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【河村たかし政治塾】減税日本の減税政策にツッコミを入れながら図解してみる【減税日本・日本保守党】
減税日本の支持者であっても、おそらく99%の人がスルーしてしまうであろう減税日本の減税政策Q&A(公式HP)にツッコミを入れてみます。
自分でシコシコ資料を作って解説するよりも、誰かの資料をパクって引用しながら解説する方が楽だし、意外と面白いかも?自分の学習にもなるしな・・・という思い付き企画です。
僕も古株の河村たかし政治塾生(2012年第1期&2025年第5期)なのに、今日初めてちゃんと減税日本の政策Q&Aを読みました(笑)
よほど真面目な人じゃないといちいち細かい文字なんて読みません!なるべくエンタメ化してお届けできるように頑張ってみます。
結構な分量があるので、今回はメインディッシュの減税政策のパートのみを扱います。以下、減税日本の政策Q&A(公式HP)からの引用です。
減税日本の目指すところ・理念
Q.減税日本は何を目指しているのですか。
A.減税日本は、地域に暮らす庶民がいきいきと暮らせる国づくりを目指し、常に庶民の側に立った政治を目指します。日本伝統の「「お上・下々」の政治か、庶民のための政治か。その最大の対立軸は「税のあり方」です。まずはお上の権力基盤たる税を減らすことが庶民革命への第一歩です。国でも地方でも減税によって行財政改革を強制的に推進することでムダが省かれます。このままでは日本が破綻するかのごとく国民をあおり、増税が着々と行われようとしている今こそ、減税勢力の結集が必要なのです。
また、国税を地方に分配することで中央集権を維持してきたのが我が国の税制を改め、地域のことは地域で決めるため、地方への税源移譲も不可欠です。
Q.減税日本の基本政策は何ですか。
A.最大の政策はなんと言っても減税です。各種減税を実現することにより、徹底した行財政改革や制度の見直しを推し進めます。同時に、税金で生活している議員、役人のあり方も見直します。
また時代に合わなくなった中央集権体制を地域主権に改め、国の組織を大胆に縮小することや税源の地方移譲によって、日本最大の非効率・無駄である中央集権を取り除きます。国・県・市町村という三階建て行政制度も抜本的に見直すべき時期にきています。
減税について
Q.減税日本はなぜ減税を主張するのですか。
A.税金を払っている庶民の暮らしは苦しくて、税金で食べている方(官僚、役人、議員等の高給公務員)が極楽の社会を変えなければいけない、というのが基本的な考えです。税率が高いとその傾向が強くなると考えています。徴税権は国家権力の最たるものであり、これを適正に抑制することは官僚・役人の暴走を食い止めることにもつながります。
また経済学的にも、デフレ不況下においては増税や財政再建ではなく、減税や財政出動などの景気刺激策が必要です。
行財政改革の手段としても、強制的に役所に入るカネを減らす減税は有効です。役所はいわば独占企業なので競争がなく、コスト意識もゆるみがちです。それをチェックするはずの議員も、後述のように税金による高額報酬や手当の存在により次の選挙の当選が第一目的になりがちです。
名古屋では2010年度の市民税10%減税により161億円の税収減となりましたが、これは予算のわずか1%程度です。1%の経費削減もできないようでは民間では生き残れません。
さらに、減税によって手元に残ったお金なら社会のために寄付をしよう、という方が増えることも期待しています。補助金による行政は固定的なメニューになりがちですが、寄付は自由度が高いのでNPOや市民活動、コミュニティビジネスの育成などが寄付金で後押しされるようになれば、市民中心の新しいまちづくりの可能性が開けてくると考えています。
Q.税金は無い方が良いと考えているのですか。
A.そうではありません。税金は、国民みんなで防災や治安、社会保障などを支える費用を分担しあう性格を有しています。減税日本はこの大切な税金を、減税という手法で、できる限り効率的に有効に活用させようとしているのです。
Q.そもそも減税政策とはどういうものですか。
A.一般的に減税政策には以下のいくつかの観点があります。
①経済政策として
減税により民間部門の可処分所得が増え、それにより消費マインドが向上し経済が活性化するという考えです。減税政策には即効性という利点があり、米国では共和党も民主党も経済状況に応じて適宜減税政策を行っています。高税率で知られるスウェーデンでもリーマンショック後減税を行っています。
