「くにまる音楽祭 in 江戸川」(1月25日)に行ってきた。
1月25日㈯。
「江戸川区総合文化センター」にて開催された「くにまる音楽祭」という音楽イベントに行ってきた。
ラインナップは以下の通り。
……錚々たる面子である。
「80‘sアイドルファン」の俺は「菊池桃子」「荻野目洋子」を目当てにチケットを買った。
あとでHPを見て気づいたのだが、歌手を支えるバンド・メンバーの中にドラマー「川口千里」がいて、嬉しく思った。実は、彼女の演奏を生で観たいと思っていたので(おぉ、ちょうどよかった)と思ったのだ。
会場は新小岩駅(葛飾区)から徒歩15分ほどの所にある。
なので、アクセル良好かと言われると、すこし微妙だが、俺は歩くことが好きなので苦にはならない。
施設は葛飾区と江戸川区の境目辺りにある感じだ。
(やっと桃子や荻野目洋子の姿を観られるな)
と、思いながら、会場内に足を踏み入れた。
施設内は重厚な造りで、居心地は良かった。
同日に別ホールで他のコンサートを開催していたようで、トロンボーンを持った女性がいた。
少し早めに着いたので、別棟にある小学生の習字の展示スペースを軽く眺めて、時間を潰した。
(ふむ、小学生で、もうこんなに上手いのは凄いな・・・)
と、思わされた。
さて、時間が近づいてきたので、ホールに入った。
俺は13列目という、多分、良い方の席だった。
開演時間になると幕が上がり、バンドの演奏が始まる。
司会進行役の野村邦丸氏と坂口愛実氏の両名が舞台袖から現れ、軽快なトークで「くにまる音楽祭」の開催が告げられた。
坂口愛実氏の案内で、トップバッターを務めたのは「秋川雅史」。
「千の風になって」で著名なテノール歌手だ。
しかし、この方、序盤からとんでもない歌声を聴かせるものだから、正直、驚愕した。
(す、すごい・・・)
聴いていて、その圧倒的な歌声に、心よりも先に身体が反応してしまい、ブルブル・・・と武者震いするほどだった。
クラシックの声楽家の方たちは、たまにコンサートで聴くと、その桁外れの歌唱にいつも(なんなんだ、コレは・・・)と、思わされてしまう。
「秋川雅史」の歌声は、それのみで(アカペラで)成立するほど、完成されたものだと感じた。
代表曲である「千の風になって」も素晴らしかった(というか、全曲素晴らしかったのだが)。
「千の風になって」は、歌詞も良い。
なんとも言えない嫋やかで、包み込まれるような優しさがある。
それでいて微量な憐憫の情や寂寥感、慈しみや切なさも感じられる。
まるで一風の風のように、感じられはするが、存在はしない・・・そんな儚さや愛を感じられる詩ではないだろうか。
この詩と「秋川雅史」の驚異的な歌唱が合わさり、料理とワインでいうところの「マリアージュ」が完成するのである。
(のっけから、とんでもない人をぶち込んできたな・・・)
(この人がトップバッターだと、次以降の歌手は勝てないのでは・・・)
と思ってしまった。
余談だが、事実、その通りになった。
「秋川雅史」歌声は超絶的でも、MⅭをすれば至って普通の人。
すこし笑いをとったりして、トークでも会場を沸かせる術を心得ていた。
今回は合同でのコンサートだからマイクを使っているが、ソロ・コンサートでは、マイク無しで歌唱する、と仰っていた。
(だろうな)
と、思った。
声量がとんでもないので、最後尾の人にも歌声がなんなく届くだろうと、シロートの俺でも分かる。
ほかには趣味で「木彫り」の彫刻をしているという話しも聞けた。
なんと楽屋でもやっているとか・・・。
「六十の手習い」ならぬ「四十の手習い」で始めたらしいが、展示会に出して賞を受賞した、と仰っていたので、彫刻でも才能を発揮しているようだ。
それにしても歌声が凄すぎた。
素晴らしかったので、公演後にCDを買うほど、良かった。
さて、お次は「菊池桃子」。
「80年代アイドル」を代表すると言っても過言ではない「昭和を代表するスーパーアイドル」だ。
タータンチェック&ターコイズブルーの足元まである衣装に黒のパンツ、黒いブーツ姿のオシャレな姿で現れた「菊池桃子」。
デビュー曲である「青春のいじわる」を歌唱する「菊池桃子」。
この人はデビューした時から今に至るまで一貫して「ウィスパーヴォイス(囁くような歌い方)」が特徴だ。
それが彼女の個性なのだが、コンサートだと声量に不足を感じてしまうのも事実。
それは、この日のコンサートでも感じられた。
なにせ、前の歌手があの「秋川雅史」だ、その「差」は、歴然としていた。
しかし、個人的にそんなことはどうでもよく(笑)、目の前に
「あの菊池桃子が歌っている」
という事実だけで俺としては充分だった・・・(音楽カンケーねぇじゃねぇーか・・・笑)。
だって、あの「菊池桃子」よ?
