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ガウディとサグラダ・ファミリア展(東京国立近代美術館)

サグラダ・ファミリアを知ったのはその昔にテレビで流れたサントリーのコマーシャルだったと思う。世の中にはこんな不思議な建物があるんだねと未だに心に残っている。
昔のCMは情緒があったね。少し愛して長〜く愛して(完全昭和オヤジフィルター)。

これね

いま見ると不思議なキャラクターたちはガウディ以外のCM制作者の手による作品なのね。

サグラダ・ファミリアは建築開始からもう140年経っているそうだ。いまやすっかりサグラダ・ファミリア=ガウディのイメージだが、別にガウディが最初から携わったわけではなく、二代目の建築家であったそうな。

そもそもサグラダ・ファミリア自体を持ってきて展示するわけにもいかないんだから、どんな展覧会になるのかなとそれほど期待せず来た訳だがやっぱり微妙だった。

ガウディのデザインはあまりに独創的で難易度も高く完成まで300年はかかるんじゃないかと言われていたが、最近の技術の進歩からそろそろ完成が見えてきた(2026年完成予定だとか)。技術の進歩って3 D プリンターとかそういうのかなと思ったらやっぱりそんな感じみたいだ。

展示には「ガウディの制作過程のひみつ」みたいなコーナーがあり、紐に重りを付けて垂らした形をひっくり返して塔のモデリングにした実験とかちょっと興味深かった。今なら CAD とかで設計して3Dプリンターで試作するんだろうね。そりゃいちいち紐ぶら下げてたんじゃ300年も掛かると思うわな。

ここ数年はコロナ禍で観光客からの収入が激減して財政難になった問題も大きいようだ。ん?今回の企画展は出稼ぎ資金集め? いいけどさ。

会場の展示物にはクレジットに「西武文理大学」と付いているものが多くあった。初めて聞く大学。調べてみると埼玉にあるようだ。学部は経営とか看護とかで特別建築とか宗教学とかやってないみたいなんだけどな…(よくある話だけど)。

一部写真可能。ずいぶん熱心に写真やらキャプションやらを撮影してるひとがいて、建築関係の方なのかな。素人にはもうひとつそのすごさや目の付け所はわからないな。

ちょっとゴヤっぽい
《サグラダ・ファミリア聖堂、降誕の正面:歌う天使たち》外尾悦郎

日本人も絡んでいたんだね。この像は日本の彫刻家が手掛けたそうだ。

ここに付いてたらしい

写真は撮れなかったがこれらとは別に「ユダの接吻」という彫像があった。二人の立像でユダがキリストに口付けをしている。へ?なにこれ? 聖書のエピソードにあるのかな? 調べたらちゃんとあるんだ。キリストを売ったユダが、キリストを捉えに来たローマ兵に「こいつがキリストだよ」と教えるためキスをしたとか。

別に指でも差せばいいのになんでチューで教えるのかね? 男性同士のキスは今でもロシアではけっこう普通とか聞くし、なんらかの暗喩があるのかな。『カラマーゾフの兄弟』とかで出てきただろうか。

私が無知なだけで「ユダの接吻」は昔から多く芸術家が取り上げ、カラヴァッジョもこれを題材にした作品を残している。たぶんみたことないな。


せっかく来たので常設展を冷やかしてきた。って、さすが国立美術館、コレクションは素晴らしい。撮影も基本できるし。

今日は撮影はそんなしなかったが、目に留まった作品がひとつ。

《ダマスカスの道》ロレンツォ・ボネキ 1983

別にだまし絵ではないのに変に奥行きのある不思議な空間。この小さな写真だとそうでもないが、間近で見るとクラっとする。遠藤彰子さんの絵と向い合せに飾られてたので似た雰囲気ということなんだろう。


ロレンツォ・ボネキさん、存じ上げてなかったが「生年 1955 没年 1994」ということですでに故人のようだ。


Amazonではこの本しか出てこなかったな


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