歴史と文化を創る後継ぎさん
店舗のある近江町市場が、今年で300年の歴史になるそうです。300年の歴史を記念して今年は、様々な催し物が準備されているようなので楽しみです。北陸新幹線が2015年3月14日に金沢まで開通してから、金沢の街は変化しており、その中でも近江町市場は激変しているように思われます。
「金沢市民の台所 近江町市場」には個人事業主として、ご商売をされていらっしゃる方が、沢山いらっしゃいます。ここ数年は世代交代にさしかかっているようで、「わしらの代で終わりや」と細々と営業されているお店が、1つ1つなくなっていく様子をみて、心が痛く切ない気持ちになっている今日この頃です。
私が近江町で勤務していた二十数年前は、お客さんも店員さんも皆が顔見知りで、1日お休みをしただけでも、昨日おらんかったじぃ(金沢弁)とお客さんに声をかけられたりしたものです。ちょっと流行の髪型や服装をすると、様々な意見をいただけたりもしました。
当時はそんな雰囲気に馴染めなく、大変な思いをしましたが、後継ぎさんとして大人になってみると、見える景色が変わるのか、そういう雰囲気が近江町の良さだったことに気がつきます。お客さんと店員さん皆が顔見知りと言うことは、常に顔を合わせ会話をしているということ、お客さんが近江町市場にお買い物に来る頻度が高いということ、まさに金沢市民の台所なのです。
私の知っている近江町市場は、たった二十数年間ですが、市場の中の区画整理?や駐車場整備、老朽化した建物の新築など変化しています。そして後継さんのいないお店の閉店跡地に、新しいお店が出店し新しい顔ぶれが増えたりしています。
海道屋が近江町市場で、商いをさせていただいて約32年経ちます。紆余曲折を繰り返してきた32年ですが、300年続く近江町市場の歴史の中の、32年間の歴史の中にいるというこでもあります。
「金沢市民の台所 近江町市場」の32年間の歴史の中にいると考えると、続けてこれたことに対しての誇りを感じますし、企業というものは経済活動をすることで、地元や地域そして日本の文化や歴史を創っているのだと、言えるのではないかと考えています。
後継ぎさんは家業を頑張って繁栄させることで、地元や地域そして日本の歴史や文化も創っているのだと、変わりゆく300年続く近江町市場を見ながら感じる、家業を頑張る後継ぎです。