QOL

生活の質、クオリティ・オブ・ライフ

はじめて聞いた時は、学生の時である。はぁ?って感じだった。大切なのはQOLとな?なんのこっちゃ。それより飯や、飯。

それから時を経て現在。

医療の本質は、「病気を治すこと」ではない。「QOLを向上させることである」。と、ここまで変わるわけである。つまり、今の生活が良いならそれを維持する。悪くなる可能性が高いならその原因を治す(僕らだったら手術で取り除く)。医療介入で生活の質が下がるなら、無理に介入せずに対症療法、つまり症状に対してのみ治療し、あとは出来るだけ元気に生活できる時間を確保してあげる。

手術を受けたほうがよいのか?
抗がん剤治療を受けたほうがよいのか?
体力ないのに手術に耐えられるでしょうか?

なとなど、患者さんの悩みは尽きないが、上記を判断材料として治療方針を決めるべきなのである。

よくある相談としては、stageIVの癌に対して抗癌剤治療中の場合など。基本的に、現代医学でステージ4の消化器癌が薬物治療のみで根治出来る可能性は極めて低い。切除可能ならまだ可能性があるが、薬だけで治ることはやはり難しいのが現状である。抗癌剤は副作用もあり、だんだんと耐性が進んで薬が効かなくなると、薬剤を変更してずっと治療が続いてゆく。効果があるうちはまだ頑張れても、進行していますと言われた日には、つらい治療に対する疑問は拭えないものになるだろう。はっきり言って、やめてもいいし、やめなくてもいいし、ちゃんと情報提供を受けたうえで自分で考えて決めれば良いと思う。治らないことを受け入れたうえで、副作用に悩みつつ数年過ごすのか、通院や副作用から解放されて1年生きるのかのどちらが正しいのかに答えはないのだから。
90歳じいちゃま「先生、家族が手術受けるよう言うんだけど俺やりたくねえよ」
僕「若い人ならやるけどね。進行もゆっくりだし、そのうちお迎えが来ちゃうかも、嫌ならやめてもよいですよ、お腹切られるのはご家族ではないのですから。様子みてゆきましょうか」
なんていう判断を一緒にするのも医療の醍醐味のひとつだと思ってる。

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