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作詞家Pete Sinfieldさんが亡くなった。

夜、某プログレ専門店のXを見ていたら、
「ピート・シンフィールドさんが亡くなった」
との一文を目にした。

(そうか・・・)
と、思う俺。
いくつで亡くなられたかは分からないが、高齢であることは間違いない。

プログレッシヴ・ロック界隈の方たちの訃報は、もう何人目だろうか・・・。

初期キング・クリムゾン・メンバーはグレッグ・レイク、イアン・マクドナルドが亡くなった。
後のメンバーだが、ゴードン・ハスケル、ジョン・ウェットン、ビル・リーフリンも鬼籍に入られた。

別に悲しくはない。
この世の中、不慮の事故や、病気、事件に巻き込まれて亡くなる方もいる、自ら命を絶ってしまう人だっている(プログレッシヴ・ロック界隈だとキース・エマーソンが自殺している)。
ある程度の年齢まで生きられて、亡くなったのであれば、自然なことだし、寧ろ幸せではないだろうか。

個人的にピート・シンフィールドの印象だが、
「先進的な初期キング・クリムゾンを歌詞という分野で、的確に表現した人」
というものだ。

歌詞を読んでいるだけで、情景が浮かび、トリップできる・・・。
せっかく作詞家として雇われているのだから、歌詞だけ読んでも(素晴らしい・・・)と、思わせるくらいでないと、いる意味がない。

ピート・シンフィールドの歌詞は、情感豊かで、読んでいるだけで
(クリムゾン・キングの宮殿の中にいるような・・・)
(草原の中で、ひとり佇んでいるような・・・)
そんな気持ちにさせられた。

そんな抒情性あふれる歌詞を書いてくれたピートだが、初のソロ・アルバム「STILL」は、期待外れな作品だった・・・笑

やはり、ロバート・フリップとのタッグでのケミストリーが素晴らしかった。
フリップは、ピートを解雇してから、リチャード・パーマー・ジェイムスという別の作詞家を雇って、曲を書いていたが、質感は明らかに変わった。

抒情性、幻想性ではピートのほうがあった。
別に「前の方が良かったぜ!」とか、そういうことを書きたい訳ではない。
ピート脱退後も、キング・クリムゾンは躍進し続けたし、当然だがバンドは「曲が命」なので、詩の重要性は曲ほどではない。

しかし、あの当時の英国ロック、米国ロックの「おっぺけぺー」な歌詞が多い中で、しっかりとした構成、意味合いを含んだピートの歌詞は明らかに異彩を放っていた。

いまだに「歌詞なんかどうでもいい」論調はある。

「何を言うかッ!歌詞は重要だッ!」

とは、俺は言わない。

(一理ある)とも思う。

ただ、好きで聴いている曲の歌詞を
「これはどういう意味で書いたのですか?」
と聞いて
「え?特に意味とかねぇっす!ノリでバーッと書きやしたァ~ッ」
とか返されたら
「・・・・・・(´・ω・`)」
と、なってしまう面もある。

ピートの歌詞には示唆があり、読んでいるだけでストーリー性が感じられた。
間違いなく、後世の作詞家に影響を与えているはずだ。

彼の歌詞はどれも好きだが、俺は「アイランズ」の歌詞が大好きだ。
もちろん曲が素晴らしいのが前提だが、歌詞も素晴らしい。
結局(当然だが)、両方良いのがいちばんだ。

キング・クリムゾン4枚目のアルバム。

この曲を(アルバムを)最後にキング・クリムゾンを去るピート。
そういう意味でも「アイランズ」の歌詞は、個人的に思い出深い。
最後に「アイランズ」の一文を載せる。

闇に覆われた港の埠頭は
まるで石でできた指のよう
飢えきって何かを鷲掴みにしようと
私の島から伸びて行く
藁をも掴もうとした船乗りたちの言葉
ーーーーー真珠や瓢(ひさご)が
私の岸辺に蒔き散らされている
すべて同じ愛の仕打ちをうけて
 ここまで吹き寄せられて来た
大地はどこまでも続き 木々は海に還って行く
波が私の島の砂を攫って行く
私から

ピート・シンフィールドさん、安らかに・・・。

                                 了


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