半袖のシャツと後輩
季節は夏のような日照りが続いています。
先日大雨が降ったかと思えば、ダムがカラカラの状態なんてニュースも。
梅雨に入ると、ジメジメとした気候にスーツの襟がまとわりついて気持ち悪いんだろうなと思うと、スーツを着たサラリーマンはどうやって夏を乗り切るのだろうかと、ふつふつと疑問が湧いてくる。
これまでスーツなんてごく稀にしか着ることことのなかった僕にとって、正直息苦しい部分もあれば、着ることがなかったからこそ、仕事終わりにスーツを着て居酒屋で一杯ひっかける小さな憧れも達成できた、かっこよく着こなすことにも夢中になれそうな気がする。
それでもやはりスーツは息苦しい。動きづらいし、暑いし、何より着るのがめんどくさい。
綿麻の混紡を好んで着る僕にとって、シャツであれ、ジャケットであれ脱いだときにクシュっとしてポンっとその辺りのソファーに置ける様な洋服がいい。
とくに居酒屋に行ったりカフェに行ったりしたときにはそれが凄く役に立つ。
シワなんて気にせずに置けるから。シワなんてファッションの一部なんて思ってる僕だけど、それでも私服でトラッドな服装をするときは、もちろん気にかける。でもそれが毎日になると流石にめんどくささが現れてくる。
アイロンをかけるの、あーぁ。めんどくさいとなる。
アイロンをかけるのが仕事だったのに、、、、
ローテーションでスーツを着るけれど、やっぱり少しづつ複雑な匂いが染み付いてくる。タバコの匂いであったり、焼肉屋の匂いであったり、餃子の匂いであったり、やらかしてしまったときの匂いであったり、涙を拭い袖を濡らしたときの匂いであったり、、、。そんな匂いなんてないけれど。
染み付いた汚れや匂いが蓄積されて、そんな負の匂いをまといながら仕事をしているとやっぱりいいことなんてない。
カッコよく着こなしてもカッコよさのカケラもない。
以前、福岡で製薬会社の営業をしていた大学の後輩が出張で東京に遊びに来たときのこと。
スラックスに半袖のシャツを着ていた。
「このスタイルが福岡では最先端の営業スタイルですよ」
と言っていたのを思い出した。
東京生まれなのに当時福岡8年目の後輩は、まるで地元が福岡のように誇らしげに言っていた。
福岡に来て夏が近づき確かに、半袖シャツのサラリーマンをちらほら見かける。
東京にいた頃にはそんな人はあまり見かけなかった。(ただオフィス街とかあんまり行かないからかもしれないけれど)後輩も「東京に半袖シャツの人全然いないですよね。自分なんだか少し恥ずかしかったです」とか言っていた。
その後輩は僕を避けるように大阪へ転勤していったけれど、、、。
スーツをこれまで着てこなかった僕にとって、スーツの暑さは異常だと思う。
今ならカッコよく着こなすことなんかよりも、ダサくても(なんて言ったら失礼かもしれないけれど)半袖シャツを着たいという気持ちがこみ上げてくる。
たぶんその後輩は今でも夏は半袖シャツスタイルで「これが福岡の営業スタイルなんですよ」と言っているに違いない。
それにしても5月でこの暑さ、先が思いやられる。