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【箱根】ポーラ美術館 20周年記念展モネからリヒターへ【印象派】


ポーラ美術館公式サイトより

ポーラ美術館20周年記念展 モネからリヒターへ展

 ※2022年9月4日の記事になります。

 箱根にあるポーラ美術館にて開催中の特別展「モネからリヒターへ」観に行ってきました。

 この展覧会の柱となるテーマは「」ということで、モネを代表とする印象派から窺える「光」の表現に加えて、現代のコロナ禍から脱出しようとする社会の希望の「光」となり、いま一歩前進するきっかけとなるのではないか、というポーラ美術館からのメッセージが込められたラインナップとなっています。

 今回は一部作品の写真撮影が可能です。

華やかな印象派作品たち

 展覧会序盤ではモネやルノワール、ブーダンといった光の表現が華やかな印象派の作品が多めに展示されていました。

 印象派の作品は間近で見ると荒い筆致で一見雑な描き方に見える一方で、少し離れた場所から観ると次第に絵の輪郭が感じられてリアルに見えてくるところが個人的に謎。

 僕も油絵で人物画を描くのでこういった描き方に憧れますが、作品として成立するか分からないまま描くことになるので描けないんですよね。

 その中でも一番目を引いたのが、ベルト・モリゾ作の『ベランダにて』

 窓際から差し込む柔らかい光の中で何かの作業に集中している少女。それを傍らで作者が油絵で描いているシーンを想像するとなんとも平和でほっこりする作品です。

 印象派技法だからこそ、題材が際立っている作品だと感じました。

 こちらはポール・セザンヌの静物画。観た瞬間セザンヌって分かる絵ですよね。

戦時中の闇を落とした時代を反映した作品たち

 中盤に入ると日本の近代洋画を中心に戦時中に描かれた陰鬱とした暗さから生み出される光を感じられる作品が多く展示。

 その中で佐伯祐三のパリの街角を描いた作品が2点ありました。佐伯祐三の作品を実際に観るのは初めてでしたが、広告のネオンの「光」と建物の重厚感の対比がはっきりと表現された作風でとても迫力がありました。

 それ以上にそのすぐ隣に展示されていた、佐伯と同時期に活動していた画家モーリス・ド・ヴラマンクの「雪」という作品に魅入ってしまいました。残念ながら写真撮影は禁止の作品でした。

ポーラ美術館公式サイトより

 どんよりとした雲の色と右側の緑色の建物の色のトーンが個人的にすごく好きな作品です。街路樹の枝が長い冬の鬱々とした雰囲気を出していているのも注目。建物のグラデーションや雪の筆致などは実際に観ないと分からない魅力です。

 展覧会中盤以降になると現代絵画、抽象絵画が中心となっています。立体的な作品が数多く展示されていて平面作品だけではない芸術の新たな可能性を感じました。

時代と共に変わってゆく表現と解釈

 19世紀印象派から20世紀抽象派へ。モネとリヒターの作品が並んで展示されていました。表現の方法はは違えど根底にあるものは変わらないのではないでしょうか。

 最後は一室まるまる使用して展示をされていたヴァルヘルム・ハマスホイの作品です。

 静謐かつ冷ややかで時間が止まったような室内の絵を多く描いた画家ですが、コロナ禍でステイホームを強いられた今だからこそ、今までとは違った見え方や意味がハマスホイの作品に付与されていくような気がします。

 ヴァルヘルム・ハマスホイの作品は現在(2022年9月4日)国内で2カ所(ポーラ美術館と国立西洋美術館)でしか観ることができない貴重な画家だったので今回しっかり観れて満足です。2020年に東京都美術館の展覧会(ハマスホイとデンマーク絵画展)はコロナの為中止となってしまったので今回リベンジ成功です。

ポーラ美術館からのメッセージとテーマが伝わってきた展覧会

 ポーラ美術館開館20周年ということで、過去から現在(いま)への変化し前進していく姿勢と、コロナ禍からの脱却を図る一筋の「光」の2つの思いを感じ取ることが出来た展覧会でした。

 また撮影禁止が多い日本の展覧会ですが、今回の展示作品の写真撮影可(一部)の試みも良かったと思います。あとで写真を見返して「こんな展覧会だったな」と振り返りが出来ますし、SNSで投稿されることで絵画などの芸術に興味を持つ人が増えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

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ショウタロ
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