②プライスキャップ(料金上限規制)による行革の推進として
収入の上限を決めることによりその範囲で行政活動を行わざるを得ないようにして経営改善を行い、無駄を削減するという考え方。
③小さな政府論として
小さな政府とは政府・行政の規模・権限を可能な限り小さくしようとする思想または政策です。アダム・スミス以来の伝統的な自由主義に立しており、政府の市場への介入を最小限にし、個人の自己責任を重視します。行政が税金を徴収して支出するよりも市民が直接支出する方が合理的で、役人には庶民の本当に欲しいものは分からない、という立場です。ただ減税日本としてはやみくもに小さな政府を目指すのではなく、「小さな政府、大きな公共サービス」を目指しています。また公共投資の持つ経済学的効果も認めています。
Q.日本の借金は国と地方合計で1000兆円と巨大なのに減税などして日本は破綻しませんか。
A.国債や地方債を民間における借金と同一視するのは間違っています。国債は95%が日本国内で買われており、国外の購入が多いギリシャとは違います。経常収支の長年による黒字で、日本全体のバランスシートは大幅な黒字です。国が破綻(国債がデフォルト)するのはその国の資産を全部つぎ込んでも対外債務を返済できない時のみです。超黒字の日本は破綻しようがありません。
お金は使っても消えて無くならないので、無駄遣いは良く無いにしろ国債も地方債もそのまま民間へ再投資され、誰かの貯金となるまで世の中を回り続けます。つまり、おおざっぱに言えば1000兆円の国債・地方債はそのまま1500兆円にも上る国民の貯蓄や法人の内部留保になっているのです。
また、バブル崩壊後には民間も法人も借り入れ(投資)を大きく減らし、逆に過去の借り入れの返済を進めました。このように、貯蓄が増大し、借り入れ(投資)が少ない場合、経済はバランスを崩します。多少のアンバランスであれば調整局面として自然に回復しますが、バブル崩壊のように極端にバランスが崩れた場合に「最後の借り手」である政府部門がそれを国債等で吸収して公共投資などで需要を作り出さないと、恐慌に陥る危険があります。
地方債については国債と違って当該自治体外の購入が多い場合放漫経営を続けると夕張のように破綻もあり得ますが、減税による行財政改革によって無駄遣いを無くせば、そのようなことにはなりません。また地方債も日本全体でみれば国内問題で、対外債務に比べれば深刻さは極めて少ないと言えます。
Q.国債残は増える一方ですが、このまま無限に増えても良いのですか。
A.国債残高はいずれ下げていく必要があります。ただし、それはデフレ不況下ではありません。
日本はバブル崩壊以降、財政出動で景気が回復に向かった時期と、増税や緊縮財政による景気悪化を繰り返してきました。本来であれば十分に景気が回復し、民間主導による持続的成長を達成した後に財政再建を目指すべきところ、早急すぎたためまた不況に逆戻りしてしまいました。その結果、肝心な財政再建も果たせなくなる、というパターンを繰り返してきたのです。また、財政出動の内容についても好況を呼び込むための生産性を高める投資ではなく、利用率の低い地方の高速道路などいわゆるバラマキであったことも景気の回復を遅らせた一因です。
不況脱出への正しい手順は以下の通りと考えます。
①不況時には減税や公共投資で景気を下支えする。ただし公共投資は生産性を高め、経済成長に資する分野を重視する。
②好況に転じても十分に景気が回復するまでは性急に方針転換しない。
③民間の持続的成長が確保されたら、徐々に公共投資を減らし、予算を縮小する。
④税収は自然増となり、国債残も減らすことができる。
肝心なことは②であり、過去何度も景気回復の時期の見定めが早すぎ、③を急ぎすぎたため再び不況に逆戻りしてきました。その度に無駄に公的債務が積み上がってしまいました。
Q.プライマリーバランスを目指す考えはありませんか。
A.プライマリーバランスはいずれ達成させなければなりませんが、現在のようなデフレ不況下において増税や緊縮財政などの財政再建政策はさらに景気を悪化させるだけで、逆効果です。今必要なことは減税や財政支出によりデフレギャップを解消し、景気の回復を目指すことです。
プライマリーバランスを目指すのはその結果としてデフレを脱却し、十分に好景気になった後です。
Q.かつてのレーガノミックス(米レーガン大統領の経済政策。大幅減税と軍事費増強など実施。1980年代)のように巨額の財政赤字を生むことになりませんか。
