音楽雑誌「FOOL'S MATE」で、HIDEについて考える。
今年の「hide birthday party2024」には参加できなかった。
チケットが気づいたら売り切れていて…。
なので、前回のnoteに書いた、同じ日に開催されている「氣志團」と「柳家睦」の野音に行ってきたのだ。
俺は根っからの優柔不断人間だから、行くか行かないかで結構迷うタイプ。
んで、そこでウダウダやっている内に気づいたら売り切れ…。
まったくなにやってんだか(でも野音のライヴ、楽しかったけどね)。
「光陰矢の如し」
とは、よく言うが、今回の記事で取り上げる「HIDE」は、正しくその象徴に思える。
89年に「X」でデビューし、93年にソロ活動を開始して、98年5月2日に突然この世を去ってしまった。
ソロ活動期間は5年に満たない。
そんなジミ・ヘンドリックスばりに短い活動期間の中で、いまも新規のファンを増やし続けるHIDEとはなんだったのか…と、音楽雑誌「FOOL'S MATE」で考えたい。
考えたい…とは書いたものの、HIDEの魅力なんて一言でズバッと書けてしまう。
とにかく「カッコいい」。
この一言に、すべて凝縮されている。
そもそも「ROCK」なんて、いかに聴衆に(カッコいい)と思わせるかが勝負だ、とすら思う。
西武池袋で開催された「hideって誰?」展に俺は行ったのだが、そこで俺が真っ先に思わされたことが、
(うっわ…スッゲェ、カッコいい…)
という、語彙力崩壊したような、感動だった。
hideにはそう思わせる要素しか見当たらない。
音楽、演奏、ルックス、ギター、服も私物も、なにからなにまで(カッコいい)と思わせるものを持っている(それは、お前がHIDEのファンだから思うんだろ、と言われればそれまでだが…)。
だが、発言を読む限り、彼の素顔は、そんな受け手のシンプルな感情では解明できないほど「深淵さ」を感じる(なんて書いたら「お前は分かってねぇーなァ、俺はそんな深く考えてねぇーよ」とhideから怒られるだろうか)。
表紙のHIDEの写真は、L.A.のスーパーで撮られたものだが、アメリカという国は「許可」さえ取れれば「何をしてもいいんだ」と、HIDEは言う。
事前に「お店燃やしちゃいますよ?」と言っても、許可さえ取れれば良いらしいから、ある意味自由さは日本の比ではない(逆に許可取らずにやると、とんでもない罰則金支払うことになるそうだが…)。
HIDEはこの当時、カレンダー制作もしていたが、その写真撮影もL.A.で行われた。
なんと、そのカレンダー、日めくりらしく、カレンダー業者は驚いていたようだ。
「なんか表紙があって、12枚、一月分あるっていうのはやめようと思った」とHIDEは言っている。
正直、今でも芸能人の日めくりカレンダーって珍しいと思うが(もちろん、あるけどね)、この95年当時(インタビューは95年に行われた)、バンドマンでそのスタイルは異例ではないだろうか。
いまのバンドの物販でも、カレンダーは月めくりどころか、一枚大きめのポスターに1月から12月まとめて表記されているカレンダーもある。
(もうそれ、カレンダーっていうかポスターじゃん…)
と、俺なんかは思ってしまうが。
HIDEのこの「こだわりよう」は今(2024年)の目線でも、珍しい。
「HIDEは、ヴィジュアルとかキャラクターとか色とか、色んな要素の確固たるイメージもあらかじめ持ってやっている感じがするんですよ」
というインタビュアーの質問に、HIDEはこう応える。
「でも、意外とあんまり考えてないからね。(中略)絵にしてもデッサンにしても、やっぱりレコードジャケットとか、それにまつわるもの(恐らくROCKを感じるか、という意味)じゃなければ俺には入ってこないし、本でも何でも、やっばりそういうものを感じないと、俺は入っていけないからね」
インタビュアー「それは、いわゆるロック的なものを感じないと、ということ?」
HIDE「そうですね。なんだか分からないけど…うん。相変わらず分からん」
HIDEは自分が良いと思うものに関して、あまり分析をしたがらない。
活字を読むのは好きなHIDEだが、自分が夢中になれるものに対しての分析は敢えてやらない
上記の言葉でも分かるが、HIDEは「写真集」などはあるが「俺のロック論」みたいな本は出していない。
(なんで、カッコいいと思うか)なんてことを分析している本もあるが、HIDEは「そこは知らなくていい」と言う。
「だって楽しいことがすべてだから」
この一言に、HIDEの音楽観が凝縮されている気がする。
昨今、YouTubeの氾濫で「伝説のギタリスト○○のフレーズ解説」とか「〇〇さんの奏法のココがスゴイ!」など、やたら分析する動画があるが、HIDEはあんなの観たらどう思うんだろう…。
「考えすぎだよ」
と、笑いながら、言うだろうか。
このインタビューで、とりわけ印象に残ったのが、最後の部分。
いかにオモチャ箱をひっくり返したような「遊び」の要素を持ったまま、音楽を作り続けられるか…
そこで「好きなことやってるから良いでしょ」ではなく、当然チャートを意識した上で「遊ぶ」。
また、いつか訪れるであろう、ファンとの年齢差に関しても言及している。
「今の若い子たちの間では、こういうの流行ってるんだ」などと、変に流行りの要素を入れるのだけは「ぜったいイヤだ」と言い切る。
(こういう若者文化に取り入るオッサン、今でもいるよな…)と、思ったが、HIDEは
「そんなことするくらいなら、音楽を辞める」
とまで言い切っている。
「KISS」や「JAPAN」に夢中になった10代の頃の感覚を大切にし続け、「俺がカッコいいと思ったことをやる」という「徹底感覚派」のHIDE。
俺なんか色々考え込んで(なんでこんなにカッコいいのかな…。〇〇だから、良いと思うのかな)など、グダグダ頭の中で分析するタイプだ。
だが繰り返すが「hideって誰?」展では、そんな「御託」はすっ飛んでしまった。
(すげぇ、カッコいい!)
一瞬で、そう思ったし、
参加した「hide birthday party2023」で流れるHIDEのMVを観ているときも同様に
(やっぱ、スゲェ、カッコいいなぁ〜…)
と思いながら観ていたものだ。
「なに細けェこと考えてんだよ、んなこたァいいから楽しめッ!」
と、それぞれの会場で、hideから言われた気がした。
HIDEを通して、あまり深く考えすぎず、その瞬間、瞬間の気持ちを大切にして生きてゆければな、と思うようになった。
この記事はこれで終わりです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。