第226話 スケジュール
夜、仕事が終わり帰宅すると。
裏庭から、娘が出てきた。
家の鍵を家に忘れていたらしい。
鍵を忘れるくらい、遊びで忙しいようだ。
入試も終わり、卒業式も終わり。
あとは数日後の合格発表のみ。
娘は、入試後、翌日に、すべての教科書を捨てていた。
普段は片付けが嫌いな娘。
その時は、はやかった。
気持ちはわからなくもないけど。
気持ちいいくらい、すべて捨てていた。
色々な思いが伝わってきた。
よっぽど、苦しかったのだろう。
凄まじい断捨離。
卒業式の翌日から、ぎっしりスケジュールを詰め込む娘。
明日は映画。明後日は金毘羅さんらしい。
娘の友人も、みんな、今の時間を大事に遊び倒しているようだ。
傍から見てると、毎日忙しそうだ。
常にラインとTIKTOとインスタとユーチューブ。
寝ているとき以外は常に遊んでる。
娘は正に今、人生を、謳歌している。
高校の入学式まで、遊びたおすつもりだ。
娘から見れば、私は暇そうに見えるらしい。
遊びまくる娘を見て、以前なら小言の一つでも言ってたかもしれない。
でも今が1番いい時間かもしれない。
子供は、忙しい。
毎日の授業、部活、塾。
よく考えると、休み無しだった娘。
大人の私より、よっぽど忙しい。
今くらい、遊びまくってもいいかもしれない。
家に帰っても、家族を気にせず、友達と24時間話しても楽しいはずだ。
娘はあんまりテレビを見ない。
テレビで、ユーチューブは見るけど。
テレビを見るほど暇ではないのだ。
あと1ヶ月もしないうちに、高校生活が始まる。
それまでは、とことん。
思いっきり遊びまくってほしい。
少しは、家のお手伝いもしてほしいけど。
まあしょうがない。
受験で、詰め込んだこと、全て忘れるくらい。
宿題もない。塾もない。部活もない。何もない。
短い貴重な時間。
目一杯、自分のしたいことで、埋めてほしい。