にかかったのは、その話し方である。
妙に子供っぽい話し方をするのである。
2人とも、である。
体感では、中学3年生くらいである。
昔の自分ならば「バカップルだ。」などと一蹴して終わりだったのだろう。今日は違った。
「あたしってほんと責任感強いと思う。責任感強いと思う?」
「え、そう思う。でも肩の力入れすぎん方がいいよ。」
そういった会話を交わしているのを聞き、私はひどくいじらしい気持ちになったのである。この世界の片隅に生きる者同士、彼らなりに支え合って生きているのが感じられた。
バカ同士でとなじって上に立った気になったところで、私は独りなのである。そこに気づけたことで、私はまた1つ成長したのだ。
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