癌が治ったひとがいるって書いてあるんですけど

患者さんとの話パート②

外来とかでたまにHPとか見せてくれるひとがいる。だいたいは根治不能で通院している人で、何々療法とかサプリとかが多い。いわゆる民間療法。通院をやめてこちらの治療にかけてみようと思うとのこと。そこまでいかなくても、この治療のことどう思いますか?とか聞かれる。はっきりと、僕らは保険診療以外の治療は行っていないこと、保険診療外の治療にエビデンスはないことを伝えている。
世界中で癌の撲滅のために研究している人がいて、そのデータをもとに実際僕らみたいに手を動かす医者もいる(僕の脳は研究者になるほど優れてはいないのだ)。保険診療は多くの人で治験してエビデンスが確立された治療が選ばれている。1回うん十万という高額な薬剤ですら、エビデンスがあれば承認される。きつい言い方をすれば、こんだけオープンに情報にアクセス出来る中で、たくさんの癌治療に従事するひとの目をくぐり抜けて、保険診療以上の効果がでる治療をあなただけが入手するなんてことはないのだ。そんなすごい治療なら必ず学会などで討論されているはずである。まあ、「副業で月100万円」とかのネット広告と大差ないのである。頭にくるのは、そんなサイトを興味本位でみてみると、1回の治療費が数100万とか書いてあったりする。追い詰められた人なら、命に代えられないと思って受けてしまう人もいるだろう。そんな病院の医者には、ネット広告だすくらいなら、学会でそのデータ出してこいよって言ってやりたい。
ここまでは科学者としてのの意見。ここからは、相談を受けた医療知識のある友人としての意見であり、実際に患者さんに話す内容である。
「僕らは保険診療以外は行いません。保険診療はたくさんの人で効果が確認された治療であり、自費診療の治療にそういったエビデンスはありません。立場上、僕らがそういった治療の良し悪しを判断することもないし勧めることもありません。その上で、あなたがどの治療法を選択するかはあなたに権利があります。持ってきた治療法があなたの精神的な支えになり日々の生活の質を向上させるなら僕に止める権利はありません。あなたがどの治療を選択しても希望があれば私の外来でフォローやサポートを続けることは問題ありません。」
他人が何を選ぶのか、どう生きるのかに文句をつけるつもりはない。サプリで気持ちが楽になるなら別にそれでも。ちなりにかなりの確率で治せるのに!って症例のときはもちろん自分達の治療を強く勧めるよ、外科医だし。
もう年末だ。みんな今年やり残したことリストを作って気になることは年内に終わらせよう。時間が足りない。、

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