俺としては「生きていて、歌の活動をしてくれる」それだけで充分なのです・・・(´;ω;`)
新譜からの曲「Starey sky」は、菊池桃子の作詞作曲。
この時始めて聴いたのだが、夜空をテーマにしたステキな楽曲で、こういう曲を書けるあたりが、彼女の多才さを表していたと思う。
とにかく御姿を観られて、歌声を聴けて本当に良かった。
MCでは「秋川さんの後だと、緊張してしまうけれど、40年もやっているのに緊張というのも失礼なのかもしれないけれど、私には私の良さがある、と思って歌わせていただきます」
と、仰っていた。
そう、そうなのだ。
桃子には桃子の良さがある。
いまも歌手活動してくれている、それがどれだけのことなのか、俺には想像もつかないが、少なくともラクな道ではない。
80年代、一世を風靡したアイドルの中には、いまは活動していない人だっている、亡くなった方だっている。
とにかく「生きていて、活動をしてくれてありがとう」その一言だ。
最後は「Say yes!」で観客とともにサビの「セイ、イエスッ」で一緒に振り付けをして、会場を盛り上げて終わった。
「菊池桃子」終演後、20分の休憩が入った。
休憩が終わり、バックバンドによる演奏が少しだけ披露された。
お目当ての「川口千里」はモチロンだが、バンド全体の演奏が秀逸だった。
さて、お次は「荻野目洋子」。
「菊池桃子」に続き「80年代アイドル」枠だ。
単に「80年代アイドル」というだけではなく、デビュー年が84年と同じ。
ここまでくるとほぼ同期みたいな感覚だろう。
バンドの演奏に合わせて元気よく表れた「荻野目洋子」。
赤のチェック柄のシャツに、下はTシャツ(あとで「X」で見たら「Queen」のヴォーカル「Freddie Mercury」のロックTだった)、黒いパンツにキラキラ輝く赤いシューズという出で立ち。
かなり若い印象の服装だが、普通に似合っていた。
なによりすごいスリムだった。
オープニングは自身のヒット曲「ダンシング・ヒーロー(EAT YOU UP)」
から始まった。
ノリの良いディスコ調(死語)の曲で、振り付けも交えて、元気いっぱいに魅せてくれた。
今回のラインナップの中で「荻野目洋子」が、もっともノリの良い印象だった。
軽いMⅭ。
湧く会場。
「最高~ッ」
の観客の声に、よく聞き取れなくて「え?」と聞き返す「荻野目洋子」。
「最高~ッ」
と、もう一度叫ぶお客さん。
「あ、どうも。サイコさんって言ったのかと・・・笑」
・・・みたいなことを言っていた。
「次歌う曲、私といっしょに歌えますか?」
とサビの「六本木」のところを軽く観客と練習してからの「六本木純情派」。
盛り上がる会場。
「♫Who are you…迷子たちのぉ♫」
観客「♫ろ~っぽんぎぃ♫」
「♫Who are you…遊び慣れた♫」
観客「♫ろ~っぽんぎぃ♫」
と、掛け合いも良い感じだ。
最後は「荻野目洋子」自身がエレアコを持って「もしもピアノが弾けたなら」を弾き語りしてくれた。
「荻野目洋子」は、自身のライヴでよくギターを持って弾き語りしていたので、そのことは知ってはいたが、この日観られるとは思っていなかった。
さて、ここで司会進行役の野村邦丸氏と坂口愛実氏が袖から出てきて、軽くお話しをしてくれた。
「40年やってるんだもんね、すごいよね・・・」
と言う話しの流れから