A.レーガンノミックスはスタグフレーション化で行われており、現在の日本(デフレ不況)とは根本的に環境が異なります。またレーガン減税が減税幅約30%で経済浮揚と貯蓄=投資の増大が主目的だったのに対し、減税日本の主張は行政スリム化が主目的です。さらにレーガン時代は軍事費の大幅増という赤字要因がありましたが、日本ではそのようなことはありません。
Q.日本の財政は国債、地方債への依存度が高まっていますが、減税分をそれらの返済に充てたほうが良いのではないですか。
A.減税を宣言するからこそ行政がスリム化できるのです。減税の原資が最初からあったかのようにみなして『返済に使え』というのは絶対に無理です。またこの景気が厳しい時こそ、景気対策として減税で民間に資金を還流させることが重要です。
Q.財政が厳しい現状で地方自治体が減税すると借金(地方債)が増える一方では。
A.地方自治体が起債によって減税することは禁止されていますので、減税で借金が増えるということはありません。現に名古屋では、2010年度の減税161億円分は全て行財政改革(185億円)でまかなっています。今後も同様に減税を起債で行うことは制度上ありえません。また、財政力指数が低い自治体は人件費が高かったり無駄遣いが多かったりするところが多いので、その場合むしろ減税の余地が大きいと考えます。
Q.(地方税の)一律減税は金持ち優遇との批判があります。低所得者に重点的に減税できないのですか。
A.地方税は単一税率(県4%、市6%)と国が定めており、これを累進性に変えると法律違反になる恐れがあり現状では一律減税しか選択肢がありません。そもそも、元々累進課税であった地方税を単一税に変えた当時の自民党政権こそが金持ち優遇と言うべきです。また減税は納税者への最大の感謝であるとの理念から、元々の納税額が多い方の減税額が多くなることもある程度は許容されるべきと考えます。
Q.減税すると福祉や教育などの市民サービスが低下しませんか。
A.減税の原資は全て行政改革でまかなうので、そのようなことはありません。むしろ無駄遣いが削減されて役人の意識が向上し、ひいては行政サービス全体の向上につながると考えます。
Q.でも実際に名古屋では減税後市債残高が増えていますが、減税のせいではないですか。
A.名古屋で市債残高が増えているのは減税の財源が必要だからではありません。減税の財源は人件費削減など行政改革にて全額まかなっています。市債残が増えているのは金融危機以降税収が落ち込む一方、生活保護等の福祉予算の増大、子ども手当の地方負担分等があったためです。
Q.地方交付税交付金を国からもらっている自治体が減税を行うのはおかしくないですか。借金を国や他府県につけ回しているのではないですか。
A.地方交付税交付金とは担税力の強い地域から国税として徴集した税金を担税力の弱い地域に分配する仕組みです。名古屋市内からは国税として約1兆5000億上納しており、交付金はその一部が戻ってきただけで、国に恵んでもらった訳ではありません。いわば交付金ではなく還付金です。全くもって借金を国につけ回すなどということはしていません。なお、同じ事が県内の市町村間でも行われます。名古屋市内からは県税として愛知県にも5000億上納しています。
Q.名古屋市は富裕団体。名古屋市にできても、全国では減税できない地方団体が大半ではないですか。
A.民間の企業は、“乾いたタオル”を絞って経営の効率化に努力しています。民間の企業に比べれば国や自治体は“ずぶずぶの濡れたタオル”のようにムダや非効率があるといわれています。富裕団体であろうと困窮団体であろうとそれは共通です。
Q.名古屋市は減税で人・モノを呼び込むと言っていますが、それは近隣窮乏化政策ではありませんか。
A.あるスーパーが安売りをした時に、「近隣のスーパーが困るではないか」といって文句を言う人がいるでしょうか。
民間と同じように自治体間でも競争が起こることにより安くて良いサービスが生まれます。独占企業には良いモノやサービスが生み出せないことは旧共産圏で実証済みです。総務省が地方自治体の減税を認めた背景にも、地方同士を競わせようとする意図がありました。
行政間で競争が生まれることにより緊張感が生じ、良質で安価な行政サービスを目指すようになります。その結果良い行政サービスを安く提供(減税)できたところには市民が集まり、結果として行政の効率がいい「コンパクトシティ」化の推進にもつながります。
