河村たかしの選挙戦術分析「スポットライト理論」【減税日本・日本保守党】
河村たかしの集客力は候補者にとってプラスになるのか?
2013年の参議院選挙(愛知県全域が選挙区)において、河村たかしさんの選挙戦術を選挙ボランティアとして密着取材?したので、その際の体験に基づいてお話していきます。
河村たかしさんの知名度は抜群で、名古屋出身の有名人って他に誰かいたっけ?というレベルで、政治うんぬん抜きにして有名人です。
そのため、河村さんの声や存在それ自体に抜群の集客力があり、都内で有名な政治家の街宣活動を観察したことがありますが、それと比較しても河村さんには日本トップレベルの集客力があると思います。
しかし、良くも悪くも河村さんは「キャラ」が立ちすぎているため、選挙に行かなさそうな層まで「有名人と絡みたい」という動機で集まってきてしまう等、下手をすると候補者が存在感0のモブキャラとして埋没してしまうというマイナス面がかなりあると感じました。
候補者が投票に値するか否かを見定めるという有権者の視点からは、
と認定されてしまうのはかなり痛い。
いかなる現象も、プラスマイナスの両面を見出せるので、「河村たかし」という名古屋が生んだ知名度抜群のゆるキャラを、
どのようにすれば候補者が選挙活動においてプラスの方向に活用できるのか?
そんな視点で各項目を分析していきます。
戦車(街宣車)の録音テープ
一般的にウグイス嬢と呼ばれる戦車(街宣車)からの拡声器越しの声ですが、参議院選挙のときは河村さんの声を収録した録音テープを回しました。
プロレスの宣伝活動のようなトーンでガンガン拡声するので、他の競合候補者が似たり寄ったりのスタイルで攻めてくる中でかなりの独自の優位性を確立できていると思います。他の陣営にはなかなか真似できないスタイル。
候補者本人が自分の声で同じノリでやれれば楽しそうですが、キャラを無理に作ってしまうと逆効果というかしんどくなるので、河村さんの声を使うか否かは本人のキャラ次第でしょう。
街頭演説
2013年時点では政治テロも珍しかったので、街宣カーの上から演説するおなじみのスタイルではなく、道行く有権者と同じ目線で、地べたに立って街宣を行う街頭演説スタイルでした。
演説・・・というより、集まってきたJKたちに「悪い男に引っかかったらあかんで」といじって、周りの聴衆も盛り上がるという、居酒屋談義的な空気感で演説を進めていくので、かなりリラックスした雰囲気があたりに漂い、これも独特なスタイルだと感じます。
他の人が簡単に真似できるかというと、これはかなりの「人間力」が求められますが、どうしても政治家の街頭演説というのは似たり寄ったり(特に共産党系の演説はコピペかと思うような同じスタイル)になりがちなので、小難しい政策を偉そうにツラツラまくしたてるのではなく、場の雰囲気を上手に作っていく、そんな場づくり力が試されそうです。
もっとも河村さんにマイクを渡すと、エンドレスにマイクを離さない傾向があるので、候補者は積極的にマイクを奪って、河村さんには最初の集客担当に徹してもらうのもアリのような気がします。
集客力はあるけど、スポットライトを持って行ってしまう
さて、今回のメインテーマである「スポットライト理論」を発見したのは、とあるホールでの演説会(&歌もあり)でした。
舞台には主役を照らすためのスポットライトが人間が1人ちょうど収まる大きさで照らされています。
候補者がちゃんと気づいて自分の身体を持っていくのかな?それともやはり河村さんが持っていくのかな?ひょっとしたら候補者に譲るかもしれない?
そんな脳内予測をしていたら、あっという間に河村さんが持っていきました(笑)
選挙ボランティアを始めてすぐに、河村さんは選挙の実を食べて選挙モンスターになってステータスを戦術に全振りした代償として、戦略面では大日本帝国陸海軍レベルになってしまっていることに気づきました。政治家としての本能が強過ぎて肝心の候補者にスポットライトを当てる配慮はできないようです。
2024年の名古屋市長選挙になって初めて、自分自身は別の劇場(国政)に異動するので、後継指名した広沢一郎さんにスポットライトが自然と譲られる形になりましたが、2022年の参議院選挙の様子をYouTubeで見る限り、その本能は相変わらずのようです(笑)
候補者たるものスポットライトを奪う気概で奮戦すべし?
人間凸凹というか、持っているトータルのポイントは人によってさほど変わらず、ある特定の能力にポイントを全振りしてしまうと、他の能力はダメダメになってしまうというのは、エジソンやアインシュタインの伝記を読むと良く分かります。
河村さんのところで選挙に出る候補者は、河村さんには劇場にお客さんを集める集客力は全国トップレベルにあるので心強い・・・が、スポットライトを自分に当ててしまう罪深い本能を制御できる人ではないので、候補者自らが無礼にならないレベルで肘で上手につつきながら、スポットライトを奪うくらいの気概を見せないと、観客からは
と認定されてしまうので、そのあたり上手に調整した方がよいでしょう。
この「スポットライト理論」は、有権者の限られた意識エネルギーを上手に頂くという、ビジネス用語の文脈での「マインドシェアを奪う」という考え方にも共通します。
スポットライトを上手に操作できるようになったら、自分だけではなくチームとして上手に戦えるレベルになるのでしょう。