「さて、本日は同じ活動期間の方がいらっしゃいますね。お呼びいたします「菊池桃子」さんです」
という呼びかけで「菊池桃子」が現れた。
84年デビュー組(昭和59年)の二人が同じステージで立っている姿は、大げさに書くと「奇跡的」に思えた。
当時の二人の印象をお互いが語っていた。
荻野目「桃子ちゃんは、当時凄くて、同じ歌番組に出ると、一緒に映るのを遠慮しちゃう存在でした」
菊池「でも、私は当時は(こんな場所にいていいのか・・・)と、思ったりもしていました」
と、相変わらず控えめなことを言っていた。
野村邦丸氏が「プライベートの付き合いがあるんだって?」と、水を向けると、
「うん。でも、それもここ数年のことなんですよね」
と、異口同音で言う二人。
荻野目「私、ちょうど出産して、子供ができて、4年くらい自分の歌を聴かない時期があったんです。そのくらいの時に桃子ちゃんとご飯行ったり・・・」
菊池「そうそう。私も子供がいるから、そのことでね」
と、二人。
「え~、荻野目洋子と菊池桃子が一緒にご飯?どこ行ったの?」
と、野村邦丸氏。
「もう、それは、いいじゃないですか(笑) 普通のとこですよ」
と、突っ込む荻野目洋子。
ステージ上にいる4人、仲よさそうに見えるのが微笑ましかった。
「荻野目洋子」素敵だった。
前の出演者の「菊池桃子」と重複するが
「生きていて、歌を歌い続けてくれてありがとう」
という気持ちになった。
40年の長きに渡って(もちろん、休止期間もあるが)、「歌」を届け続けてくれていることは、本当に助かる。
活動してくれるから観に行けるのだ。
辞めてしまったら(観に行きたかったなァ~)という想いを抱えたまま生きてゆくことになる。
「荻野目洋子」ありがとうございました。
さて、最後は「天童よしみ」。
昨年の「紅白歌合戦」にも出演していた、日本人なら知らぬものなし、と言っても過言ではない歌手だ。
「天童よしみ」さすがの歌声だった。
しかし、個人的にそこまで興味をもっていない歌手だったこともあって、少し何となく観ている自分がいた。
自分の人生で「演歌」のコンサートを生で観たのは、恐らくこの時が初めて。
「演歌」といえば「コブシ」と「ヴィブラート」だが、
「天童よしみ」それらの技法を丁寧に歌に織り込んでいた。
「天童よしみ」が無事に終わり、バックバンドも去ってゆくと、客席からは「アンコール」の掛け声が。
その呼びかけに応える形で、本日の出演歌手全員がステージに現れ、野村邦丸氏の「みなさんもぜひ一緒に歌ってください」という呼びかけで始まったのが「坂本九」の「上を向いて歩こう」。
出演歌手、観客たちで「上を向いて歩こう」を合唱し、コンサートは無事に閉幕した。
今回の「くにまる音楽祭」、ハッキリ言って良かった。
出演歌手の出番時間はけっして長くはなかったが、そのぶんコンパクトで集中しやすかった。
俺は性格的に「ワンマン」より「フェス」向きなので、今回のイベントの趣旨は俺に合っていた。
それになにより「菊池桃子」「荻野目洋子」という二人の「昭和アイドル」を一日で観られたのは大きかった。
それにしても「秋川雅史」の歌声には、くりかえすが圧倒された。
あれほどの歌声を聴ける機会はそんなに無いと思う。
CDも買ったし、これを機に聴いていきたい。
さて、この記事はここで終わりです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
了