Q.名古屋市の5%減税について「実感が無い」という意見があります。
A.減税や公共事業といった経済対策は、その額に応じて経済効果は必ず生じます。ただし「経済効果」を直ちに多くの人が「実感」することは難しいものです。
名古屋の市民税減税5%、年間約100億円という額は、一回あたり、市民一人あたりでは確かに実感としては驚く程の実感を与えることは無いかも知れませんが、積み重ねることによって確実に効果が生じます。
また現在は三割自治と言われるほど地方自治体の自主財源は限定されていますが、これが地方分権により改善されれば、より大幅な減税が可能となり、実感も増すことが期待できます。
Q.三割自治といっても、名古屋市は自主財源比率が高く、三割自治とは言えないのでは。
A.確かに名古屋市の自主財源比率は全国トップクラスです。ただ、三割自治というのは自治体財政を総合して指摘した言葉であり、個別の自治体の自主財源比率が三割に該当するか否かは問題ではありません。現在の税制では国が地方交付税等により地方を牛耳っている状態であり、そのことこそが問題なのです。
また名古屋の自主財源比率が高いというのも、一見自立して良さそうに見えますが、実際には国に取られっぱなしの状態です。 H20年度では名古屋市域で徴集された国税1兆6千億円のうち、わずか3%、1千億円しか名古屋市に戻ってきていません。残り1兆5千億円は国税として徴集され、一部は外交や防衛といった本来の国の行政のために使われますが、その他日本全国の自治体へ分配されています。
Q.税の再分配機能を否定しているのですか。
A.そうではありません。再分配機能は日本の風土やコミュニティを守るのに欠かせないと考えています。
アメリカには連邦政府による各州間の財政調整制度はありませんが、仮に日本でそれと同じ事、つまり地方交付税制度をやめて、各県の完全独立採算型にしたら、恐らく大半の県は成り立っていかれないでしょう。
ただし、です。
現在の地方交付税制度のままでいいのでしょうか。
戦後70年が経とうとしていますが、地方を取り巻く環境はめまぐるしく変化してきました。超高齢化、山村の限界集落化、グローバル都市間競争や産業空洞化など、交付税制度創設時には想定できなかった事態が多数発生しており、交付税制度も疲労を起こし、マイナス面が目立ってきています。
交付税制度の早急はる抜本的見直しと新たな財源調整機能の創設が不可欠と考えます。
Q.行革で生み出した額を減税すると、乗数効果の観点から経済にマイナス効果では。
A.経済は生き物であり、景気は将来への期待や消費マインドに大きく依存しています。減税には消費マインドを向上させる効果があり、それが経済的にプラス効果をもたらすことが期待できます。
乗数効果の元となる消費性向はあくまで結果の数値であり、所与のものとしてとらえるのは間違いです。消費性向は100%にはなり得ないので、どんどん増税して行政が支出に回す方が一見景気にプラス効果をもたらすように見えます。実際、そのような論を菅直人政権時にブレーンである小野善康阪大教授が提唱して、それが民主党増税路線のきっかけとなりましたが、現実には97年の消費増税時に顕著に見られるように、デフレ下での増税は消費および消費マインドを大きく冷やし、税率があがったのに税収は減ってしまうという惨憺たる結果を招きました。経済政策で大事なことは人々の期待やマインドに働きかけることです。これから名古屋では減税が継続、拡大する、と宣言することが大事です。
また名古屋市民税減税の財源のひとつに市役所職員給与減がありますが、市役所職員は約4割が市外在住のため、市民税減税は名古屋市外から名古屋市内への所得移転という側面もあり、名古屋市域の経済への好影響が期待できます。
Q.現在の減税は、将来割引価値でみて同額の増税が必要なのでは。ひいては消費者マインドは向上しないのでは。
A.公債を発行して行った場合はそうなりますが、行革等を財源とした場合はそうではありまえせん。
減税の先に増税が待っていると広く認識されればマインドは好転しませんが、行革や、市域への人口集中の結果による税収増を原資とした減税であればマインドに好影響を与えることは十分期待できます。また、減税によりさらなる市域への人口集中が進み、それがさらなる減税原資を生むという好循環も期待できます。こうして、強制的にではなく、市民の選択の結果としてコンパクトシティができあがることが理想だと考えています。市民税減税はその大きなインセンティブになると期待しています。